2013年に発売された『アサシン クリード4 ブラックフラッグ』。そのフルリメイク版『アサシン クリード ブラック フラッグ RE:シンクロ』が、2026年7月9日にPS5、Xbox Series X|S、PC向けに発売されます。
開発を主導するのはUbisoft Singapore。最新のAnvilエンジンを用いてイチから構築された本作は、RPG路線を採らず、純粋なアクションアドベンチャーとしてシリーズの原点へ立ち返った一本です。
今回、発売に先駆けて本作をプレイする機会を得たほか、本作のプロデューサーのJustin Ng氏と、ゲームディレクターのRichard Knight氏にインタビューを行いました。その内容をお届けします。
圧倒的「南国感」を描き出すビジュアル
最初に画面を目にした瞬間に感じたのがその美しいグラフィックスです。13年の時を経て技術の進化が進み、表現力が圧倒的に向上しています。特に目を引いたのが爆発の描写で、炎と煙が入り混じるエフェクトは思わず見惚れるほどの美しさでした。


水の表現も格段に進化しており、海中を泳ぐ魚のディテールまで細かく描き込まれています。緑の発色の良さや、移りゆく時間にあわせて変わる太陽光の表現も素晴らしく、まさに南国の空気を感じさせるものです。
また、レイトレーシングにも対応しており、本作の光の扱いがカリブ海の情景を圧倒的なリアリティで表現します。


街並みの作り込みも見逃せません。ハバナの街は看板の文字も細かいところまで描かれていますし、地面を舞う砂の表現も丁寧です。原作と比較すると細部の描き込みの密度が圧倒的でした。
個人的には、夕焼けのシーンでは空が茜色に染まり、その傾いた太陽から入る自然の光にうっとりしました。


本作はDolby Atmosにも対応しており、音の作り込みも没入感を引き上げる要素でした。流れる音楽、カモメの鳴き声、波が船体を打つ音……環境音が何重にも重なり、この世界の中にいる感覚をより増してくれます。
街中では音楽に合わせて踊るNPCたちの存在感が圧倒的で、彼らの動きは生き生きとしたものになっていました。


開発陣が語る「エドワードのカリブ海での冒険に完全にフォーカスする」という言葉は、こうした細部の積み重ねで表現されています。
とにかくパリィが気持ちいい
本作の近接戦闘は、パリィとテイクダウンが大きな軸になっています。
特に、パリィが決まった瞬間の手応えは非常に気持ちが良いです。そこからテイクダウンに繋げることもでき、一撃で敵を倒すことができます。さらに、完璧なパリィをすると最大4体の敵まで連鎖的にテイクダウンをすることができ、複数の敵を一気に仕留めることができます。


力押しでゴリゴリ進めることもできますが、ステルスで進める楽しさは本作でも健在です。隠密行動やステルスキルを駆使した方がスムーズに進行できる場面が多いです。


ステルス面では、『アサシン クリード オリジンズ』以降で標準となった自由なしゃがみが新たに導入されました。場所を問わず姿勢を低くし、自分でルートを構築しながらターゲットに迫れるようになっています。
もちろん、パルクールはシリーズの醍醐味で、今作ではバックエジェクトやサイドエジェクトといった近年のシリーズで培われた操作が追加され、モーションはより流動的になっています。
屋根から屋根へ、壁を蹴って跳び、一気に高所から飛び降りてアサシネーション……この一連の流れが途切れなく繋がる感覚は、『アサシンクリード』ならではの気持ち良さでした。


天候が船の挙動を変える、進化した海戦
『アサシン クリード4 ブラックフラッグ』と言えば外せない要素が海戦です。本作では、天候の変化が船の挙動にダイレクトに影響するようになっており、風に流されるリアルな物理挙動が加わったことで、単に大砲を撃ち合うだけではなく、その時の自然にあわせて操船する楽しさが生まれていました。
また、新たに追加される3人の士官はジャックドー号に配属でき、海戦に特殊効果をもたらすとのことで、戦略の幅はさらに広がりそうです。




実際に本作をプレイして感じたのは、これが単なるグラフィックスや見た目面のアップグレードだけではないということでした。戦闘、ステルス、パルクール、海戦……多くのゲーム要素に手が入りつつ、原作が持っていた"海賊として生きる自由"は健在です。
13年前にこの航海を経験した人も、これからプレイする人にとっても、魅力的に感じられる作品であることが確信できるプレイ体験でした。
『アサシン クリード ブラックフラッグ RE: シンクロ』プロデューサー Justin Ng氏インタビュー

