コンプラに疲れた社会人よ、「歩行・横臥・私語・会話」の全てが懲役対象の世界を見よ!『フリーダムウォーズ』の超管理社会に震えが止まらない

社会規範は時代によって異なるもの。ゲームに作品によっては、かなり厳しいルールが敷かれているものもあります。

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コンプラに疲れた社会人よ、「歩行・横臥・私語・会話」の全てが懲役対象の世界を見よ!『フリーダムウォーズ』の超管理社会に震えが止まらない
コンプラに疲れた社会人よ、「歩行・横臥・私語・会話」の全てが懲役対象の世界を見よ!『フリーダムウォーズ』の超管理社会に震えが止まらない 全 18 枚 拡大写真

■平時に走るなんて、懲役20年~30年は覚悟しろ

独房で管理されている咎人といっても、「ボランティア」による社会貢献で、待遇の改善が望めます。努力して結果を出すことで環境が改善されるのは、現実社会も『フリーダムウォーズ』の世界も変わりません。

当初は独房だけの生活を強いられますが、後に独房の外に出て行動する権利の獲得も可能です。この権利を得ると行動範囲が一気に広がるため、権利獲得の素晴らしさを実感させてくれます。

しかし、独房外の行動にも様々な規則があり、油断できません。例えば、「平時における時間当たり運動量(重)超過罪」があります。分かりやすく言えば、5秒以上もしくは10秒以上走り続けることを禁止するものです。違反すれば、懲役は20年~30年。権利を解放できていない咎人には、走り続ける自由すらないのです。

■異性に近づいたな? 懲役20年だ

独房の外では(規則はあるものの)ある程度自由に行動ができ、同じように外出の許可を得た咎人や、懲役のない「市民(シヴィリアン)」と出会うこともあります。

しかし、ここも注意すべきポイントです。権利を獲得しないまま接近すると、「接触罪」に問われてしまいます。市民から面会を申し出て独房内で会う、といった場合は抵触しませんが、平時に咎人や市民に接触すると、権利がなければ20年の懲役を科せられるのです。

しかも「咎人との接触」と「市民との接触」は個別の権利ですし、さらに「異性への接近罪」もあります。こちらの懲役も20年と、ハラスメントどころではない重罪です。性的搾取の抑制には大きな効果がありそうですが、それとは別の意味で多大な問題を感じます……。

■横領が罪なのは当然だろう。今回は懲役2,240年だ

現代の感覚で見ると、『フリーダムウォーズ』世界の規則は「やり過ぎ」「行き過ぎ」が目立ちますが、一方で納得できる内容も存在します。その最たる例は、「許可なく希少アイテムを取得した罪」、いわゆる横領罪です。

ボランティアをクリアすると、戦闘状況に応じて報酬が得られます。しかしこの世界では、取得できるアイテムに制限があり、希少度が高いものほど一部の人間しか手にできません。

獲得する権利がない人間は、そのアイテムを献上することで刑期が減りますが、献上せずに取得すると横領となり刑期が科されます。

死ぬかもしれないボランティアで得た報酬を問答無用で献上させられるのは、納得のいかないところです。しかし、それはそれとして、取得権利のないアイテムを着服するのは、問題行為と言わざるを得ないのも事実。横領で刑期が増えるのは、やむを得ない話でしょう。

ただし、横領罪は着服したアイテムの希少性で罪が増し、1,240年や2,240年といった懲役が科される時も。いささか桁がぶっ飛んでる気もしますが……こうした懲役の重さに慣れ、日常的に横領を繰り返す咎人(プレイヤー)も後を絶ちません。横領する方が悪いのか、不当な制限を強いる方が悪いのか、難しい問題です。

■もはや世界自体が罪深い『フリーダムウォーズ』、しかし人命尊重という側面も?

『フリーダムウォーズ』ではこのほかにも、「回答を拒否した罪」「管理者への不服従罪」など、様々な罪とそれに伴う懲役が敷かれています。「被監視者としての義務違反罪」までくると、もうどんな行動をしても罪になるんじゃないかと思うほどです。

歩行するだけで、横になるだけで、走るだけで、誰かと会うだけで、罪を問われる『フリーダムウォーズ』の世界。情勢が変われば常識も変わるので、直接比較に意味はないとはいえ、選べるなら現代の方がまだマシと思ってもおかしくないでしょう。

ただし、こうした過厳しい規則が決められているものの、超管理社会を敷く作品にありがちな、“人命を軽視する傾向”はありません

咎人であっても、命は大事な資源のひとつ。そのため、過酷なボランティアに駆り出されることはあっても、捨て駒として扱う管理者はまずいません。仮にいたとしても、そうした管理者の行動は「貴重な資源の浪費」と判断され、罪を負わされることでしょう。

「人材を使い捨てない」という一点に関してのみ、『フリーダムウォーズ』の世界がちょっとだけ羨ましいかもしれません……!



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《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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