世界的メガヒット映画「マインクラフト/ザ・ムービー」ジャレッド・ヘス監督&プロデューサーに直撃!ブロックの世界にもたらされたリアリティとは【インタビュー】

ビデオゲーム映画で史上最速の初動興行収入!日本公開も待ち遠しい映画「マイクラ」に迫るインタビュー。

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世界的メガヒット映画「マインクラフト/ザ・ムービー」ジャレッド・ヘス監督&プロデューサーに直撃!ブロックの世界にもたらされたリアリティとは【インタビュー】
世界的メガヒット映画「マインクラフト/ザ・ムービー」ジャレッド・ヘス監督&プロデューサーに直撃!ブロックの世界にもたらされたリアリティとは【インタビュー】 全 9 枚 拡大写真

“世界一売れたゲーム”こと、マイクロソフト/Mojang Studiosの『マインクラフト』がついに実写映画化されました。米国でのオープニング興行収入は約1億5,700万ドルを記録し、「マリオ」抜いてビデオゲーム映画史上最高記録となっています。どんな内容になるんだろう……?と気になっている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、映画「マインクラフト/ザ・ムービー」のジャレッド・ヘス監督トルフィ・フランス・オラフソンプロデューサーへの合同インタビューの内容をお届け。気になる質問を投げ、映画をさらに深堀りしていきます。

なお、Game*Sparkではレビューも掲載しているので、そちらもぜひご覧ください。



【あらすじ】

物語の舞台は“マイクラワールド”。ここでは、創造力がただのクラフトのためではなく、生き抜くために欠かせないものとなっている。主人公はギャレット(ジェイソン・モモア)、ヘンリー(セバスチャン・ハンセン)、ナタリー(エマ・マイヤーズ)、ドーン(ダニエル・ブルックス)の4人の仲間たち。彼らは日々起こる問題と奮闘していたところ、突然、不思議なポータルに吸い込まれ、“マイクラワールド”と呼ばれる四角いブロックでできた世界に迷い込んでしまう。そこは想像力がすべての鍵を握る世界だった。

元の世界に戻るため、彼らはこの世界を理解し、さらにピグリンやゾンビなどの危険な敵から身を守る方法を学ばなければならない。そんな彼らの前に、頼れるクラフター“スティーブ”(ジャック・ブラック)が現れ、魔法のような冒険が始まる。5人の旅は、勇気を試されるものであり、彼らが持つ“創造力”の大切さを再発見することにつながる。それは、現実世界で成功するために必要なスキルでもあった。

ジャレッド・ヘス監督&トルフィ・フランス・オラフソン氏インタビュー

ジャレッド・ヘス監督。

――映画を拝見しましたが、何よりもまずファンのための映画だと感じました。ジャレッド・ヘス監督や脚本の方々は、どのようにリサーチをしたのでしょうか。

ジャレッド・ヘス監督(以下、ヘス)僕の出発点は、自分自身で『マイクラ』をプレイするというところで、子どもと一緒にプレイして親しんでいました。

この映画を企画開発はMojang Studiosと協議しながら進行していたので、ディテールや各シーンを描くにあたってはゲーム版に則りつつ、ゲーマーの皆さんにとっても体験したことのない新しい体験を提供できるよう、どんな映画的なストーリーテリングにするかを心がけましたね。

トルフィ・フランス・オラフソン氏(以下、トルフィ)Mojang Studiosからは監督や脚本家たちに向けてゲームプレイのビデオを送ってもらうなどして、いろいろじっくり教えてもらいましたね。また、YouTuberのMumbo Jumbo氏にもアドバイスをいただき、レッドストーントラップのシーンを作っていきました。



トルフィ・フランス・オラフソン氏。

――ギャレットやヘンリーたちが最初にマイクラワールドに来た際の夜のシーンが印象的で、スケルトンやゾンビたちは子供たちが泣き出してしまうのではないかというくらいスリリングでした(笑)。ゲームでも最初の夜は生き残るのが困難ですが、映画において夜のシーンを描くためにこだわったポイントはありますか。

ヘス夜は非常に重要なシーンで、トルフィさんと慎重に話し合いながら企画を進めました。一見すごくハッピーな世界であるはずが、太陽が沈むととんでもなく怖い環境に追い込まれ、クリーパーやゾンビのせいで大変なことになってしまうという恐怖を表現できるように工夫しました。

ゲームでも、夜を乗り越えるにはプレイヤーのクリエイティビティによってサバイブしなければなりませんよね。本作ではヘンリーの持ち前の創造性を発揮したり、ギャレットは一見タフな男かと思いきやギャーギャー騒ぐ泣き虫だったりと、キャラの性格が立つような描き方を心がけましたが、キャラが確立する重要なシーンになったと思います。

――ゾンビから逃れるための要塞も凝っていましたよね。

ヘス要塞などのセットはCGではなく、すべてセットで作っています。これは撮影前のストーリーボードから2年間かけてしっかり練り上げてから撮影に入りました。

スティーブがみんなを助けてくれる頼もしさがあったり、ギャレットが隅っこで泣いていたりと非常に楽しい撮影になりましたし、キャラが立つようなプレイやアクションを心がけました。

