
先日、突然Steamの配信作品ガイドラインが変更され、そのガイドラインを遡及的に適用してSteam上の成人向け(アダルト)ゲームが次々に削除されている問題について、海外でもその原因や影響範囲が大きな話題となりつつあるようです。
なお、弊誌の取材に対し、Valveは「Steamにある特定のタイトルが、決済代行業者やそれに関連したカード関連会社や銀行が敷く基準に違反している」と返答し、数年前から国内プラットフォームで起こりつつあった、特定の種類の性暴力などを描いた表現のパージと同じく、クレジットカード決済代行業者がこの問題に関与していることが明らかとなっています。
海外でもクレジットカード決済代行業者の規制について知られる事態に。イーロン・マスクも「独自決済が必要かもしれない」と反応
この問題についてはAUTOMATON WESTも連日大きく報道しており、海外掲示板Redditではこの件を通じてVisa/MasterCardといったクレジットカード決済を使用できるコンテンツに対して事実上の表現規制が行われていることを「初めて知った」という意見や、「なぜこんなことが許されているのか」といった怒りの投稿が見受けられます。
X(旧Twitter)の創業者のイーロン・マスク氏は、AUTOMATON WESTの「VisaジャパンのCEOは、合法アダルトコンテンツのカード決済を無効にするのは"ブランドを守るために必要"だと述べた」という記事に対し、「うーむ、X決済サービスがすぐにでも必要だね」と反応。独自の決済サービスを始めるかもしれない姿勢を見せました。
なお、イーロン・マスク氏は、コアゲーマーであればすでにSteamでの支払いに長年使っている人間も多いだろう、「Paypal」の創業者としても知られています。
オーストラリアの反ポルノ団体が規制に関与の報道も…?
海外メディアPCGamerは、「オーストラリアの反ポルノ団体Collective ShoutがSteamのガイドライン制定を高く評価した」ととして、同団体がSteamやitch.ioへの反ポルノ署名運動を行っていると報じています。ただ、本当にこの団体のみの影響によってクレジットカードの決済規制などが行われているかどうかは定かではありません。他の団体やその思惑、米国で進行している「Pornhub」上の違法コンテンツをめぐってVISAの責任も問われている裁判などが影響していることも充分に考えられます。
何はともあれ、クレジットカード決済を巡り、実質上、特定思想に基づいた表現規制が完遂されてしまっているというオタク業界のトラブルについては、Steamという全世界的な巨大ゲーム配信プラットフォームを巻き込む形で影響を与えた結果、その存在が海外でもようやく認知されつつあります。