■キャラクターはレベルアップせず、強さは積み重ねで決まる

サクナヒメやヒヌカヒメを含め、パーティに参加できるキャラクターには、それぞれ「生命力」「攻撃力」「防御力」などのステータスが設定されています。ただし、『天穂のサクナヒメ』や一般的なアクションRPGとは異なり、本作では経験値によるキャラクターのレベルアップはありません。
キャラクターの強さは、ステータスに加えて、最大★5まで存在するレアリティを示す「階位」、定められた献立を作ると上昇する「段位」、そして階位を最大まで上げることで解放される「固有武器」の性能を合算させて決まります。

「階位」や「段位」の上昇による直接的な強化手段もありますが、その段階はある程度限られてもいます。そのため、装備品である「米」の育成が、戦力強化において極めて重要であるとご理解いただけることでしょう。
米を装備すると、そのパラメータが「攻撃力」「防御力」「生命力」といったステータスに加算されます。どのキャラクターにどのような傾向の米を持たせるのか、その判断も本作ならではの戦略性と言えます。
■アクションバトルも「おまかせ」で進められる設計

サクナヒメとヒヌカヒメは、謎に包まれた群島の調査を進めるため、ひとつずつ島を巡っていきます。島ごとにボスが待ち構えており、そこへ至るまでの道のりとして複数のステージを用意。ステージを進行する過程で物語も展開され、随所でバトルが発生します。
本作のバトルは『天穂のサクナヒメ』から大きく変化し、見下ろし型の探索アクションとなりました。操作は比較的シンプルで、通常攻撃、クールタイム制のスキル攻撃、回避を兼ねたダッシュが主なアクションとなります。

限られたプレイ時間の中で体験した印象では、プレイヤースキルがバトルに影響するものの、勝敗をより大きく左右するのは、積み上げた戦力だと感じました。稲作を中心とした強化要素が、バトルの結果に直結しやすい設計となってるようです。
原作『天穂のサクナヒメ』では、ある程度の戦力差をプレイヤーの操作技術で補うことができました。一方で『ヒヌカ巡霊譚』は、強化要素の比重がより大きいデザインになっています。
この点については、原作ファンの中には物足りなさを感じる人もいるかもしれません。純粋なアクション性の手応えという点では、『天穂のサクナヒメ』に軍配が上がるのは事実でしょう。

しかし、バトルのバランスは好みの問題もあり、一概に優劣をつけられるものではありません。原作のバトルは完成度が高い反面、アクションに不慣れなプレイヤーにとってはハードルが高かった側面もありました。その点、『ヒヌカ巡霊譚』は育成要素を重視することで、より幅広い層が楽しめる設計になっていると言えます。
さらに、本作はバトルにおいても「おまかせ」機能が用意されています。バトルをフルオートで任せることができるため、アクションが苦手な人はもちろん、移動中など操作が難しい場面でもオートバトルに任せるプレイが可能です。スマートフォン対応タイトルである本作において、この配慮は非常にありがたいポイントでしょう。

なお、バトルは4人編成のパーティで行われ、プレイヤーが操作するキャラクター以外は自動で戦ってくれます。ソロプレイでありながら共闘感が味わえる点も、『ヒヌカ巡霊譚』ならではの魅力です。
■地に足をつけて進む、「サクナヒメ」の新品種

『ヒヌカ巡霊譚』の軸となる「稲作」「バトル」、そしてそれらに結びつく強化要素について、プレイ体験に基づくレポートをお届けしました。ただし、ユーザーが気になる点はこのほかにもあるはず。そのひとつと思われる課金要素について、最後に軽く触れておきます。
本作は、基本プレイ無料のアイテム課金制で提供される予定です。そのため、キャラクターの直接販売が行われるほか、「階位」を上げる限界突破用アイテムと「心想神画」(米とは別枠の装備品)が確率で排出されるガチャ要素が用意されています。
また、稲の収穫や施設の建築には一定の時間経過が必要で、完了までに待ち時間が発生します。リアルに時間の経過を待つこともできますが、この待ち時間を課金によって短縮することも可能です。

ただし、そうした要素が課金だけに限定されているわけではありません。無償通貨で販売されるキャラクターを手に入れられますし、ガチャも回せます。
また回数制限などはあるものの、収穫や建築は、アプリ内で配信される広告の視聴で時短できます。広告を視聴する代わりに報酬を得るという形式は、無料動画配信サービスにおけるCM視聴を想像してもらえれば、分かりやすいかと思います。
しかも本作の場合、広告枠はポリシーによるコントロールを想定しており、関連作品である「サクナヒメ」IPの広告に加え、「農業系」や「食」に関連した広告に絞る方針とのこと。広告視聴を導入しつつも、『ヒヌカ巡霊譚』と親和性のあるものに調整しようという試みは、没入感を阻むノイズを抑える効果もありそうで、ひとりのユーザーとして好感を覚えます。
羽衣アクションで空を舞うような爽快感を味わえた『天穂のサクナヒメ』に対し、『ヒヌカ巡霊譚』は稲作要素をさらに拡張しており、地に足をつけて積み重ねていくようなプレイ体験でした。

「サクナヒメ」を稲作とするならば、『ヒヌカ巡霊譚』は新たに生まれた品種と例えられます。新品種が果たしてどんな稲穂を実らせるのか、期待が高まる先行プレイとなりました。



