■未経験者が新鮮に味わえる「奥深い物語」
演出の差し替えによる懸念はあるものの、ゲーム全体から見ればひとつのシーンに過ぎず、未経験者にとって重要なポイントはこの他にも数多くあります。そのひとつが、本作を語る上で欠かせない物語面の魅力です。
本作の物語は、『テイルズ オブ』シリーズの中でも特に重みのあるシリアスさで知られています。シリーズ作品も基本的にはシリアスな軸を持っていますが、導入は穏やかであったり、道中は緊張と緩和が織り交ぜられたり、メリハリのある構成になっているのがほとんどです。


しかし本作では、最序盤こそベルベットの日常的な生活を描くものの、その後は急転直下の展開で絶望へと突き落とされ、そこから復讐の旅が始まります。さらに彼女自身も、人を魔物に変える病の影響で「業魔」と化してしまい、人間としての平穏さとは無縁の存在になってしまいました。
さらに旅の仲間たちも、業魔であったり、「聖隷」と呼ばれる人外の存在など、人間ではない者が多く登場します。これだけ多くの「人ではないモノ」がパーティを結成するのは、シリーズでも珍しい部類と言えるでしょう。

だからこそ、彼女たちの視点からこぼれる言葉や考え方は、一般的なRPGのパーティ内会話とは大きく異なっており、本作ならではの刺激に満ちたものになっています。人ならざる者が人間や社会を語るという皮肉めいた切り口も、復讐譚を彩る心地よいスパイスになっていました。


時折砕けたやり取りも交えるとはいえ、復讐を軸とする物語は重く、華々しい明るさや軽さはありません。それを重苦しいと感じるか、好みだと受け止めるか。後者なら、本作との相性はかなり良好でしょう。
■独自性の高いバトルながら、完全な理解を求めない絶妙なバランス

『テイルズ オブ』シリーズは、コマンド選択型RPGが主流だった時代にアクション要素を取り入れ、注目を集めました。
『テイルズ オブ ベルセリア』はシリーズの中でも後期の作品なので、ブラッシュアップがかなり進んでおり、バトル中のアクションはかなり自由度が増しています。そのため、実質的にはアクションRPGと言っても過言ではないほどです。

本作における攻撃は、すべて「技」や「術」で構成されており、通常攻撃のようなものは存在しません。RPG要素がベースにあるためか、術技の種類はかなり豊富で、モーションもそれぞれ凝っています。
ただし、術技は組み合わせによってはうまくコンボが繋がらず、属性などの副次要素もあるため、効果的に使いこなすには一定の理解が求められます。
さらに、ソウルゲージやブレイクソウル、秘奥義といったシステムなどもあり、それらがバトルの盛り上がりに拍車をかけます。こうした要素は、シリーズ経験者なら比較的理解しやすいと思いますが、本作を含むシリーズ作を初めて遊ぶ人は戸惑うかもしれません。

とはいえ、要素のすべてを理解しなければ戦えないわけではありません。筆者は今回、標準的な難易度の「ノーマル」でプレイしましたが、すべての要素を使いこなさずとも、基本的な立ち回りを意識するだけで十分戦うことができます。
敵の攻撃を見極め、隙を狙って術技を叩き込む――この基本さえできていれば、他の要素はプレイを進めながら少しずつ学ぶだけで十分です。

もちろん、システムを理解すればするほど戦闘は楽になり、強さをより実感できることでしょう。最低限の理解でも戦うことができ、理解するほど気持ちよく立ち回れる。この間口の広さも、『テイルズ オブ ベルセリア リマスター』の特徴と言えます。
本作のプレイに慣れてきたら、難易度を上げたり便利機能を制限したりするのもお勧めです。上級者向けからカジュアルなプレイまで、自分好みのスタイルで遊べる懐の広さも魅力のひとつでしょう。

実際にプレイした体験を短くまとめるならば、『テイルズ オブ ベルセリア リマスター』は当時の魅力を可能な限り保ったまま、遊びやすさを整えた作品だと感じました。過去遊んだ名作にもう一度触れたい人だけでなく、利便性の向上により初めて触れる人にも勧めやすい内容になっています。
一方で、新しい物語や追加要素への期待は満たせないため、その点には注意が必要です。ただし、ベースとなった『テイルズ オブ ベルセリア』自体が完成度の高い作品なので、繰り返しとなりますが現行環境で気軽に遊べるようになったのは大きな利点です。

オリジナル版を知るプレイヤーにとっては、思い出の物語を改めて味わうことができ、未経験者にとってはシリーズ屈指の名作に触れる絶好の機会となる『テイルズ オブ ベルセリア リマスター』。
復讐に燃えるシリーズ初の単独女性主人公・ベルベットの物語は、今プレイしてもなお強い印象を残すことでしょう。




