深夜の駅、無人のプール、果てのない廊下。「Backrooms」映画を前に知っておきたい"リミナルスペース"ゲームの世界【特集】

リミナルスペースを、歩こう。

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深夜の駅、無人のプール、果てのない廊下。「Backrooms」映画を前に知っておきたい
深夜の駅、無人のプール、果てのない廊下。「Backrooms」映画を前に知っておきたい"リミナルスペース"ゲームの世界【特集】 全 12 枚 拡大写真

読者の皆さんは“リミナルスペース”という単語をご存じでしょうか。

深夜の駅、ホテルの廊下、閑散とした遊園地、取り壊しが決定した商業施設など。

インターネット発の都市伝説として広まった「Backrooms」を始め、どこか懐かしい気持ちを呼び起こしつつも、同時に奇妙な感覚を伴う空間の表現として広く知られています。

リミナルスペースとは、もとは建築用語で廊下や階段などの「移動途中にある空間」を表す語です。それが転じて、インターネット上では不気味な雰囲気を醸し出す無人空間を指すようになりました。

もともと「Backrooms」は、匿名掲示板に投稿された一枚の画像から始まったインターネット・ミームの一種で、「現実の裏側に存在する別の空間」という設定とともに広がってきた都市伝説です。

Backrooms

興味深いのは、その恐怖の方向性です。怪物や暴力といった分かりやすい要素ではなく、漠然とした不安や不気味さが中心に据えられている点です。何かに襲われる恐怖ではなく、空間そのものがじわじわと不安を掻き立てる感覚は非常に独特といえるでしょう。

そして2026年5月には、この「Backrooms」の映画化も予定されています。監督を務めるのは、短編映像「The Backrooms (Found Footage)」で注目を集めたKane Parsons。制作には『ミッドサマー』などで知られる A24 が参加しています。日本での公開時期は未定ですが、映像作品としての展開をきっかけに、「Backrooms」およびリミナルスペースという概念はさらに広く浸透していくと考えられます。

こうした作品に共通する“空間そのものが与える不気味さ”は、すでにゲームの分野においてプレイヤーが実際に体験できる形へと落とし込まれています。

本記事では、「Backrooms」に代表されるリミナルスペースの感覚を、「実際に体験できるゲーム」という観点から紹介します。

”何かがおかしい”空間が与える不気味さ

すでに映画化もされ、全米公開も行われて大きな話題を呼んでいる8番出口。”異変発見系”もしくは”8番ライク”とも呼ばれる新たなジャンルを開拓した作品ですが、これもリミナルスペースをゲーム体験として落とし込んだ一例といえるでしょう。

舞台となるのは、どこにでもある無機質な駅の通路。本来であれば人が行き交い、移動のために使われるだけで特に意識されることのない空間です。しかし本作では進むごとに空間に”異変”が発生し、それを発見することで脱出に近づいていく……という作品です。空間に生じる”異変”という不気味さは、まさしくリミナルスペース作品としての正統派な魅力を持っています。

PS5にも移植されている作品として挙げたいのが、Superliminalです。タイトルに“Liminal”が含まれている通り、本作もまたリミナルスペースを題材とした作品ですが、そのアプローチは『8番出口』とは大きく異なります。

本作では、遠近法や視覚の錯覚を利用したパズルが中心となっており、視点によって物体のサイズが変化したり、本来存在しないはずの足場が生まれたりします。廊下や階段といった本来の意味でのリミナルスペースを進む点では共通していますが、8番出口とは違った方向からリミナルスペースを表現した作品です。

同じくSteamおよびPS5で展開されているDreamcoreも紹介しておきたい作品です。いわゆる“ウォーキングシミュレーター”に分類される本作は、リミナルスペースの空気感そのものに没入することを目的とした作品です。

プレイヤーは出口を探しながら、非現実的な空間をただ歩き続けます。明確なパズルや目的はほとんど存在せず、空間そのものを観察し、味わうことに重点が置かれています。「Backrooms」を想起させるプール空間「DREAMPOOLS」や、住宅街が広がる「ETERNAL SUBURBIA」など、多様なリミナルスペースを体験できる点も特徴です。

とにかく歩こう!ウォーキングシミュレーターのすゝめ

リミナルスペースを語るうえで、ウォーキングシミュレーターというジャンルは切り離せない存在です。空間そのものを体験するという性質上、「ただ歩く」という行為と極めて相性が良いからです。Steamにも同ジャンルのカテゴリが存在しており、執筆時点で1,800件以上の作品が登録されています。

一見すると「ただ歩くだけか?」と感じるかもしれません。しかしその体験は、目的のない散歩に近いものがあります。歩き続けることで思考が整理され、移り変わる景色に自然と意識が向く。時間の流れそのものを味わう感覚は、現代ではむしろ貴重な体験といえるでしょう。

リミナルスペースを題材にしたウォーキングシミュレーターという、より狭い括りでも多くの作品が存在します。ここでは、その中でも特徴的な作品を2作品まとめて紹介します。


まずはThe Complex Expeditionです。

広大かつ無機質な空間を歩き続ける『Dreamcore』に類似した作品です。明確な目的やナビゲーションはほぼ存在せず、ただただ歩くだけ。数あるウォーキングシミュレーターでもかなり硬派な作品です。

次にPOOLS

こちらはプール施設に特化したリミナルスペース作品です。もちろん怪物が出てくることも、ジャンプスケアも存在せず、ただ歩き続けるだけ。水音と静寂が支配する空間を闊歩するのはとても落ち着きますよ。

いずれも、何かが起こるわけではないが不気味な空間に留まり続ける体験ができます。ホラーゲームですがジャンプスケアや怪物に追われることがないので、ホラーゲームの雰囲気だけ味わいたい!という方にも非常におすすめです。


不気味なのにどこか惹かれる空間“リミナルスペース”

「Backrooms」の映画化によって、こうした空間表現はさらに広く知られていくはずです。映像として眺めるのも一つの楽しみ方ですが、実際に歩き、迷う体験は、ゲームならではのものです。

もし興味を持ったのであれば、まずは気になる作品をひとつ選び、実際にその空間を歩いてみてください!気づけば、ただの通路や廊下ですら、どこか落ち着かない場所に見えてくる……かもしれませんね。


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ライター:さかな_

ライター/インターネットおしゃべり魚類 さかな_

2004年生まれ。趣味が高じて2021年からTwtichで配信活動を開始。雑談とインディーゲームを中心にインターネット上に醜態を晒し続けている。リミナルスペースとウォーキングシミュが三度の飯より好き。積みゲー消化が一生終わらない。

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