Esports World Cup Foundationは1月21日、今年開催するEsports World Cup 2026(eスポーツワールドカップ2026 以下、EWC2026)についての詳細を発表しました。
今年もサウジアラビア現地時間の2026年7月6日から8月23日まで開催され、賞金総額は7,500万ドル(約118億円)を超える大会になります。
本稿では、発表に先立って行われたメディアカンファレンスでの発表内容をお届けします。
◆今年は24タイトルが採用!100カ国以上から選手が出場
カンファレンスではEWCF副CEO兼COO・Mike McCabe氏と、EWCF最高ゲーム責任者・Fabian Scheuermann氏が登壇。始めに、昨年行われたEWC 2025についての振り返りが行われました。


2回目の開催となったEWC 2025では、2024年の第1回大会と比べてリーチと視聴者数が大幅に増加したとのこと。『VALORANT』や『餓狼伝説』『Crossfire』のほか、『チェス』が取り入れられ、競技数は24タイトルとなりました。
中でも『チェス』は、これまでのeスポーツや競技プレイに馴染みのなかったコミュニティに向けて追加したもので、試みは成功を収めました。今後はチェスコミュニティとのパートナーシップも強化されてくようです。
また、各タイトルのパブリッシャーと共同開催した11のイベントも、成功の要因と語っています。「Road to EWC」として、各パブリッシャーが自社のイベントでEWCについて言及することで、夏に向けての盛り上がりを感じられるようになります。
そして、大会の成功はパブリッシャーとコストリーマー(共同配信者、ミラー配信のようなもの)が鍵であることを強調。総視聴時間の56%はコストリーマー経由の視聴によるものであり、パブリッシャーも自社のチャンネルを通してEWCを配信してくれる協力体制が成長を支えていると語りました。
今年行われるEWC 2026では、賞金総額が昨年から増額された7,500万ドル(約118億円)で行われます。

タイトル数は昨年と同じ24タイトル、25大会を7週間にわたり実施。およそ100か国以上から、2,000名を超える選手と200クラブが出場します。なお、採用タイトルは昨年と違い、新たに『フォートナイト』『Trackmania(トラックマニア)』の2タイトルが新たに追加されます(『フォートナイト』は2024年以来の採用)。
クラブ横断で総合順位が競われる「EWCクラブチャンピオンシップ」では、総額3,000万ドルが授与され、優勝クラブには700万ドルが贈られます。
■採用ゲームラインナップ一覧
『Apex Legends』『Call of Duty: Black Ops 7』『Call of Duty: Warzone』『Chess』『Counter-Strike 2』『Crossfire』『Dota 2』『EA Sports FC 26』『餓狼伝説: City of the Wolves』『フォートナイト』『Free Fire』『Honor of Kings』『League of Legends』『Mobile Legends: Bang Bang』『Overwatch 2』『PUBG: Battlegrounds』『PUBG Mobile』『Rocket League』『ストリートファイター6』『Teamfight Tactics』『鉄拳 8』『Tom Clancy’s Rainbow Six Siege X』『Trackmania』『VALORANT』

◆あの印象的な「キー」をプレス機で破壊する演出は「今年もさらに洗練」
発表の後、各国メディアとの質疑応答が行われました。ここでは、その一部を抜粋して紹介します。
eスポーツに詳しくない視聴者の興味を引き、大会の雰囲気に没入してもらうために、どのような戦略を立てていますか?
これは我々が昨年から非常に力を入れている、極めて重要なポイントです。視聴者層を広げるためには、複数のレベルでのアプローチが必要です。まず、現地での体験においては、初めての人でも歓迎されていると感じ、何が起きているのかを理解して情熱を感じられるようにしています。
しかし、放送コンテンツにおいてはさらにバランスが重要になります。状況を理解するための「教育的」な要素と、チームやクラブに感情移入してもらうための「ストーリー性」を両立させる必要があります。
昨年、我々は「Spotlight」という番組を立ち上げました。これは有名人やアスリートを招き、彼らが競技と真正面から向き合う姿を伝えるものです。テニス選手のニック・キリオスは、実は非常に情熱的な『Call of Duty(コール・オブ・デューティ)』のプレイヤーです。彼がトップレベルのCoDコミュニティと関わる姿を自身のSNSを通じて発信することで、全く新しい層にeスポーツの魅力を届けることができました。
また、Amazon Prime Videoで『Level Up』というドキュメンタリーシリーズも公開しました。これは、人生を変えるような賞金をかけた競争や、プレイヤーにとってコミュニティがいかに重要かを、従来のファン以外の層にも伝えるためのものです。現在シーズン2を制作中で、今年のEWC開催前に公開する予定です。
私たちは「より広いゲームファン層をeスポーツの最高レベルの競技体験に引き込む」新しい方法を常に探しているのです。ここリヤドの壮大なスタジアムで生まれるあの熱気を、世界中の人々のスマートフォンや家庭に届けるために、できる限りの努力を続けています。
今後、どのようにタイトルの選定を行いますか?
