お盆は、ご先祖様をお家に迎え入れ、日頃の感謝を伝える大切な時期。昼間は提灯やお供え物の準備に追われ、夜になれば静かに手を合わせる……そんな時間を過ごしている方も多いでしょう。
きっと今この時も、部屋の隅からご先祖様がやさしい目つきで、あなたのことを見守ってくれているはずです。
日本では古くから、盆の時期になると精霊や幽霊の話が語られ、怪談やオバケの存在が身近に感じられるようになります。とはいえ、オバケといっても何も怖いものばかりではありません。中には、見た目も行動も愛らしく、思わず笑顔になってしまうような存在もいるのです。
そこで今回は、そんな「キュートなオバケ」が登場するゲーム5タイトルを厳選してご紹介します。ちょっと不思議で、ちょっと笑えて、でもどこか心温まる……そんなオバケたちと、この夏を過ごしてみませんか?
『恐怖の採点 -Score the Fear-』ゆ~君
1本目はつい先日(2025年7月4日)に発売されたインディーゲーム『恐怖の採点 -Score the Fear-』です。

本作は、単身赴任中でワンルームマンションに住んでいる男のもとに、ゆ~君という小さなオバケがやってくるところから始まります。
彼はどうやら立派な悪霊になるために人を怖がらせる修行をしているようです。しかし、彼自身がマスコットのように愛くるしい見た目であり、怖がらせ方も部屋のど真ん中に陣取って「ばあ!」と手を広げるだけで、全ッ然怖くありません。レッサーパンダの威嚇と良い勝負です。

そんな彼の修行に付き合ってあげて、一日の最後にどれだけ怖かったか、星三つで採点してあげましょう。三日間の修行を終えたとき、主人公の採点によって、彼(ら)の運命が変わります。
見た目通りほぼホラー要素はありませんし、隅々まで遊んでも30分ほどでクリアできるほど短い作品です。とはいえ、エンディングはいくつも用意されており、どれも見応えがあります。

果たして主人公はゆ~君を立派な悪霊に育てることはできるのでしょうか?
あ、いくら相手がキュートだからって、あんまりにも低い点数ばかり付けていると、彼も“本気”を出しちゃいますから、お気を付けて……。

『ファンタズム』主人公
1991年、アーケードで稼働を開始したジャレコのゲーム『ファンタズム』も、オバケが主人公のゲームです。

主人公は恋人とのデート中、彼女を連れ去ろうとした秘密組織の連中に歯向かったために、殺されてしまいます。しかし、恋人の父親は霊エネルギーの研究者でした。
恋人の父親から他者に憑依する力を授けてもらった主人公は、恋人を助ける冒険に出ます。なかなかハイテンポな導入ですね。

主人公が幽霊ということで、基本アクションは「憑依」です。今でこそ『ゴーストトリック』など、幽霊が生者の肉体を乗り替えていくゲームは当たり前になりましたが、この頃はほとんど前例がなかったことでしょう。筆者が調べた限りでは、1986年の『Relics』くらいでした。

実際に遊んでみると、現代でも充分に楽しめる出来でした。ギャングに憑依すれば遠くまで射撃ができますし、スラッガーに憑依すればバットで敵を殴れます。雪女、修行僧、ロボット、女戦士と、憑依できる対象は数多く用意されており、どのキャラクターも面白いアクションを持っていました。

長らくゲームボーイにしか移植されていませんでしたが、2022年にニンテンドースイッチ/PS4/Xbox Oneで発売されました。エンディングのなんとも言えない寂しさは必見です。
『おばけの行進曲』おばけキッド
続いてフリーゲームの『おばけの行進曲』を紹介します。
本作はさもなー(sam113)氏が2003年12月25日に配布を開始した作品。おばけ帝国の皇帝であるおばけパパが人間の世界を征服しようとするので、それを皇子であるおばけキッドが止めるというストーリーのゲームです。
ゲームデザインは『ファンタズム』に近く、白い布を被ったオバケであるおばけキッドを操作し、ザコ敵に乗っかってボタンを押すことで、そいつに憑依して能力を使用できるようになります。さまざまな能力を駆使し、ステージを攻略していきましょう。
フリーゲーム時代を代表する一本で、当時10代だった筆者は感動しながら遊んだものですが、残念ながら現在は配布していたVectorのホームページサービスが終了したことにより、ダウンロードができなくなっています。
本作の10年後を舞台にした続編『おばけの行進曲 10th』が2015年に配布されましたが、こちらも公式サイトが消えてしまっています。あの頃は無限に遊べたフリゲ……遊べなくなる日が来るなんて思いませんでした。なんとか再配布される日が来ることを祈っています。
『UNDERTALE』ナプスタブルーク
内気なゴースト、ナプスタブルークも入れておきましょう。

『UNDERTALE』で初めて出会う中ボスのナプスタブルーク。普段はウォーターフェルにある自宅で曲を作って暮らしています。彼の家を尋ねると、作った曲を聴かせてくれたり、一緒に寝転がってゴミみたいな気分を味わえたりしますよ。

内向的な性格ということですが、曲は作るわ、ヒヤリハットという隠し芸は持っているわ、カタツムリ牧場は経営しているわで、意外と多才です(牧場にはほとんど客が来ないようですが)。
ヘッドセットを付けた白い布というなんとも可愛らしいデザインがたまりませんね。
『スーパーマリオ』シリーズ:テレサ
最後はやはりテレサに〆てもらいましょう。
言わずもがな、マリオシリーズの敵キャラクターとしてお馴染みのテレサは『スーパーマリオブラザーズ3』で初登場します。ピーチ姫からの助言付きという伏線まであり、オバケの割になかなか堂々とした登場ですね。


基本的には無敵であり、背中を向けていると近づいてくるので、ちょくちょく目を合わせながら逃げるというのが攻略法ですが、長い歴史のなかで大量に亜種が生まれ、その限りではないキャラクターもいます。
しかし、ここまでわかりやすくオバケの特性をファミコンのゲームに落とし込むアイデア力……改めて考えてみると凄すぎますね。

『スーパーマリオ64』では「テレサのホラーハウス」というお屋敷まで手に入れましたし『ルイージマンション』では(キングテレサとして)遂にラスボスの座にまで上り詰めました。マリオシリーズの古参敵キャラあるあるですが、順調に出世街道を歩んできております。

以上、ゲームに出てくるキュートなオバケを紹介してきました。「こんなオバケもいるよ!」というのが思いつきましたら、ぜひともコメントで教えてください。