―― 数あるシリーズ作品の中で、なぜ今、このタイミングで『ブラックフラッグ』のリメイクに踏み切ったのでしょうか? その理由を教えてください。
Justin Ng氏:理由は大きく二つあります 。
一つ目は、オリジナル版の『アサシン クリード4 ブラックフラッグ』が、シリーズにおいて「アクションアドベンチャーから本格的なオープンワールドへ」とブランドを大きく転換させた最初の一歩だったという点です 。そのため、この作品は往年のファン新規プレイヤーのどちらにも受け入れられやすい、最適なタイトルだと考えました 。
二つ目は、私たちシンガポールスタジオにとって、今回が『アサシン クリード』をメインでリードする初めての機会だからです 。シンガポールスタジオは『アサシン クリード III』の頃から長年にわたり、水面のシミュレーション技術や海戦の開発を担当してきました 。
そのため、新作やリメイクを手掛けるチャンスが巡ってきたとき、開発チームにとって最も強みを活かせる『アサシン クリード4 ブラックフラッグ』を選ぶのは、ごく自然で必然的な決定でした 。最新の「Anvil Engine」を使ってこの広大な海を現代化することは、私たちにとって最高の挑戦でした。
―― 今回の現代化において、戦闘、パルクール、アクションなどさまざまな要素があると思いますが、プロデューサーとして特にお気に入りのポイントを一つ挙げるとしたらどこでしょうか?
Justin Ng氏:すべてに関わっているプロデューサーにとって、一つに絞るのは非常に難しい質問ですね(笑) 。ですが、モダナイズという観点からあえて挙げるなら、二つの要素があります 。
一つ目は、「戦闘システム」のアップデートです 。オリジナル版に比べて、今作ではプレイヤー自身がさまざまなアクションを組み合わせ、派手なテイクダウンや自分好みのカッコいいオリジナルコンボを自由に繋ぎ合わせられるようになりました 。この進化した戦闘システムは、私自身とても気に入っているポイントです 。
もう一つは、完全な新しい追加コンテンツである「士官」システムです。実はこの要素、オリジナル版の開発当時にもアイデアとして議論されていたのですが、当時は実現できずに泣く泣くカットされたものでした 。
エドワードとしてただ船を持つだけでなく、各地で新たな3人の士官をスカウトして仲間に引き入れるというプロセスは、ゲームにとても良くマッチしています 。
彼らをジャックドー号に迎えるためのエドワードの新たなストーリーを楽しめるだけでなく、引き入れることで船に新しい能力や海戦のアクションが加わります 。この二つの要素は、今作の中でも特におすすめしたいポイントです 。
―― 今回の追加要素はオリジナル版のファンに響くのはもちろんですが、例えば『アサシン クリード シャドウズ』や『アサシン クリード ヴァルハラ』といった「近年のRPGスタイルのシリーズ作しかプレイしたことがない新しいファン」に向けてアピールするとしたら、どのような点になりますか?
Justin Ng氏:新しいファンに向けて声を大にして言いたいのは、「エドワード・ケンウェイのストーリーは非常にユニークで特別だ」ということです 。
彼は最初からアサシンとして訓練された英雄ではなく、最初は自分の利益を求める身勝手な海賊の船乗りです 。そんな彼が、仲間を率いる船長となり、利己的な人間から他者を思いやる人間へと内面的に成長していくプロセスは、誰もが深く共感できるものになっていますし、だからこそ彼は今でも多くの人に愛され続けています 。
海賊船でカリブ海を自由に冒険するというロマンとともに、彼の成長の物語をぜひ楽しんでいただきたいです 。
また、近年のRPGスタイルから入ったプレイヤーの皆様に対しても、今作がRPGであるかどうかにかかわらず、近年の作品で皆さんが愛している要素、つまり「広大なオープンワールドを旅する楽しさ」や「異なる過去の歴史・時代にタイムスリップしてその世界に没入するファンタジー」は、この『アサシン クリード ブラックフラッグ RE: シンクロ』にもまったく同じように息づいています 。
最新のゲームエンジンによる快適なゲームプレイやシームレスな世界はそのままに、挑戦の仕方やキャラクターの成長システムが少し異なるだけです 。舞台は『アサシン クリード シャドウズ』の日本からカリブ海へと変わり、時代も歴史も全く異なりますが、『アサシン クリード』の根底にある魅力はしっかりと詰まっていますので、最近のファンの方でも間違いなく楽しんでいただけます 。
―― それでは最後の質問です。ここまではゲーム全体の客観的な魅力について伺いましたが、プロデューサーご自身が「一人のプレイヤー」としてこの自由なゲームを遊ぶ際、個人的に一番好きなシーンや遊び方は何ですか?
Justin Ng氏:個人的に一番気に入っているのは、やはり「海賊としてのロマン」と、そこから得られる圧倒的な「自由度」そのものです 。
今回のリメイクにあたって、カリブ海で探索できる新しい場所やロケーションを大幅に増やしました 。さらに、新しく追加・刷新された島々だけでなく、海中の世界にもたくさんの隠し要素を散りばめています 。
実は私自身、このゲームの開発に3年間携わっていますが、未だにテストプレイをしていると「えっ、こんなところにこんな面白いものがあったのか!」と、自分でも知らなかった新しい発見や驚きに毎度直面します(笑) 。
3年間作り込んできた自分でさえプレイするたびに驚かされるのですから、プレイヤーの皆様にとってはさらに多くの新鮮なサプライズが待っているはずです 。この広がった海を舞台に、自分だけの新しい発見や驚きをぜひ体験してみてください 。
―― 素晴らしいお話をありがとうございました!
『アサシン クリード ブラックフラッグ RE: シンクロ』プロデューサーRichard Knight氏インタビュー