――『マイクラ』は本当にたくさんの要素があるゲームだと思いますが、映画という媒体に落とし込むにあたってどういった要素をピックアップしようと心がけましたか。

ヘスここについては、美術やVFXなどさまざまな部門長が膝を突き合わせて「『マイクラ』の好きなところ」を話し合い、それを寄せ集めて映画に入れていきました。本当に無限に広がる世界があるので、僕が一番意識したのは誰をヴィランにするかということですね。エンダードラゴンにするという手もあったのですが、すでに他の作品ではドラゴンをヴィランとして描かれたことはあったんですよね。

他にアイコニックなヴィランになるのは誰だろうと考えたとき、やはりピグリンが挙がりました。彼らの薄汚いところがすごく好きで(笑)、良い世界観を築けるとともに、マイクラワールド(表世界)にとって脅威になりうるキャラであると思ったので、ぴったりだったんですね。

他に心がけたこととしては、ラマや羊、クリーパーといった『マイクラ』ならではの他にないようなキャラやアイテムをピックアップするようにしましたね。

トルフィ映画の制作陣には、自分たちが『マイクラ』においてどういった願望を実現したいのかいうところを原点に考えることを提案しました。例えば僕だったら森を駆け抜けたいな、鉱山に入りたいな、森の洋館を探索したいなといった願望がありますから、そういったことを意識しながら作ってもらいましたね。

ピグリンについては、ヴィランではあるんですけれど、グラデーションがあります。最強の個体がいる一方で、弱腰な個体もいたり、根は悪くないけれど、生まれたところを間違えたような個体がいたりと、いろいろな種類を作るようにしました。

個人的には格闘シーンも感動しました。ピグリンたちはCGなのですが、スケルトンなどは頭部を除いて本当に俳優がコスチュームを着て演じているんです。そういったシーンを作ったのはジェイソン・モモアと以前も組んだことがあるスタント・コーディネーターだったり、あるいは「ジョン・ウィック」シリーズを手掛けた人だったりしたんですが、見ていてただただ驚くばかりでした。

――ブロックの世界を実写にするにあたって、デフォルメ具合やリアリティのもたせ方はどのように判断しましたか。

ヘスなによりも、キューブっぽさを大事にしましたね。原作のような16bit感をどう出していくかを一番大事にしながら、この映画のルックスを築き上げていきました。クリーパーは特に試行錯誤したもので、最初は甲羅のない亀のような不気味なものが出てきたのですが、「何か違うな」となり、何度も考え直して原作に近いアイコニックなクリーパーに戻していきました。

スケルトンなんかも、原作は関節がありませんから、どのように映画らしいフォルムにしていくかを考えなければなりませんでしたし、ゾンビもターコイズのシャツに四角い頭とアイコニックな特徴を保持しつつ、どのように肉付けするかを考えていきました。

ピクセル感のあるものをいかに映画にするのかというのは難しいポイントですが、最終的に仕上がったものについては一応満足はしています。ただ、YouTubeなどには多数のコンテンツクリエイターが「実写版」動画を出していますが、この映画で表現しているのはあくまで“我々の解釈による1バージョン”であるということはお伝えしておきます。

――ヘス監督は「ナポレオン・ダイナマイト」など、冴えない人を輝かせる作品が多い印象です。それは本作でも同じですが、そういった人々を描くにあたって、監督ならではのポリシーはありますか。

ヘスどういうわけか、僕は忘れられし人々に惹かれてしまうんですよね。そういった人々がなにか試練を経てヒーローになっていくという物語は、ひとりの映画好きとして充実感が得られるんです。

今回は、人生詰みかけの全然知らない者同士がチームワークをもって冒険し、あり得ないようなハードルを乗り越えていくというストーリーを作りたかったんです。「ロード・オブ・ザ・リング」の“Fellowship of the Ring(旅の仲間)”ならぬ、“Fellowship of the Nerds(オタクの仲間)”といった感じの映画を作ることに強いワクワクを感じます。

――本作は『マイクラ』らしさももちろんですが、個人的には映画ならではの楽しさのほうが印象的でした。ギャレットがスティーブと人間サンドイッチ状態になって飛んだり、チキンジョッキーとのレスリングしたりと、バカバカしくも感動的だったんですが、やはりこだわった部分なのでしょうか。

ヘスやはり他の映画にはないユニークなシーンを入れたいというのはとてもこだわった部分で、撮影から遡って2年版ストーリーボードを練りに練ったんです。人間サンドイッチのシーンは「ネバーエンディング・ストーリー」の男の子が竜のファルコンに乗るシーンを思い出しながら作っていました(笑)。

ジャック・ブラックは、私の中でトップ5に入る俳優です。レスリングシーンを演じさせたら前にご一緒した『ナチョ・リブレ 覆面の神様』から変わらず本当に面白おかしいし、本作におけるチキンジョッキーとのバトルの展開も満足するものに仕上がりましたよ。

――ありがとうございました!


原作ゲームの要素もたくさん盛り込まれている映画「マインクラフト/ザ・ムービー」は、4月25日より全国の劇場で公開予定です。


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《みお》

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