
日本でデスゲームブームを巻き起こしたといえば、2000年に公開されたバイオレンス・アクション「バトル・ロワイアル」です。新たに制定された「BR法」に従い、“生贄”として選ばれた3年B組の中学生たちが殺し合いをするというショッキングな内容でたちまち話題になりました。

高見広春さんによる原作小説は、「不快すぎる」という審査員の評価によって日本ホラー小説大賞で受賞を逃したものの、深作欣二監督の手で実写映画化されるとたちまち大ヒットに。国会からも公開反対の声が上がる中、続編が制作されるほどの人気を獲得しました。過激すぎる内容である反面、「そうきたか!」と思わせる単純明快かつ先が気になる展開は当時とても新鮮だったことを覚えています。
日本国内ではそれをきっかけにデスゲームブームが巻き起こり、今なお人狼ゲームを題材にしたものをはじめ、次々と新たなデスゲーム映画が続いています。

海外に目を向けると、視聴者参加型のTVショーをモチーフにした「バトルランナー」、その原題リメイクの「ランニング・マン」、「バトル・ロワイアル」のパクりでは?と騒がれた「ハンガー・ゲーム」、巨大迷路を題材とした「メイズ・ランナー」、ドラマシリーズでも近年は「イカゲーム」が話題になりました。
「バトル・ロワイアル」以前も「バトルランナー」のような作品があったものの、やはりデスゲームがジャンルとして注目されたのは海外でもヒットした「バトル・ロワイアル」によるものが大きいでしょう。ゲームの「バトロワ系」のジャンルも元をたどれば本作に影響されたものでした。
そこで本稿では、「ゲーム」を切り口とした名作映画の中から、皆さんが忘れているだろうタイトルをデスゲームにちなんで4作品ピックアップ。GWが映画のキャンペーンに由来することから、「この連休中に見たい映画」として紹介したいと思います。
どれも過程がサスペンスフル、なおかつ後半で紹介するものについては自信を持ってオススメできる、意外な展開に引き込まれます!
◆「CUBE」(1997年・カナダ)

『無限に続く、色とりどりの“キューブ”に閉じ込められた男女の脱出ゲーム』
謎の立方体の個室「キューブ」に閉じ込められた6人の男女。彼や彼女たちはお互いに赤の他人で何の共通点もありません。そんな一同がこの閉ざされた小部屋から脱出しようとするのですが、キューブからキューブへと続くだけで一向に脱出の糸口が見えず。しかも各キューブには殺人トラップが仕掛けられていて命を落とす者も……。はたして一同は無事に「キューブ」を脱出できるのか?そもそもこれは何の実験なのか!?犯人は?6人が選ばれた理由は??
「脱出ゲーム」という言葉さえなかった1997年に公開された本作は、低予算ながら優れたアイデアで世界的にヒットしました。なんと組んだセットはキューブ1室分。隣のキューブに移動するタイミングでカットし、室内の照明の色を変えることでセットを使い回し、無限に広がるキューブ施設を表現したといいます。まさにアイデアの勝利でした。
見所はやはり各キューブに設置された殺人トラップです。次の部屋のようすを観察できる構造にはなっているものの、実際にどんなトラップが仕掛けられているかは分かりません。ワイヤーカッターなのか、火の海地獄なのか、それとも強酸なのか......!?もちろん何もない“アタリ”の部屋もあり、登場人物は誰が行くのかという部分を含め、緊張感たっぷりに行動していきます。
手がかりは部屋に記された謎の数字。しかし追い詰められた一同は次第にその醜い素顔を見せるようになり、人間関係も崩壊します。
そのあたりのサスペンス描写が秀逸で世界的にヒットしたのも納得の内容でした。なお本作には続編の「CUBE 2」「CUBE ZERO」に加え、菅田将暉さん主演の国内リメイク「CUBE 一度入ったら、最後」(本家監督が協力)も公開されました。
◆「エスケープ・ルーム」(2019年・アメリカ)

