
2025年9月25日から28日にかけて、千葉・幕張メッセにて「東京ゲームショウ2025」が開催されています。
各国のクリエイターが手がけたゲームが集まる世界最大級のゲーム展示会の中、アクティブゲーミングメディアのゲームブランド「Graph」ブースでも数多くのタイトルがプレイアブル出展されています。
本稿では、SWERY氏とSUDA51氏の初コラボとしても話題を呼び、TGS会期中の9月26日に遂にリリースを迎えたカルトでユニークなスラッシャーアクション『HOTEL BARCELONA』のプレイレポートをお届けします。

血みどろ保安官が往く! with「過去の自分」
本作の主人公は新米保安官の「ジャスティーン・ベルシュタイン」。任務のため山奥にある不思議なホテルを訪れた一見おとなしそうな彼女ですが、実は殺人鬼「Dr.カーニバル」に憑りつかれて肉体を共有しています。

内なる殺人鬼の魂を発現した“殺人鬼スタイル”として急にエキセントリックな雰囲気になったジャスティーンが、ホテルの周辺で起こる凶悪事件を調査……もとい、バケモノたちを殲滅する横スクロールアクションに挑む作品で、強弱の攻撃と遠距離武器、そしてジャンプ&ガードで進む王道ながらもスタイリッシュなアクションのシステムになっています。

敵の返り血を浴び続けると大技「カーニバル覚醒」を発動できるシステムによって雑魚敵を一掃する爽快感がありつつも、強敵とは間合い管理や効果的な攻撃も必要になり、回復手段が限られているため僅かな攻撃も食らいたくない、スリリングな戦いが楽しめます。
筆者は初見ではクリアできずに「YOU DIED」を迎えてしまいましたが、むしろ『HOTEL BARCELONA』の本番はここから。ジャスティーンはステージでデスしても、超常的な力によって生と死の境界を越え、おぞましい胸焼けと共にホテルの部屋で復活します。


この拠点となるホテルでは、ジャスティーンの能力や武器を強化が可能。そして、パワーアップして臨む2回目以降の挑戦では“過去の自分”である「スラッシャーファントム」が共闘してくれるシステムになっています。

作り込まれた“周回”がやめられない!
NPCが仲間になってくれるのではなく、あくまで過去4回分の「プレイの再現」を行うため、前回の自分が攻撃を振った位置で戦うようにするなどの工夫が必要な「スラッシャーファントム」というシステム。上手くハマればほとんど歩いているだけでステージ終盤まで進めることもあれば、「初見のステージを探索していた回」や「体力が減って急いでいた回」が頼りなさすぎることも。


また、ステージは階層構造になっており、分岐ポイントとなる扉には毎回変化する報酬が設定されています。訪れていないルートに入ると再現するプレイがなくなったファントムは消失してしまうので、「ファントムを失っても欲しい報酬の扉に入る」のか「ファントムを生かしてクリアを狙うルートをなぞる」かの決断も重要になってきます。

時には序盤でミスが続いてしまうこともあるでしょうが、そこで雑にプレイしてしまうと「次回以降でしょぼいファントムになってしまう」ため何とか爪痕を残して終わりたい気持ちにもなり、トライ&強化を繰り返すゲームながら、毎回のプレイで連続性が味わえる要素になっています。

周回プレイ前提のタイトルであり、ボスを始めとするアクションの歯ごたえはかなりのもの。筆者も最初はハードでチャレンジして全く先に進めなくなりノーマルに戻しましたが、直感的な操作性で理不尽さはなく、落下しても復帰させてくれたり、その場でやり直しできる「再入場チケット」の救済措置もあったりと、リプレイ性は高くストレスなく何度も楽しめる印象をうけました。

特にボスは非常に、そして非情に強く、ズタズタにされて10回20回と同じステージをプレイすることになる可能性もありますが、武器を変えればアクションが大きく変わるので味変効果も◎。また、道中では突発的なミッションや特定の条件を満たせば入れるボーナスステージもあり、完全に見慣れたステージになるまでは相当な時間がかかりそうです。
時にはミッションに沿って倒そうと思っていた敵をファントムが倒しちゃうこともありましたが、そこはご愛敬。

ホラー&バイオレンス&コメディが病みつきな香り。やり込み要素も盛りだくさん
そして、本作の魅力として忘れてはいけないのが、奇抜でユニークな作品世界。
血飛沫舞うアクションに、道中で倒した敵から「骨」「歯」「耳」を強化素材として回収していくホラー&バイオレンスな要素が中心ではありつつ、随所に挟まれるキャラクターの掛け合いも含めてコメディ感強め。アートとボイスで登場人物もキャラが立っていて、特に序盤は意味深な言葉ばかり出てくるので、物語の結末もかなり気になります。


また、ゲームジャンルに「フィルムパロディックアクション」とあるほど、ホラー映画のパロディ要素が多数登場。ホラー好きな方は元ネタを想像しつつプレイするのも楽しいのでは。なお、ゲームとしてはホラー的演出・描写は多くないので、ホラー苦手寄りで全く元ネタにピンと来ない筆者でも十分楽しめました。


「拠点とステージを行き来する死に戻りゲー」と聞くとどこかにありそうな感じもしますが、アートスタイルやUI、ファントムのシステム、そして血みどろでノリノリな作品世界と、唯一無二な体験が確立されている『HOTEL BARCELONA』。

SWERY氏、SUDA51氏のファンから、ホラー映画マニア、ハクスラアクション好き、そして“殺人鬼ジャスティーン”のビジュアルにビビっと来た方まで、ニッチながらも多彩な層に強く刺さる作品になっているのではないでしょうか。

発売を迎えたばかりの本タイトルを実際に遊んでみたい方も、ちょうどTGSに行こうと思っていた方も、ホール8【08-N04】の「Graph」ブースでぜひ体験してみてください!
