消臭スプレーで除霊ができる―そんな噂の元ネタとなったのが、和風ホラーゲームの金字塔「零シリーズ」の第2作目『零 ~紅い蝶~(以下、オリジナル版)』におけるスタッフコラムでした。
今から約23年前の2003年に産声をあげたオリジナル版は、翌2004年にXbox版が発売。2012年にはWii向けに『零 ~眞紅の蝶~(以下、眞紅の蝶)』としてリメイクされ、そして来る2026年3月12日に『零 ~紅い蝶~ REMAKE』がリリースされる予定です。
本稿ではオリジナル版を振り返りつつ、本作を一足先にプレイしたうえで感じた新たな魅力についてご紹介します。なお、プレイ環境はPC(Steam)版で、規定により第4章(四ノ刻)までの内容となります。
※執筆に際し、コーエーテクモゲームス様よりダウンロードキーを提供いただいております。
広大なマップと重厚なストーリーが魅力のオリジナル版
本作は、怨霊がさまよう“皆神村”を舞台に、そこへ迷い込んだ主人公・天倉澪と姉の繭が、村でかつて行われていた儀式とそれが招いた惨劇に迫りつつ、脱出を目指す和風ホラーADVです。

『零』シリーズは外伝やリマスターを除き、これまで計5作品が発売されてきましたが、中でも『紅い蝶』の魅力の一つは「村」という単位を丸ごと舞台にしている点です。
村のまとめ役である黒澤家を筆頭に、逢坂家・桐生家・立花家・槌原家といった有力者の屋敷が建ち並び、神社や墓地も存在するスケール感で、まるで廃村へ肝試しに訪れたかのような体験を味わえます。
そこに土着的・民俗学的な要素を含むストーリーが絡み合い、日本人にとってどこか懐かしく、それでいて言い知れぬ恐怖を感じさせる世界観が描かれた作品となっています。

また、シリーズを通じた大きな特徴が、ありえないものを写すカメラ“射影機”を使った怨霊との戦闘です。敵に大ダメージを与えるにはギリギリまで引きつける必要があり、その駆け引きが高い緊張感を生み出しています。

オリジナル版をベースに新エリアやサイドストーリーが追加
本作では、オリジナル版のマップをベースに新エリアが追加されました。
澪の脱出を手助けする立花樹月が囚われた土蔵の奥には、ススキが鬱蒼と生い茂る「茅野」や村民が暮らしていたであろう集落が広がり、暮羽神社へ向かう道中には公式サイトでも紹介されていた「鍈火堂」が建っています。



また、本作では「割れた霊石」の入手によって発生するサイドストーリーも追加されました。オリジナル版ではストーリーの一部に組み込まれていた内容が、サイドストーリーとして分離しているケースも。逢坂家で遭遇する須堂美也子もその一例です。


グラフィックやキャラクタービジュアルの進化もリメイクならではの嬉しいポイントですが、マップの拡張や物語構造の変化もまた、狂気に満ちた皆神村への没入感をより高めています。
遊びやすさ・恐怖感を高める新要素
ストーリーなどオリジナル版から踏襲した部分のほか、本作には新要素が多数盛り込まれました。ここでは筆者が実際にプレイして気になったポイントを3つ紹介します。
◆快適な操作性
オープニングを終え、基本動作のチュートリアルが始まった際にまず驚いたのは、挙動の滑らかさです。
ディレクターの柴田氏は、PlayStation.Blogのインタビューにて「このシリーズは操作性があまり良くない」という指摘があったと明かしていました。その中で、今回は開発をTeam NINJAが担当した効果か、操作性が格段にアップしています。
ホラーゲームとしては、動きのぎこちなさも恐怖感を高める仕掛けとなり得ますが、難易度の高低にも直結するため、シリーズ初心者が入りやすい設計としての意図もあるように感じました。

◆生まれ変わった“射影機バトル”は慣れるまで一苦労
怨霊とのバトルに関しては、かなり難しくなっている印象を受けました。本作から射影機の新機能に「ピント」「ズーム」「フィルター」の3つが実装されましたが、これらを使いこなすにはある程度の慣れが必要でしょう。
ピントに関してはオートフォーカス機能があるものの、合うまでには時間を要するため、手動で調整したほうが早く感じました。その分手元の操作は忙しくなってしまいます。


