日陰にさす光が、会場を眩しく照らした日「にじさんじ 4th Anniversary LIVE「FANTASIA」 Day2」ライブレポ

10月1日(土)、幕張メッセ近辺の牛丼は売り切れたのでしょうか。「にじさんじ 4th Anniversary LIVE「FANTASIA」 Day2」ライブレポをお届けします。

配信者 イベント
日陰にさす光が、会場を眩しく照らした日「にじさんじ 4th Anniversary LIVE「FANTASIA」 Day2」ライブレポ
日陰にさす光が、会場を眩しく照らした日「にじさんじ 4th Anniversary LIVE「FANTASIA」 Day2」ライブレポ 全 13 枚 拡大写真

10月1日(土)、幕張メッセ近辺の牛丼は売り切れたのでしょうか(詳しくは後述)。

「にじさんじフェス2022」と共に開催された「にじさんじ 4th Anniversary LIVE「FANTASIA」 Day2」は男性ライバーのみで行われたライブ公演です。

今回のライブを見る際に欠かせないのは「大人」と「子供」と「青年」の3つの視点です。アラサーが4人、中学生と高校生と大学生と青年がひとりずついる。年齢の順番がとてもはっきりしている、かなり異色のメンツです。誰の目線に寄り添うかによって、ステージの見え方ががらりと変わる、多角的なライブになりました。

曲の紹介とあわせ、大人から子どもの男たちの情熱とエンタメ意識を振り返ります。

◆開幕から最高のボルテージへ

全体曲「虹色のPuddle」からスタートした今回のライブ。その後一発目はにじさんじの情熱担当、三枝明那の「テオ」です。「俺たちはもう手放さない、こぼさない、奪わせない、そうだろう!」という絶叫は、心臓を掴んでくる迫力があります。一度中止になったライブのことが、頭をよぎります。

続いてシェリン・バーガンディが登場しふたりで「ロデオ」を披露。続いて卯月コウシェリン・バーガンディが「テレキャスタービーボーイ」を歌いました。会場をどんどん盛り上げる、エンタメ性の高いステージが続きます。

◆「脱法ロック」の衝撃

このあと卯月コウが歌った「脱法ロック」は、会場を、オンライン視聴者を、慄かせました。あまりにも彼の存在と、にじさんじの歴史に食い込んでいる作品だからです。

話は2018年9月、ニコニコ動画に「脱法ロック」をネタにした二次創作手書きMV「にじさんロック」が公開されました。部屋の中にこもっていた卯月コウがうずくまってにじさんじの面々を観ているとき、月ノ美兎が「にじさんろっく」のディスクを彼にインストール。開眼する…という彼の境遇とシンクロした流れの映像です。彼は幾度も、この動画を宝物だと語ってきました。

剣持刀也はかつて、卯月コウを「日陰にさす光」と称していました。陰キャ集団の中で、ひときわ目立つ存在、というイメージと向き合い続けている彼。今回は王子様の姿で、声を高らかに張り上げ、ライブステージでキラキラと光を浴びています。「脱法ロック」で描かれていた、暗闇から立ち上がり覚醒した少年の姿そのものでした。

舞台上ではトリップしていたという卯月コウ。昔の後ろ向きだった自分をステージに連れて行って歌うイメージだったと語ります。それはある意味残酷なことかもしれないとわかりつつ、彼は今と過去の自己矛盾を見つめた上で、ステージに立ちました。

彼の今回のステージは無料パートの中に含まれていました。次の眠れる脱法ロック少年少女たちに、刺激は伝わったはずです。

◆アラサーたちの共演

加賀美ハヤト社築の歌った「ロストワンの号哭」は、本来は子供が大人に対して心情を吐露した歌です。それを、毎日が充実している楽しそうな大人ふたりが歌う! 若者の悩みを、夢と希望で塗り替えてしまいました。

加賀美ハヤトの舞台はロック精神がうずいた曲でもあります。本人いわくDAY1のパフォーマンスへの対バンスピリッツがうずき、社築なら乗ってくれるだろうということで、火を吹いた一曲。30歳ふたり、大シャウト。社築も高まって「ガキどもー!」と煽って、テンションダダ上がりです。最高な大人から若者への応援歌でした。