タイトルの選定については、非常に透明性の高いアプローチをとっており、主に3つの要素を見ています。
1つ目は、視聴者数と来場者数です。中東地域だけでなく、特定のタイトルのためにリヤドまでわざわざ足を運んでくれる国際的なファンがどれくらいいるかという点は、非常に重要な指標です。
2つ目は、既存のエコシステムとの親和性です。我々はeスポーツ界に強引に割り込むのではなく、既存のエコシステムに「付加価値」を与えるプラットフォームでありたいと考えています。そのため、パブリッシャーと緊密に連携し、どのように公式イベントを我々の大会に統合し、コミュニティ、パブリッシャー、そして我々の「三方良し(Win-Win-Win)」を実現できるかを確認します。
3つ目は、パブリッシャー自身とのコラボレーションです。パブリッシャーの中には非常に熱心に協力してくれるところもあれば、少し距離を置くところもあります。
しかし最終的に必要なのは「eスポーツをより大きくし、メインストリームのステージに持っていき、ハードコアなファンだけでなく幅広いゲームオーディエンスと繋げること」です
ハードコアなファン以外にも窓口を広げるには、パブリッシャーの協力が不可欠です。
もし採用タイトル数が変わらなくても、これらの要素を考慮して、長期的に見てより適したタイトルがあれば入れ替えを検討します。
特別ゲストの予定は?
アンバサダーのクリスティアーノ・ロナウドやマグヌス・カールセンには既に関わってもらっていますが、それ以外にも多くの俳優、アスリート、インフルエンサーを招く計画です。昨年、これによって主流の観客にアピールできることが証明されました。100%計画中ですが、誰を呼ぶかについては現在各エージェンシーと調整中です。
しかし我々にとって重要なのは、その人物が「本物のつながり」を持っているかという点です。例えばランド・ノリス(F1ドライバー)は、実は熱狂的なPUBGプレイヤーでした。私たちはそれまで知らなかったのですが、彼と一緒に座って話をしていると、どれだけプレイしているかを楽しそうに語ってくれました。
そして驚くべきことに、トニー・ホークをはじめ、私たちが出会う多くの人々がみんな、ゲームに関してそれぞれ素晴らしいストーリーを持っているんです。
リストはまだ確定していませんが、今後数か月のうちにその話をさらに詳しくしていく予定です。
タイトルの採用・非採用の基準は?『Trackmania』や『餓狼伝説』のようなタイトルはどう選ばれましたか?『Fortnite』が2025年になく、今年復活した理由は?
経緯については少し説明しましたね。
『Trackmania』と『餓狼伝説』について一言。特定のジャンルに注目したとき、先ほど述べた3つの基準に沿ってどのタイトルが特に興味深いかを検討します。
『Trackmania』を例に上げると、レースゲームというジャンルにおいて最も視聴・来場者数が多く、Ubisoftからの提案も非常に熱意がありました。ラインナップにTrackmaniaを採用した最終的な決め手です。
『Fortnite』については、以前は独自モード(UEFN)を使用して独自のマップやモードを作成しましたが、上手くいきませんでした。今回はEpic Gamesと深く提携し、非常に人気の高い「Reload」シリーズを共同開催することになりました。私たちはこの点で真のパートナーであり、決勝はEWCで行われます。
これは先ほど説明したすべての基準を満たしており、今後数年間、ラインナップに留まることを非常に楽しみにしています。
2025年の経験から得た、2026年に活かすべき教訓は何ですか?