―― 本日はよろしくお願いいたします。さっそく最初の質問ですが、今作の開発において、最も注力した点について教えてください。
Richard Knight氏:今回の開発にあたっては、メインとなる二つの大きなコンセプトを据えています。
一つ目は「モダナイズ」です。オリジナル版『アサシン クリード4 ブラックフラッグ』が持っていた精神性を大切にしながら、現代の技術を使ってより洗練された、今プレイしても新鮮に感じられるゲームにすることを目指しました。
二つ目の柱は、主人公である「エドワード・ケンウェイ」というキャラクターです。すべての新機能やストーリー、私たちのフォーカスのすべてを彼を中心に置いて構築しました。オリジナル版のエドワードが持っていた魅力を、いかに本物らしく表現するかに全力を注いでいます。
―― オリジナル版『アサシン クリード4 ブラックフラッグ』を象徴する要素といえば「海戦」ですが、今回のリメイク版ではどのような変更や追加、改善が行われたのでしょうか?
Richard Knight氏:海戦についても、私たちは二つの大きな柱にフォーカスして開発を行いました。
一つ目は「現代のグラフィック・水面表現技術の導入」です。オリジナル版は13年前のゲームですが、それ以来グラフィック技術は飛躍的に進化しました。
幸運なことに、シンガポールスタジオにはオリジナル版の水の表現を手掛けたテクニカルデザイナーが在籍しており、彼は今回、これまで以上にリアルな水面を表現することに非常に強い情熱を注いでくれました。
もう一つの柱は、基本的な海戦システムそのものを変更するのではなく、「戦術的な選択肢を追加する」ということです。 今回のプレビュービルドでは、新しいキャラクターである「ルーシー」という士官や、強力な「加熱弾」が登場します。これらは適切に使えば非常に強力な選択肢となります。
ただし、どのようなタイミングでどう使うかは完全にプレイヤーの判断に委ねられており、これらを使いこなすには慎重なトレーニングが必要になります。プレイヤーの選択によって、自分なりのアクションスタイルをお楽しみいただけます。
―― パルクールや全体的なアクションが非常に滑らかになっている印象を受けました。具体的にどのような点が強化されたのでしょうか?
Richard Knight氏:パルクールについて特に強調したいのは、ゲームエンジンの進化です。今作では『アサシン クリード シャドウズ』と共有している最新バージョンの「Anvil Engine」を使用しています。
そのため、『アサシン クリード シャドウズ』の開発やアップデートを通じて得られたパルクールの改善要素を、本作にも取り入れることを最優先しました。
具体的には、手動でのジャンプや、建物の間を跳ぶサイドエジェクト、後ろに跳んでより高いところへ登っていくバックエジェクトといった機能が追加されています。
また、私たちのチームはモントリオールのケベック・スタジオ(『アサシン クリード シャドウズ』の開発チーム)と密に連携し、アニメーションの滑らかさをカリブ海の世界に最適化させるために多くの時間を費やしました。
『アサシン クリード シャドウズ』の舞台である日本に比べると、今回のカリブ海の街並みは道が細く、建物同士の隙間が狭いという特徴があります。そのため、この凝縮された狭い空間でも上に向かって快適にパルクールができるよう、独自の調整を施しています。
―― これらすべての進化によって、プレイヤーの体験はどのように変わるのでしょうか?例えば、より快適にプレイできるようになったりと、どのような変化がありますか?
Richard Knight氏:私たちが一番プレイヤーの皆さんにお届けしたいのは、「最新のモダンなゲームをプレイしている」という快適性の体験です。
例えば、今作のオープンワールドにはロード画面が一切なく、完全にシームレスです。世界を途切れなく冒険することができます。ボタン一つでしゃがんだり、フードを脱ぎ着したりできるほか、いつでも好きな場所から海に飛び込んで、広がっている海中の世界を自由に泳いで探索することができます。
オリジナル版と同じ体験でありながら、プレイヤーがより自由に自分で決断を下せるようになっています。探索した結果、宝物が見つかることもあれば、何も見つからないこともあります。
しかし、それをどう遊び、どう選択するかは完全にプレイヤーであるあなた次第です。自由度の高さこそが、今回のリメイクで感じていただける最新の要素だと考えています。
―― それでは最後の質問になります。シリーズのファンに向けて、特にアピールしたい点があれば教えてください。
Richard Knight氏:ファンの皆様には、オリジナル版『アサシン クリード4 ブラックフラッグ』の精神性をしっかりと受け継いでいる点を感じていただきたいと同時に、新しく追加された数々の要素や進化を楽しんでいただきたいです。
最新技術によって天候の変化や光と影の表現、自由に泳げるシステムなど、ゲーム全体がよりダイナミックにアップデートされています。
エドワード・ケンウェイの物語に焦点を当てた旅でありながら、同時にプレイヤーの皆様自身が一人の海賊として、そして一人のアサシンとして望む通りの旅を楽しめるオプションをたくさん用意しました。ぜひご自身の冒険を楽しんでください。
―― 本日は貴重なお話をありがとうございました!