『謎を解かなければ生き残れない!死の脱出ゲーム……開幕!』
2021年の映画「エスケープ・ルーム」は、まさに脱出ゲームをモチーフにしたデスゲーム映画です。6人の男女のもとに届いた脱出ゲームの招待状に釣られた彼や彼女は、そのイベントを主催する会社のオフィスを訪れます。しかし、「最初に脱出できた者に賞金100万円が支払われる」というのは真っ赤なウソ。彼らは拒否する余裕もなく、オフィスの中に閉じ込められて、いきなり死の脱出ゲームの最初のステージに放り込まれるのでした。
「CUBE」と異なり、本作はステージクリア型の脱出ゲームです。時間内に謎を解いて各ステージから脱出しなければなりません。しかし脱出してもそこで終わりではなく、ステージ2、ステージ3と新たなステージが次々と待ち受けます。失敗すれば丸焼けにされたり毒ガスにやられたりと、つねに命の危険と隣り合わせ。ステージのシチュエーションや謎解きも凝ったものとなっていて、「そのゲーム、PC版で出たらやってみたいぞ!!」と思えるクオリティーでした。まさに気分は、脱出ゲームを攻略しようとする配信者を視聴する愉悦の民ですね。
ストーリー的には、集められた6人に「大惨事の唯一の生存者」という共通点があったり、裏で脱出ゲームを操る影がチラついたりと、こちらも先が気になる展開に。巻き込まれた者同士が協力しあう姿は応援したくなりました。
なお本作にも続編「エスケープ・ルーム2:決勝戦」があるので、そちらとあわせてお楽しみください。
◆「SAW」(2004年・アメリカ)

『連続猟奇殺人鬼ジグソウの殺人ゲームで“ゲームオーバー”を回避せよ!』
3本目に紹介するのはサスペンススリラーの「SAW」です。こちらは2作目以降がゴア表現メインの残虐映画になってしまいましたが、原点となる本作は視聴者を裏切る展開が面白く、謎解きの要素が強い内容となっていました。
メインで登場するのは2人の男、アダムとゴードン。古いバスルームで目覚めた彼らは、お互い対角線上の位置に鎖でつながれています。協力できるような距離ではありません。おまけに中央には拳銃自殺をした男の死体。いったいこの状況は?なぜ自分は繋がれているのか!?閉ざされたこの部屋から脱出するにはどうすればいい……!?
「命を粗末にする者を粛清する」という話題の連続殺人鬼「ジグソウ」に目をつけられてしまった彼らは、「6時までに相手の男を殺せ」という指示がされる中、ジグソウが残した数々のヒントやアイテムでこの窮地を脱しようとします。その一方で、ジグソウを追う刑事の描写もあって、終始「どうなるの……彼らに助けが来るの……!?」とハラハラさせてくれます。
本作でメガホンを執ったのは、ホラー映画の新星と称えられたジェームズ・ワン。後に「インシディアス」や「死霊館」シリーズをヒットさせた監督です。アイデアが豊富なだけでなく心理効果を巧みに計算した演出術で観る者を引き込みます。
「SAW」は続編でテイストが変わってしまったものの、本作では意外な展開に次ぐ意外な展開で、まさに一瞬たりとも目を離したくない出来に。ただ残酷なだけではなくシナリオの妙が光っており、きっと誰でもジグソウに騙されてしまうでしょう。
◆「ゲーム」(1997年・アメリカ)

『どこまでが“ゲーム”でどこまでが“陰謀”!?デヴィッド・フィンチャー監督の傑作サスペンス』
最後に紹介するのは名優、マイケル・ダグラスが主演したサスペンス映画です。メガホンを執ったのはデヴィッド・フィンチャー監督。本作の1本前の作品となる「セブン」で一目脚光を浴びたのでご存知の方も多いでしょう。「セブン」はゲームモチーフの作品ではないものの、七つの大罪をベースにした連続猟奇殺人事件を扱っており、その衝撃の結末に誰もが“頭パーン!”となる傑作サスペンス映画でした。
ここで紹介する「ゲーム」は、「セブン」に続く“ギミックが利いた映画”です。
主人公は投資家の資産家ニコラス。彼は誕生日に弟から“ゲーム”への案内状をプレゼントされるのですが、それが悪夢の始まりでした。「人生が一変するような素晴らしい体験ができる」。そう約束する“ゲーム”企画会社「CRSクラブ」の担当者ですが、当初は誕生日用のおふざけだと思っていた“ゲーム”が彼の財産を奪ったばかりか、命まで狙われることとなり……。
まさに「何を信じたら良いか分からない!」という展開の連続で、これ以上内容を書いたらネタバレになってしまうような作品です。予想したものが裏切られ、こうなるはずと思った展開で意外な結果に繋がっていく。そして最後に待ち受けるものとは……!?約30年前の映画ということでためらう方もいるかと思いますが、ぜひ「セブン」や「ファイトクラブ」と一緒にオススメしたいフィンチャー作品です。
以上、GWに一気観したいデスゲーム映画の名作をご紹介しました。
どれもひねりの効いた曲者揃いとなっておりますので、まだ未視聴の方はぜひこの連休中にお楽しみにください。







