
2025年5月8日、KONAMIによる恋愛シミュレーションゲームの金字塔『ときめきメモリアル(以下『ときメモ』)』のリマスター作品となる『ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル』が発売されます。本稿では、先行プレイレポートをお届けします!
◆「EVS」の発声があまりに流暢で椅子から転げ落ちた
『ときメモ』は1994年にPCエンジンSUPER CD-ROM2向けに発売されたゲームで、2024年にシリーズ30周年をむかえました。『ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル』は、その翌年となる95年に発売されたPlayStaionソフト『ときめきメモリアル~forever with you~』をベースとしています。
本作では新フォントや新キャラクターイラストが実装されているほか(オリジナル版のフォントやイラストと切り替え可能)、シリーズ第2作である『ときめきメモリアル2』から実装された、ヒロインたちが自由に設定した主人公の名前を音声で呼んでくれる「エモーショナルボイスシステム(EVS)」も用意されているのが魅力のひとつです。
今回の先行プレイは「院才堂もてお」という名前でプレイすることにしました。ちょっと“中二病感”がある苗字ですが、これで「インサイド」と読みます!

EVSでボイスデータを制作して驚かされたのは、人の名前としては特異な「インサイド」という響きでさえ、とても流暢に発音してくれたことです。個人的な感想ですが、過去のEVSそのままではなく技術的に進歩しているのではと感じます。製品版が発売されたら、人名として自然な苗字や名前も試してみたくなりました。ともあれ、名前だけは御大層な一般人の少年「院才堂(いんさいど)もてお」の高校生活が始まります!
◆“伝説の樹”に見守られながら高校生活をスタート!
主人公が入学した私立きらめき高校は「卒業式の日、校庭のはずれにある古い大きな樹の下で、女の子から告白して生まれたカップルは永遠に幸せになれる」という言い伝えがあり、ゲームの目的も「卒業式の日に告白してもらうこと」となっています。



3年間の高校生活は1週間単位で進むようになっており、勉強や運動、容姿磨きなど特定のコマンドを選ぶと月曜日から土曜日までの平日が1セットで進行。休日と日曜日は平日のコマンドに加えて「電話」を行えるようになり、連絡先が分かっている女の子とデートの約束を取りつけられます(相手がOKしてくれれば)。

しかし、主人公は本当に平凡な男子なので、入学直後となる1年生の4月時点では勉強、運動、容姿とあらゆる面で“見るべきところ”がありません。なんだか自分の高校生活を思い出すようで若干身につまされますが……ここからいくらでも輝けるのが『ときメモ』の楽しいところ。
最初のうちは、女の子をデートに誘うどころか幼なじみの藤崎詩織以外とは知り合ってすらいませんが、まずは勉強や運動に精を出していきます。

◆女の子の連絡先をゲットする過程に時代性がチラリ!
「文系」「理系」「運動」などのステータスが上昇していくと、平日の学校内で、各ステータスに対応した女の子たちとの出会いが待っています。知り合ったあとは、休日や日曜日に親友(悪友)の好雄へ電話をしましょう。気になる子のプロフィールや電話番号を教えてくれます。

本人を介さず電話番号を知る行為に、若い人は「こ、個人情報~~~~ッ!」と思うかもしれません。しかし、本作の舞台は1995年です。当時は携帯電話がまだ普及しておらず、電話番号といえばその人の実家の番号を指すのが普通でした。
また、インターネットも普及していなかったことから、学校の各クラスには、学校に関する必要事項などを電話で通達する「連絡網」なるものが存在しました。つまり、自宅の電話番号は今よりもずっとオープンなものだったのです。……時代ですね!