一方で、新機能の中でも特に重要だと感じたのはフィルター機能です。物語が進むごとに種類が増えていき、全部で「写影」「霊視」「露出」「照射」の4つが確認できました。
それぞれ威力やフィルムの装填速度などの基本性能が異なり、過去作でいう強化レンズのような「特殊撮影」の効果にも違いがあります。なお、実際にプレイして感じた戦闘時における各フィルターの使用感は以下の通りです。
写影:万能型/特殊撮影は相手をヒットバックさせる「圧」
霊視:射程が比較的長い/特殊撮影は相手の目をくらませる「暗」
露出:装填速度がダントツで早い/怨霊が羽化(後述)した際に効果的/特殊撮影は相手の行動を遅くする「遅」
照射:威力が頭一つ飛び抜けている/特殊撮影は撮影の威力を高める「滅」
新システムであり、特殊撮影にも使用する「霊力」は管理が重要に。怨霊の攻撃を受ける、“睨まれる”(怨霊と至近距離で目が合う状態)などによりゲージが減り、霊力が枯渇した状態で攻撃を受けると澪が転倒してしまい、怨霊が覆いかぶさってきます。
同行者の繭も怨霊の攻撃を受けると転倒してしまうので注意が必要です。特に複数の怨霊との戦闘ではフィルムの装填が間に合わず、ゲームオーバーになりかねないため、繭が転倒したら隙を見てすぐに助け起こしたほうが賢明でしょう。



怨霊はピンチになると“羽化”してしまいます。これは『零 ~月蝕の仮面~(以下、月蝕の仮面)』の「咲いた」状態に近く、攻撃の積極性が増すほか、耐久力が増してせっかく減らした体力も回復することに。
一度の戦闘で複数回羽化することもあり、戦闘時間も長期化しがちですが、この場合は前述した露出フィルターが有効であり、状況に応じたフィルターの使い分けがバトルを早く終わらせるコツとなりそうです。

◆スリルを味わえるステルス要素
本作では、射影機の扱いに慣れるまでモブの怨霊も強敵となりえます。特に村を巡回する複数の村人とは戦闘にならないよう避けたいところ。そんなときは、懐中電灯の明かりを消し、物陰に隠れてやりすごしましょう。

「三ノ刻 大償」より、射影機での撮影が通用しない“縄の男”とのチェイスはハラハラする展開に。オリジナル版をプレイ済みの方は「エリア移動すれば大丈夫」と思うかもしれませんが、本作ではこちらを見失うまで執拗に追ってきます。


捕まったら終了という緊張感の中、開かない扉まで追い詰められようものなら一巻の終わりです。危機的な状況を回避するには、建物内に点在する隠れ場所を有効活用しましょう。

今回は『零 ~紅い蝶~ REMAKE』におけるオリジナル版から進化した要素や、実際にプレイして感じた新たな魅力について紹介しました。
その中で本作はシリーズファンがイチから楽しめる内容に仕上がっていますし、ストーリーが独立していることもあり、初心者の方も本作から入って全く問題ありません。
特にフィルター機能に関しては探索でも効果を発揮し、霊視フィルターはそこにいない誰かの残影を追ったり、露出フィルターは重要なアイテムや場所を顕現させたりなど、物語を進めるうえでの道しるべにもなります。ホラーゲームにありがちな「次にどうすればいいかわからない」といった悩みもきっと解決してくれるはずです。
筆者としては本作が大ヒットを果たし、完全新作や別作品のリメイクにつながることを祈るばかり。遊びやすさも怖さもパワーアップしていますので、シリーズファンのみならず、初めて「零」という作品に触れる方も、ぜひ本作を購入して遊んでみてください。
『零 ~紅い蝶~ REMAKE』は、PS5/ニンテンドースイッチ2/PC(Steam)/Xbox Series X|S向けに2026年3月12日に発売予定です。


