
2025年6月28日、多くの格闘ゲームファンとストリーマーが集い、熱戦を繰り広げた『ストリートファイター6(以下、スト6)』の大型イベント「LEGENDUS 頂」。その主催者であるSHAKAさんに、イベント初日を終えた感想や開催に込めた思い、そして翌日に控えた自身も出場するDay2への意気込みを聞きました。
◆ちょっとした因縁がある「おぼ」チームには負けたくない
ーー今回の「LEGENDUS 頂」は選手だけでなく、キャラクターにもスポットが当たったイベントだと思います。その背景にある思いについてお聞かせください。
SHAKA:僕自身、格闘ゲームの経験はまだ長くないので、偏見かもしれませんが、格ゲー文化に触れて最初に面白いなと思ったのが、いわゆる「政治」と言われる文化なんです。「このキャラは強い」「このキャラは弱い」といった冗談交じりのやりとりですね。
試合を見る面白さは、格ゲーのプロシーンの中で既に確立されていると思うので、チームで色々な案を出した結果、今回のイベントは自然とキャラクターにフォーカスが当たっていきました。
それはたぶん、僕がそういう格闘ゲームの文化そのものが好きだからだと思います。気づけばそうなっていました。
ーー今回、Day1の参加者の皆さんの様子をご覧になっていかがでしたか?
SHAKA:本当に色々な人が来ているなと感じました。ファンの方々と接する機会もありましたし、参加者の方々ともお話しさせていただきました。試合そのものを楽しんでいる人、自分の使っているキャラクターのコミュニティを楽しみに来ている人、そして配信者を応援するために会いに来てくれた人。様々な目的を持った人たちが一つの場所に集まって、色々な楽しみ方をしている光景が印象的でした。
参加者は試合が楽しみの一つでしょうし、配信者の中にはラウンジにこもってひたすら対戦している人もいれば、自分で配信機材を持って歩き回り、本配信には映らない裏の試合を自分のキャラクターの応援のために配信している人もいました。自分が想像していた以上に、多様な楽しみ方をしてもらえたイベントになったなと感じています。
ーー会場には女性ファンの姿も多く見受けられましたね。
SHAKA:そうですね。ここ数年で配信者文化において女性ファンがすごく増えてきたという背景もありますし、『ストリートファイター6』になって格闘ゲームが一気に注目を浴びるようになってからは、普通の格ゲーイベントでも女性ファンがたくさんいらっしゃるイメージがありました。なので、今回のような一般の方が主役のイベントにもたくさん来ていただけて、本当に嬉しいです。

ーーDay1の試合のなかで、SHAKAさんが選ぶベストバウトを教えてください。
SHAKA:全部の試合を見られたわけではないのですが、気持ち的にはやはりリセットして決勝を制したあくたがわさんの試合と言いたいところですが…。
個人的にすごく面白かったのは、ガイル使い同士のミラーマッチですね。正直、ガイルのミラーマッチは、お互いが待ち合う展開が多く、少し退屈な試合になりがちという印象でした。でも、あの試合に関しては、お互いが本来の強みである弾を撃つというより、肉弾戦を繰り広げていて。
もちろん、その中での弾を巡る読み合いもすごかったと思いますが、ダブルKOになった瞬間が面白すぎましたね。その前にも同じ技同士がぶつかって相打ちになるシーンがありましたが、まったく違う戦い方をすることもあるプレイヤーが、ある瞬間では同じ選択をするんだなと驚きました。
ーー今大会でSHAKAさんが使用されるマノンの魅力について教えてください。
SHAKA:言ってしまえば嫌われがちなファイターなんですけど(笑)。以前使っていたマリーザは、一発の威力で敵を一気に倒してしまう力強さが魅力でした。
今回使うマノンは、「コマンド投げ」という特殊な演出の技を持っています。こういうオフラインイベントの場で決めるとすごく盛り上がる技がある、というのは一つ、華なのかなと思っています。
ーーDay1が終わってトーナメントが確定しましたが、Day2で「この相手には絶対に勝ちたい」という人はいますか?
