2000年に発売された『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』は、初代PlayStation向けに展開した『ドラクエ』ナンバリング作として、大きな注目を集めました。
特にビジュアルの変化が顕著で、前作(『ドラゴンクエストVI 幻の大地』)まで踏襲していたドット絵の2D路線から、3Dポリゴンによる立体的な描画へと一変し、斬新な表現で『ドラクエ』の可能性を押し広げます。

この『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』を元に、新たな手法で描いたフルリメイク作品『ドラゴンクエストVII Reimagined(以下、ドラクエVII R)』が、2026年2月5日に発売されます。
令和に再誕する『ドラクエVII R』は、どのような進化を遂げ、いかなる魅力を備えたのか。その一端にいち早く触れた試遊プレイレポートをお届けします。なお、今回プレイしたのはPS5版となります。
■ナンバリング初の3Dだからこそ、その進化形も独自路線

作品がリメイクされると、ビジュアルがより美しくなる場合が多々あります。しかし『ドラクエVII R』は、見た目を単に綺麗にしただけではなく、人形(ドール)のような造形で描かれたキャラクターと、その容姿にマッチした世界描写の相乗効果により、実物と錯覚してもおかしくないジオラマめいた世界をゲームの中に見事造り上げました。
こうした印象を生んでいる要因は、本作独自の制作過程にあります。主人公たちのビジュアルは、まず職人の手によって実際のドールとして生み出されました。そして、このドールを撮影したデータを元にCG化し、モーションを加えて作中のキャラクターとして表現しているのです。
実存しているかのような質感は、まるで手で触れられそうなほど。卓越したドールルックの見た目はトレーラーなどの映像でも確認できますが、ゲーム内で実際に動く姿を見ると、温かみのある存在感を改めて実感させられます。

『ドラクエ』シリーズのリメイクといえば、直近では『ドラゴンクエストI&II』や『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』を思い出す人も多いことでしょう。いずれもドット絵で描かれたかつての作品が、ドット絵と3Dを組み合わせた“HD-2D”による表現で一新され、懐かしくも新たな世界を描くことに成功しました。
“HD-2D”がドット表現の現代的進化形だとすれば、“ドールルック”は3D表現の可能性をさらに広げる手法と言えるでしょう。まるで人形劇のような世界にプレイヤーとして関わる実感は、新鮮な興奮を味わわせてくれます。
■ゲーマーからカジュアルユーザーまで受け止める『ドラクエVII R』の深い懐

どうしてもビジュアル面に目が奪われがちですが、『ドラクエVII R』の発展はゲームシステムにも深く及んでいます。
まず、オリジナル版と比べてメニュー画面のUIが一新されており、全体的に操作しやすく変わりました。タブの切り替えといった基本的なことから、「どうぐぶくろ」をパーティ全体で共有化する形に変更するなど、遊びやすい改善が随所に施されています。
快適に遊ぶ上で重要なポイントとなる「難易度」も、本作では至れり尽くせりです。ストーリー重視で楽しめる「楽ちんプレイ」、適度な手応えが味わえる「バッチリ冒険」、バトルの醍醐味を堪能できる「いばらの道だぜ」からプレイヤーの任意で選べるほか、バトルに関わる項目を個別に調整もできます。

例えば、「与えるダメージ」を増やせば当然モンスターを倒しやすくなりますし、「獲得経験値」を多くすればレベルアップも早まり、余裕を持って戦えるようになります。「獲得ゴールド」を調整してリッチな冒険を楽しむのも悪くありません。更に、「獲得職業熟練度」「モンスターのつよさ」「戦闘終了時のHP回復」といった項目もあり、「自由にせってい」を選べば個別に設定可能です。
ちなみに本作のモンスターはシンボルエンカウント制で、主人公たちを感知すると向こうから襲いかかってきますが、この行動も調整可能。不意に襲われず、こちらが戦いたい時だけ戦う、という設定で遊ぶこともできます。

ゲームを遊ぶスタイルや求める面白さは、プレイヤーによって千差万別です。サクサクと遊びたい、手ごわいほどいいなど、とてもひとつには絞れません。しかし『ドラクエVII R』は、難易度を細やかに調整できるため、多くの人が“自分好みの遊びやすさ”を見つけやすい作品に仕上がっています。