◆モテるために、勉強も運動もとことんがんばる高校生活!
閑話休題。本作はゲームとしての楽しさを追及している一方、「(恋愛)シミュレーション」というジャンル名にふさわしく、リアルな要素も込められています。具体的に言うと「自分に大した魅力がないうちから女の子たちをがんばってデートに誘っても、なかなか好感度は上がらない」のです。世知辛い! でもそれはそう!
筆者はシリーズの経験者でそのことを知っていたので、1年目の大半は黙々と自分磨きに使ってしまいました。今日は勉強、明日は運動……一見ストイックで勤勉な学生に見えますが、モテるためにやっているだけです。軟派なのやら硬派なのやら……。
ともあれ、そのような姿勢が功を奏したのか、プレイ開始直後には素っ気なかった幼なじみのスーパー美少女・藤崎詩織も2学期になる頃には笑顔で応対してくれるようになりました。ありがてぇ…ちゃんと見ててくれてるんだなあ。

春の体育祭、秋の文化祭を終えると、毎年年末にはクラスメイトの高飛車なブルジョワ・伊集院レイが主催するクリスマスパーティーが開催されます。同じクラスのよしみで主人公も招待されますが、見た目に気を使っていないと伊集院家の黒服に門前払いをくらってしまうので、この日に備えて容姿もきちんと磨いておきましょう。会場では女の子たちとの楽しいひと時が待っています。



◆努力が実りデートに誘われるように!2年生からはついにモテ期が到来!?
年が明けて元旦。休日と言うことで電話コマンドを使用できるので、運動に精を出しているときに知り合った虹野さんを初詣に誘ったら色よい返答が! さらに虹野さんは1月13日が誕生日であるため、誕生日プレゼントもして仲を深めました。なんだかいい調子!


そして勉強や運動で続けてきた努力が報われ、2月には詩織の方からデートに誘ってくれるようになりました。ここまでに彼女をデートに誘ったのはわずか1回で、しかも近所の公園を散歩しただけです。こちらからアプローチするのではなく、相手にアプローチさせる……すさまじいモテテクニックです。そのために日ごろから勉強に運動にと、不断の努力を重ねてはいますが!


そして4月になると、晴れて2年生に進級。面識のない新入生の女の子が距離感近めで声をかけてきたかと思えば、好雄の妹であると判明。どうやら好雄から主人公のことを聞くなどして、親しみを抱いてくれていたようです。休み時間や放課後に廊下をせわしなく駆けていくギャルの朝日奈さんや文芸少女の如月さんとも知り合い、新たな1年がスタート……というところで、今回の先行プレイは時間となりました。



最初の1年を終えるのにかかった時間は約1時間半。しかし、この記事のためのスクリーンショット撮影を行いながらのプレイでしたので、普通に遊ぶならもう少しテンポがよいと思います。そして、本作をプレイする際は、ぜひ周回プレイにチャレンジしてみてください。高校生活を送る(周回プレイする)たびに、異なるきらめきが待っている。それが『ときメモ』なのです。




◆シリーズファンは「デラックス版」で浸るべし!
本作は通常版のほかに「デラックス版」が用意されており、デラックス版では初代PS版の「ノンテロップオープニング映像」、「歴代BGMデジタルサウンドトラック」、約280点にもおよぶイラストが収録された「キャラクターイラストギャラリー」が用意されています。「デジタルサウンドトラックでお気に入りの曲をBGMにしながら、ギャラリーをまったりながめる」のがかなりの“時間泥棒”なので、シリーズファンにはデラックス版もオススメです。

筆者は「このイラストは初代PS版の限定版のパッケージイラストだな」、「このイラストはサウンドトラックCDのジャケットイラストだな」などと、見ていて相当懐かしい気分に浸れました。案外覚えているものですね。

「恋愛シミュレーション」という(1994年当時としては)独自性あふれるジャンルで美少女ゲームブームの立役者となった『ときめきメモリアル』のリマスター作品『ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル』は、5月8日にニンテンドースイッチでリリース予定です。
EDを見るまで3~4時間(おそらく初プレイでも5~6時間程度)というサクサク具合と、スイッチの携帯性は相性バッチリです。G.W.後は、みなさんもきらめき高校の生徒になってみませんか?


(C) Konami Digital Entertainment