Fabian Scheuermann氏 最大の教訓は、パブリッシャーとコミュニティに対してもっと時間をかけて「EWCとは何か、なぜ重要なのか」を丁寧に説明し、賛同を得る必要があるということです。皆様のようなメディアの助けを借りて、eスポーツファンだけでなく、より広いゲームファンにメッセージを届けることが不可欠だと感じています。
Mike McCabe氏 教訓については、パブリッシャーとの「共創」が非常に重要だと再認識しました。ゲーム業界全体がますます厳しい時期を迎えている中で、私たちがパブリッシャーを支援し、協力し、ともに創り上げていく能力は本当に重要です。
ゲームプレイから我々が創り出す頂点のイベントに至るまで、よりシームレスな繋がりを構築する上で、この手法が非常に効果的だったことを実感しました。2026年もこの取り組みを継続します。
また、スーパーファン・プログラムを通じて、世界中のファンの声をリヤドで聞けたことも大きな収穫でした。地元のファンがスーパーファンに囲まれて共に応援する姿は、まるでサッカーのワールドカップのようでした。この勢いを2026年にも繋げたいです。
国別対抗戦は導入されますか?
はい、11月に開催される「Esports Nations Cup」がそれに当たります。現在、年に2つの世界規模のイベントを開催すべく、チーム一丸となって取り組んでいます。
「キー・クラッシング・セレモニー(敗者の鍵を粉砕する儀式)」は非常に面白い特徴です。このアイデアはどこから来たのですか?
我々はクラブ・チャンピオンシップの旅路を象徴する、eスポーツらしいエッジの効いた「儀式」を作りたかったのです。誰かのアイデアで「負けたチームの鍵をプレス機で粉砕しよう、ステージの真ん中に配置しよう」となったのですが、それが現場でも放送でもソーシャルメディアを通じても非常にドラマチックで強力なコンテンツになりました。
私たちはこの取り組みをとても気に入っており、今も改良を続けています。初年度に思いついた多くのアイデアのうち、いくつかは2年目に実現することができました。
そして、2026年に向けて、さらに多くの新しい取り組みを計画しています。それについては、7月にぜひ見に来てください。
eスポーツのスケジュールは非常に過密で、選手が他の大会から直接EWCに来ることもあります。選手が回復し、万全な状態で臨めるよう、EWCとしてどのようなサポートをしていますか?
Fabian Scheuermann氏 おっしゃる通り、eスポーツのカレンダーは非常に過密です。我々はパブリッシャーと緊密に連携し、2027年や28年に向けて、、EWCのスケジュールを組む際には、各トーナメントの前後でできるだけ自由な時間を確保できるよう、非常に難しいパズルを解くような作業を行っています。
大きな課題であり、多大な努力を要します。時には妥協が必要な場合もありますが、選手の負担になるような形では決して行いません。
Mike McCabe氏 補足すると、我々は選手を「アスリート」として最高に扱います。宿泊施設や送迎、現地の体験プログラムはもちろん、会場内に素晴らしい「プレイヤー・ラウンジ」を用意しました。今年も同様に設置します。
そこでは静かに過ごしたり、マッサージやフィジエ(理学療法)を受けたり、質の高い食事を楽しんだりできます。
毎週アンケートをとって改善を続けていますが、昨年、選手たちからは非常に高い評価をいただきました。過密日程ではあっても、ここに来れば他タイトルの友人たちとも交流できる「オリンピック村」のような雰囲気があり、それを楽しみにしている選手も多いのです。
インドには膨大なクリケットファンがいますが、『Cricket 26』や『Real Cricket』といったタイトルを採用し、そのファン層をeスポーツ市場に活用する考えはありますか?(インドのメディアからの質問)
Fabian Scheuermann氏 クリケットについては実際に検討しました。インド市場において非常に強力であることは理解していますが、我々の目標は「世界中の全てのコミュニティ」を網羅することです。
現時点では、クラブ対クラブというプロのeスポーツ・エコシステムがまだ十分に構築されていないため、フェスティバル・タイトルとしては良いですが、クラブ・チャンピオンシップ・タイトルとしては時期尚早だと判断しました。しかし、クリケットは世界的な現象として成長しており、2028年や29年にはどうなっているか分かりません。
Mike McCabe氏 私にとってもこれはやり残した仕事です。2006年にインドのハイデラバードで初めてモバイル・クリケットゲームを開発したのですが、まだ決定的なブレイクスルーには至っていません。今後、タイトルが進化し続ければ、将来的に採用される可能性は十分にあります。