その後に、社築の大人の男声ボイスの魅力が詰まった「ヒカリ証明論」が披露されます。「脱法ロック」が「日陰にさす光」だとしたら、こちらは「輝けるオタクの証明」。加賀美ハヤトは彼の今回のステージングについて「プロセカ(「プロジェクトセカイ」)というコンテンツが、社さんをまた一つ次のステージに成長させたのかもしれない」「ステージに立つ姿勢が出来上がった」と評しています。堂々としつつ笑顔に満ちた彼のステージは、エンターテイナーとして覚醒をしたかのように輝いていました。

その後加賀美ハヤト夢追翔社築の30歳トリオによる「ショムニ」の主題歌「それじゃあバイバイ」と続きます。大人の世界の悩み事や計算を蹴飛ばしアカンベーする作品です。30歳になってアイドルソングを歌っているからこそ出せる、爽快感がありました。

今回の4人のアラサー男子たちは、「大人って楽しい!」をパフォーマンスで体現しています。実際楽しんでいるのだから、説得力は抜群です。

◆シンガーソングライターの決意

次に披露された夢追翔のオリジナル楽曲「おそろいの地獄だね」は夢追翔作品の中でもちょっと異質。初めて観た人は温厚な彼の人柄とのギャップを感じたかもしれませんし、コアなファンなら彼の棘の味を堪能できたはずです。

ARを生かしたステージング表現と、絞り出すような歌声は、苦しみの表現を混ぜて祈っているかのようにも観られました。アーティスト夢追翔は、ステージひとつひとつが戦いの場であるかのように、自分を追い込み、表現と戦います。

◆大人と子どもと学生と

社長である加賀美ハヤト。中学生の卯月コウ。ふたりがすれ違いざまに手をパンとあわせる。歌われるのは「らしさ」です。

今回アラサー帯が多い編成の中に中学生の卯月コウが入ることで、大人と子どもの構図がより強く観られるようになっています。その最たる組み合わせのひとつがこのふたりです。

加賀美ハヤトはデビュー時に「WITHIN」というオリジナル楽曲を披露しているのですが、実はそれは全て録り直ししたものだ、と語っていたことがあります。理由は、卯月コウの「アイシー」を聴いたから、と彼は語っていました。現在卯月コウの「アイシー」は見ることができませんが、そこにふたりの「らしさ」が眠っており、響鳴していたのは想像できます。

剣持刀也の「ジャンキーナイトタウンオーケストラ」。にじさんじはこんなにたくさんのVTuberが所属しているにも関わらず、日本の男子高校生は実は彼一人。大人と子供の歌の次に入る若者の歌として、世界のモヤモヤを軽快に、バッサリと切り刻みます。

そこに現れるシェリン・バーガンディ卯月コウ。こうなればあの曲しかない。「女々しくて」。ファン待望の一曲です。

にじさんじ公式では726万再生を誇る超人気カバーMVです。アーカイブを観るときは爆音で再生しましょう。

続いて披露された「爆笑」は、シェリン・バーガンディが長い間持ち歌にしていたんじゃないかと感じられるほど、自らと一体化したステージでした。彼が自らを突き詰め、解像度をあげた末にたどりついた、自己演出の境地的ステージです。

◆青年たちの明るいパーティータイム

次に登場したのは。歌は「Jam Jam」。エレクトロスイング調の曲にあわせ、柔らかな彼の声が怪しく響く、不思議な作品です。慣れた動きの魅惑的なダンスは、軽々とやっているように見えますが、その下地には彼のものすごい量の努力があります。日中の収録や配信のあと、ダンスレッスンに週何度も通っていたそうです。しかしそれをあまり感じさせずに自然に見せるのが彼の技術です。

続いて夢追翔社築による、疾走感のある「いのちの食べ方」、剣持刀也夢追翔の「東京テディベア」と続きます。剣持刀也の若々しさが遺憾なく発揮されており、夢追翔の情熱と美しいハーモニーを奏でました。

三枝明那による「ねぇねぇねぇ。」はかわいさ全振り。飛んだりはねたりするので、今回のスカート調の衣装がひらひらしてこれまたかわいらしい。ダンスも歌も完璧にこなしているので見ごたえも抜群。メジャーデビューしているふたりの、エンタメプロ意識を感じます。

加賀美ハヤトのソロ曲はしっとりしたバラードの「ハミングバード」。今回のライブ「FANTASIA」を彼なりに解釈し歌った曲のようにも感じられしっかりとしたステージングです。「すごい今更なんですけど、楽しいですね歌うの!」という叫びもまた、大人の喜びを伝えてくれるかのようでした。