SHAKA:当たるか分かりませんが、やっぱり「おぼ」には負けたくないですね。『スト6』を始めた時からずっと同じくらいの立ち位置にいて、今回は当たらないかなと思っていると、気づけばいつも戦うことになっているパターンが多いので。
それと、おぼと同じチームのセンキュー鈴木さんは面白いプレイヤーです。ZETA FIGHT CLUBで『スト6』の対戦会したときは、ミスってないのに「ミスった、ミスった」とか言うんですよ。そのようなずるい勝ち方をしてくる人で。
そういうちょっとした因縁もあるので、同じブロックにいる本田使いの二人には負けたくないなという気持ちがあります。
ーー明日のDay2では、ご自身も選手としてリングに上がります。チーム戦に向けての意気込みをお願いします。
SHAKA:まず、主催者なのに明日出場できないという可能性があったので、そこをクリアできたことに一安心しています。
ただ、相方のあくたがわさんがあまりにも強すぎて…。こういうオープントーナメントでは、プロがいないとはいえ強いプレイヤーが必ず勝ち上がれるわけではないと思っていたのですが、その中で見事に勝ち上がってきてくれて、とても頼もしいです。
一方で、今回のルールは一般参加者の人が全勝すれば、配信者側が0勝でもチームとして勝てる仕組みなんです。だから正直、気楽に考えていたんですけど、相方が強すぎて「変な負け方はできないな」と少し焦っています。
それで、今日のイベントが終わった瞬間、最近ザンギエフを使っているプロのShutoさんに「対戦してほしい」とお願いして4戦だけやってもらいました。
◆普段見ている人に“参加して楽しむ”という経験をしてほしい
ーーSHAKAさんは元々FPSプレイヤーですが、『スト6』などの格闘ゲームの魅力はどこにあると感じますか?
SHAKA:なんと言っても一番は「分かりやすさ」だと思います。「いっぱい殴っている方が勝っている」という、そこが本当にシンプルで分かりやすい。特に『スト6』になって、ドライブラッシュやドライブインパクトといったシステムで、ごちゃっとしていた部分がすごく分かりやすいものになったなと。
赤く光って攻撃を食らったらダメ、それを返したら時が止まってすごいことをしたんだな、と盛り上がるポイントが本当に分かりやすいんです。
それに加えて、格闘ゲーマーの方々が攻略情報をたくさん発信してくれる。配信者に対してもそうですし、動画を投稿したり、配信活動を通じて格闘ゲームを広めるための活動をすごくしてくれている。
僕自身、今まさに感じていることですが、何も分からない状態で見ていても面白いのに、知識が入ってくるたびに面白さが更新されていく。色々な面白さがどんどん積み重なっていくところが、格ゲーの魅力なんじゃないかなと思います。

ーー今回のストリーマーと一般プレイヤーが交わるという特殊な大会の構想は、いつ頃からあったのでしょうか?
SHAKA:正直なところ、どういう流れでこうなったのかは覚えていないんです(笑)。自然とそうなっていった気がします。ただ、「今までにない形で大会を開きたい」という思いは常にありました。
イメージとしては、各キャラクターのコミュニティやストリーマーと繋がることで実力がある一般プレイヤーに変化が起きてほしいというようなものです。今までなんとなく格闘ゲームをプレイしていた人たちにとっても、一つ真剣にゲームを考える場になればいいな、という構想は以前からありましたね。
ーー「LEGENDUS」は何度も開催されていますが、このイベントを主催する意味や、これによってどんな未来を期待していますか?
SHAKA:今回は小さな目標としては、『スト6』から格闘ゲームを始めた多くの人に“参加して楽しむ”という経験をしてほしいと考えていました。
『スト6』から格闘ゲームを始めたプレイヤーは多いと思うのですが、歴史ある「EVO」のような大会には「ちょっと行きづらいな」と感じる人がもしかしたらいるかもしれないと思い、今回はプロが参加できないルールにして、誰でも参加しやすい大会を目指しました。
そして、この大会で勝ち上がったプレイヤーが、注目を浴びるきっかけになればと思っています。
SFLや海外の試合でプロが注目される機会は多いですが、そうでない人たちにもスポットライトが当たることで、彼らがプロを目指したり格闘ゲームで何かをしたいと考えたり、人生の選択肢を広げる一つの要因になれたら嬉しいです。
もちろん、その道を最終的に選ぶかどうかは本人たちの自由ですが、そういうきっかけ作りができればと思っています。
ーーありがとうございました!