『へべれけ ばにーがーでん』“破れる衣装”に惹かれたはずなのに…! 千鳥足アクションにハマり、保護欲まで湧き上がったプレイレポ

酔っ払いを無事に帰宅させる、千鳥足アクション『へべれけ ばにーがーでん』。一部の層に向けて強力にアピールする本作は、純粋にゲームとしてどのような魅力があるのか。その実際に迫るレポートをお届けします。

ゲーム プレイレポート
『へべれけ ばにーがーでん』“破れる衣装”に惹かれたはずなのに…! 千鳥足アクションにハマり、保護欲まで湧き上がったプレイレポ
『へべれけ ばにーがーでん』“破れる衣装”に惹かれたはずなのに…! 千鳥足アクションにハマり、保護欲まで湧き上がったプレイレポ 全 11 枚 拡大写真

紳士たちの社交場「バニーガーデン」では、魅惑的なキャストたちにもてなされる大人の時間が楽しめます。しかし、営業を終えたキャストたちは、時に飲みすぎてしまうこともあり、帰る頃にはフラフラの千鳥足に――。

本作『へべれけ ばにーがーでん』では、そんな酔いどれ状態の彼女たちを無事に自宅まで帰すのが、プレイヤーの使命となります。「まともに歩けない酔っ払いを帰宅させる」という、誰が見てもコミカルなシチュエーションですが、だからこそゲーム性が気になるところです。

酔っ払いを扱ったアクションゲームは、内容も酔いどれ状態なのでしょうか。その実態に迫るプレイレポートをお届けします。

■「バニーガーデン」のキャストが迎える、ちょっと刺激的な夜と試練

バニーガーデンの人気キャストである花奈、凜、美羽香の3人が主人公となり、それぞれの帰路がアクションゲームとして描かれています。プレイヤーの任務は、障害物だらけの夜道を進みながら、彼女たちを安全に家まで導くこと。障害物や自転車、ときには車を避けながら、ゴールに辿り着けばステージクリアです。

最も印象的だったのは、風変わりな操作システムです。一般的な3Dアクションゲームでは、Lスティックの上方向を入力すればキャラクターは前進します。しかし、本作では上を押しても前に進まず、その場でぐるぐると回転するばかり。

キャストの動かし方を車の運転に例えると、上入力は「アクセル」に相当し、キャラクターが前に進む推進力が得られます。しかしキャストたちは酔っているため、いわゆるハンドルが常に誤入力の状態です。アクセルだけを踏み込んでも、その場で回転してしまい、前進できません。

そこで必要になるのが、「方向転換」による修正操作です。右にふらついたら左に、左に傾いたら右に切り返す――このバランスをうまく取ることでようやく、キャラクターはまっすぐ歩くことができます。まるで千鳥足の酔っ払いを支えるような感覚で、プレイヤーは細かな入力を重ねながらキャストを導いていくのです。

こうした設計により、単なる「酔っ払いネタゲー」ではなく、コントロール精度を問われる意外性と手応えのあるアクション性が構築されていました。率直にいえば、想像以上にしっかりしたゲーム性だったため、驚くと共に見くびってしまって申し訳ない気持ちに駆られたほどです。

■酔いどれアクションの中に潜むジレンマ

本作の夜道には、様々な危険が待ち構えています。キャストにはHPが設定されており、障害物にぶつかるたびにダメージを受けます。一定以上のダメージを負うとキャストは転倒してしまい、タイムのロスに加えて衣装が破けるという悲劇にも見舞われます。さらにHPが減り、0になるとゲームオーバーです。

障害物を避けようと方向転換したら、酔いによるふらつきが大きくて別の障害物に直撃――そんな災難も珍しくありません。右のモノを避けたら、左のモノにぶつかる。この、理不尽ながらも「そりゃそうなるか」感のある挙動が、トライ&エラーを生む下地となります。

さらに、さきほどアクセル=推進力と例えた「へべれけゲージ」は、上入力を続けるとゲージが溜まり、キャストの移動速度が上昇します。ところが、速度が上がるほど酔いによる回転も激しくなり、操作が難しくなるというジレンマが発生。早く帰りたいと思うほど、事故の確率が上がっていく。酔いどれの帰宅劇を描くゲームデザインとして、非常に高い説得力が感じられました。




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《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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