『テイルズ オブ ベルセリア』は「リマスター」で何を与えてくれたのか―立場によって変わる“名作の魅力”を体験

『テイルズ オブ ベルセリア リマスター』のプレイ体験を通じて、その魅力を2つの視点に合わせてお届けします。

ゲーム コラム
『テイルズ オブ ベルセリア』は「リマスター」で何を与えてくれたのか―立場によって変わる“名作の魅力”を体験
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2016年に発売された『テイルズ オブ ベルセリア』をベースに、現行環境向けに蘇らせた『テイルズ オブ ベルセリア リマスター』が発売しました。

タイトルにもある通り本作はリマスター版ですが、リマスターと一口に言っても、その内容はさまざまです。約10年振りに登場した本作は、どのようなリマスター作品になっているのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。

そこで本稿では、実際にプレイした体験をもとに、オリジナル版を遊んだことがある人と今回初めて触れる人に向けて、それぞれの立場で得られるメリットや、見逃せない特徴をお届けします。なお、今回はPC版(Steam)でプレイしました。

■あの名作が、幅広い環境でプレイ可能に

オリジナル版を遊んだプレイヤーに向けて最初に伝えておきたいのは、本作のプレイ感について。まず、全体的な手触りとして、特に気になる部分はなくプレイ自体は非常にスムーズでした。

キャラクターの操作や戦闘中のアクション、UIのレスポンスなど、いずれも順当で大きな問題は感じません。今回はPC版でプレイしているため、環境による差はあるかもしれませんが、使用したPCは数年前に購入しており決して最新のスペックではありません。こうした環境でも、安定して楽しむことができました。

『テイルズ オブ ベルセリア リマスター』のメリットのひとつは、今回PCでプレイしたように、現行環境で遊べる点でしょう。オリジナル版はPS4/PS3で発売され、後にPC版が出たものの、当時は海外のみで展開されていました(おま国)。そのため、国内におけるオリジナル版のプレイ環境はある程度限定されていたのです。

今回の『テイルズ オブ ベルセリア リマスター』は、ニンテンドースイッチ/PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)と、対応プラットフォームが多岐にわたります。

オリジナルのPS4版を持っていれば、PS5の互換機能でプレイできるため、PlayStationユーザーにとっては「現行機で遊べる」というリマスターのメリットはやや薄いかもしれません。

しかし、ニンテンドースイッチにXbox Series X|S、そしてPC(Steam)といった新たなプラットフォームに対応したことで、プレイ環境が大きく広がったのは確かな利点です。ゲーミングPCに完全移行したユーザーも見られますし、PC環境でも遊べるリマスター版の展開は嬉しいところでしょう。

■内容の基本はそのままに、プレイを助ける便利機能が追加

リマスター化に合わせて、新シナリオが盛り込まれるというケースもありますが、『テイルズ オブ ベルセリア リマスター』はその例に当てはまりません。物語や基本となるゲームシステムに大きな変更や追加はなく、あくまで「かつての名作が今も手軽に楽しめる」というのが本作の立ち位置です。

ただし、プレイをより快適にする機能は多数追加されました。その中でも特に目立つのが、「グレードショップ」の事前開放です。

『テイルズ オブ』シリーズの中には、クリア後の周回プレイをサポートする特典としてグレードショップが登場する作品が多くあります。その特典を受けることで、2周目以降のプレイが快適になるというものです。

グレードショップは本来クリア後に開放される要素ですが、本作ではリマスターという位置づけのためか、ゲーム開始直後から利用できるようになっています。この仕様は『テイルズ オブ グレイセス エフ リマスター』や『テイルズ オブ エクシリア リマスター』にも見られたもので、本シリーズのリマスターではお馴染みの要素になりつつあります。



オリジナル版を経験済みのプレイヤーにとって、育成をやり直したり、キャラクターのレベルを上げ直すのを、面倒と感じる人もいるはず。しかし、事前にグレードショップが開放されているため、その労力をかなり減らすことが可能です。