後半戦、ステージは明るさを増していきます。剣持刀也三枝明那の爽やか三人組による「お気に召すまま」は、遊びのある楽しいステージです。軽くぶつかり合うようなふざけ合い、三枝明那のいたずら、叶のウインク。青年組3人のお茶目さは、一緒に遊んでくれそうなお兄さんたち、という印象でした。

◆スノハレと「ラ帰雪牛(ラキセツギュウ)」

次に歌われたのが、意外にも「Snow halation」。「ラブライブ!」の曲です。歌っているのは三枝明那卯月コウシェリン・バーガンディ社築の四人。

女性アイドル曲をやりたい、ということで選ばれたこの曲。卯月コウは以前から「『ラブライブ!』のライブへ行った帰りに雪が降っていて、その時食べた牛丼がめちゃくちゃ美味しかった」という経験談を話しており、通称「ラ帰雪牛(ラキセツギュウ)」という内輪ネタが完成しているほどでした。この時の満面の笑みの、アイドルとして覚醒した社築の姿は、ライバーの間でも話題になっていました。

そこに重なってくる、「オリオンをなぞる」で会場は更にヒートアップ。剣持刀也加賀美ハヤト夢追翔が疾走感抜群の歌声で駆け抜けます。ライブ全体の盛り上げをしっかり理解した面々の、華やかなステージでした。

一旦の幕引きを挟んだ後、アンコールで歌われたのが「Hurrah!!」。そして最後に歌われたのが「Virtual to LIVE」。DAY1の女性組の最初に歌われた曲が最後に歌われるという構成はファンのテンションをあげました。

◆年齢ごとのエモのグラデーション

自身たちの見つめているもの、今までの経験を形にしていった結果、年齢にあわせてグラデーションのようにエモの色味が異なって見えたライブでした。その中核になっていたのは、年齢自体は不明ですがアラサーではない青年枠である叶のパフォーマンス。かっこいいところはとことんかっこよく、かわいくするところは堂々としっかり決める。叶のショーマンシップの安定感が、アラサー組のパフォーマンスを引き締めつつ、青年組の熱を自由にはしゃがせつつ、子供組の背中を押していたように感じられました。

それぞれのパフォーマンスについて、ライバーたちは配信で「自分にはできない」と語る様子が観られました。それはキャラクター性や技術もあるでしょうけれども、背負ってきた経験と年齢の重みが大きいようです。もちろん、大人から若者に対しての視線もそうです。

お互いへのリスペクトと、負けてなるものかという思いが、年齢差を飛び越えてぶつかりあい、高めあえる。それがにじさんじの男たちが見せてくれるエンターテイメントの根源にある熱源のひとつです。

セットリスト

1・虹色のPuddle
2・テオ(三枝明那)
3・ロデオ(三枝明那/シェリン・バーガンディ)
4・テレキャスタービーボーイ(叶/卯月コウ/シェリン・バーガンディ)
5・脱法ロック(卯月コウ)
6・ロストワンの号哭(加賀美ハヤト/社築)
7・ヒカリ証明論(社築)
8・それじゃあバイバイ(加賀美ハヤト/夢追翔/社築)
9・おそろいの地獄だね(夢追翔)
10・らしさ(加賀美ハヤト/卯月コウ)
11・ジャンキーナイトタウンオーケストラ(剣持刀也)
12・女々しくて(剣持刀也/卯月コウ/シェリン・バーガンディ)
13・爆笑(シェリン・バーガンディ)
14・Jam Jam(叶)
15・いのちの食べ方(夢追翔/社築)
16・東京テディベア(剣持刀也/夢追翔)
17・ねぇねぇねぇ。(叶/三枝明那)
18・ハミングバード(加賀美ハヤト)
19・お気に召すまま(剣持刀也/叶/三枝明那)
20・Snow halation(三枝明那/卯月コウ/シェリン・バーガンディ/社築)
21・オリオンをなぞる(剣持刀也/叶/加賀美ハヤト/夢追翔)
22・Hurrah!!
23・Virtual to LIVE

《たまごまご》

たまごまご

Vtuber大好きマン たまごまご

オタクカルチャー・サブカルチャー中心に活動しているライター。QJweb、PASH!、ねとらぼ、mogura VR、コンプティークなどでも執筆中。漫画とVtuberとVRの記事が多いです。女の子が殴り合うゲームが好きです。

この記事の写真

/
【注目の記事】[PR]

特集

関連ニュース