■『ほの暮しの庭』にチラつく、『夜廻』で得た絶対的信頼感
『ほの暮しの庭』が新規IPなのは確かですが、一定のゲームファンから既にある程度の信頼を獲得しており、興味を後押しする背景があったのです。
この『ほの暮しの庭』は、日本一ソフトウェアが手がけた『夜廻』シリーズのスタッフが開発に当たっています。それは情報としても明示されていますし、なにより『ほの暮しの庭』のキャラクターデザインやビジュアルは、『夜廻』シリーズを知る者にとって一目瞭然でした。
ただし、『夜廻』シリーズのジャンルはホラーアクション。寂しい夜の街に潜む「なにか」を避けながら、主人公はそれぞれの目的を達成するため、恐る恐る闇の中に足を踏み入れます。この独特の緊張感と忘れがたい物語が、プレイしたユーザーを虜としました。
そのため、「Nintendo Direct」で『ほの暮しの庭』が発表されるや否や、「『夜廻』の最新作か!?」といったコメントがXなどに湧き上がりますが、明るい日差しの中で会話を交わす登場人物たちのやりとりや、哀愁を漂わせながらも落ち着きのあるBGMなど、『夜廻』とは明らかに異なる空気を放っています。


また、主人公が畑を耕したり、釣りに励むなど、のどかな田舎で過ごす日々が描かれると、「これはスローライフを楽しむ生活シミュレーションゲームで、やはり『夜廻』とは違う」といった意見に落ち着いていきました。

しかし、時間が経過して日が暮れると、ナレーションの声もなぜか低くなっていき……主人公の背後には、人ならぬモノの影が!
そんな展開を見せた直後に「『ほの暮しの庭』は、2026年7月30日発売」と告知して映像終了。油断しきったところに背中を斬りつけられたような、強烈な不意打ちで締めくくられたのです。

この一連の流れを見た視聴者は、「ほのぼのライフだと思ったら、後半で本性を表した」「ほのぼのじゃなくて、ほの暗いの“ほの”か!?」「これ、『仄暗"死"の庭』になる?」など、突然湧き上がった不穏な気配に戦々恐々とするばかり。
また、「安心と信頼の日本一の夜廻チームなら、絶対にほのぼのでは終わらない」「安心と信頼の、子供と動物に厳しい日本一ソフトウェア」といった、信頼感ゆえの“絶対恐ろしことになる”予感を覚える人も。「今回は犬は大丈夫?」と心配する気持ちも、『夜廻』ファンなら誰もが気になるところでしょう。

ほのぼの路線からの急転直下や、『夜廻』スタッフへの絶対的な信頼感から、一気に注目を集めた『ほの暮しの庭』。「Nintendo Direct ソフトメーカーラインナップ 2025.7.31」における、最強のダークホースだったと言っても過言ではないほどです。

後に公開された『ほの暮しの庭』の情報を確認すると、本作のジャンルは生活シミュレーション。ホラーの文字はまったく入っていませんが……日本一ソフトウェアが、そして『夜廻』スタッフが、最初の雰囲気のまま終わらせるとは全く思えません。
個人的にも、“夜の恐ろしさ”が絶対に盛り込まれていると確信して止まない『ほの暮しの庭』は、発表と同時に今後注目すべき作品のひとつとなりました。本作でも、企画・ゲームデザインの溝上侑氏の発想や表現に、何度も胸をえぐられそうです……。