今回のプレイでもグレードショップを活用してみたところ、レベルアップがかなり早く、それに応じて戦力も増強。お金も貯まりやすいため、アイテムも購入しやすく、通常プレイとの差はかなり大きいものでした。

特に「HP最大値の増加」の恩恵を受けると、倒れにくさが段違いになるため、途中で自ら外したほどでした。効果が強すぎると感じたら途中でOFFに切り替えられるため、自分好みに調整して楽しめるのも嬉しい点です。

■“実質周回プレイ”を手軽に楽しめるリマスター版

プレイを手助けする便利機能は、グレードショップだけではありません。敵とエンカウントしない設定にすれば戦闘が発生しなくなり、ストーリーや探索に専念することも可能です。

ただし、エンカウントをオフにしてもイベントバトルは発生するため、適度にレベルアップしておくのも肝心です。グレードショップの恩恵を利用すれば、短時間でレベルも上がるので、手間はほとんどかかりません。

このほかにも、メインストーリーにおける次の目的地がフィールド上に「★」アイコンで表示されたり、キャラクターの移動速度(デフォルト)が約1.2倍に上昇するなど、細かな部分でも遊びやすさが向上しています。また、当時配信された70種類以上のDLCが収録されている点も見逃せません。

これらの点を踏まえた上で考えると、オリジナル版経験者にとっての本作は、「あの時の名作をもう一度」という作品になっていると言えます。遊びやすくなったことで、かつてのプレイ体験をもう一度味わいやすくなった、というのが最大のメリットでしょう。

物語的な追加要素がない点は少し寂しく感じますが、余計な味付けによって思い出を損なうことがないと考えればあながち悪い話ではありません。

新しい物語がないのは物足りないと考えるのであれば、本作を見送るのも手でしょう。便利な機能の恩恵を受けながら実質的な周回プレイを楽しみたいという望みには、『テイルズ オブ ベルセリア リマスター』が全力で応えてくれます。

■“表現の変更”は、むしろ未経験者に影響ありか

ただし、オリジナル版を遊んだ人にとって気になるであろう変更点がひとつ存在します。それは、物語序盤のある重要なシーンの表現です。

序盤とはいえネタバレになりかねない場面のため、詳細は伏せますが、詳しく知りたい人は公式サイト過去の記事を参照してください。

ここでは概要だけ簡単に説明しますが、ある人物を害する場面の表現が大きく変わっているのです。オリジナル版では剣に刺される描写だったものが、本作では十字の光に貫かれるような描写に差し替えられています。

十字の光による描写は、実は今回が初めてではありません。オリジナル版でも、剣による描写は国内版のみの表現であり、海外版ではすでに光の十字に差し替えられていました。そのため、『テイルズ オブ ベルセリア リマスター』では海外基準の表現に統一されたということになります。

このシーンは、主人公であるベルベットの行動を決定づける重要なシーンだけに、ショッキングな表現の方が状況にマッチしていました。そのため、今回の変更(海外基準に統一)は少々残念な気持ちもありますが、近年は表現規制が厳しくなっていることもあり、変更はやむを得ないのかもしれません。

該当するシーンで何が起きるのか、経験者は既に知っているため、落胆はあっても理解の点で問題は生じにくいと思います。そのため、この変更はむしろ未経験者の方が影響を受けるのかもしれません。

今回のプレイで差し替えられたシーンを見たところ、「十字の光による描写が致命的な一撃だった」とまでは感じにくいように思いました。確かにただ事ならぬビジュアルではありますが、剣に貫かれているほどの決定的な絶望感には及びません。

昨今の厳しい表現規制を鑑みればやむを得ない措置ではありますが、ベルベットの激しい怒りと復讐心の原点となるシーンだけに、その激情とプレイヤーの受け止め方に温度差が生じてしまう恐れがあるかもしれないと感じました。

ストーリーの根幹に変わりはありませんが、この変更を「やむを得ない」と受け入れるか「物足りない」と感じるかは、プレイヤーの間でも意見が分かれるかもしれません。



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《臥待 弦(ふしまち ゆずる)》

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