
eスポーツシーンの隆盛と共に成長を続け、PC市場で確固たる地位を築いているサードウェーブのハイパフォーマンスPCブランド「GALLERIA(ガレリア)」。
イードがゲーミングPCのユーザー満足度を調査した「ゲーミングPCアワード 2025-2026」において、GALLERIAは「デスクトップPC部門」総合満足度の最優秀賞に選出されました。
GALLERIAは今回で本アワード5連覇という偉業を達成。同ブランドを牽引してきたサードウェーブ 取締役 兼 上席執行役員の西村祐典氏にお話を伺いました。
パーツの価格高騰など厳しい市況が続く中でブランドが評価され続ける理由、「ぶいすぽっ!」や『崩壊:スターレイル』など人気ストリーマー・IPとのコラボの裏側、そして「ゲーミングPC」という枠を越えた独自の戦略について、深く掘り下げます。

アワード5連覇を支えるGALLERIAの“変わらぬ思い”
――まずは「ゲーミングPCアワード」5連覇、本当におめでとうございます。素晴らしい快挙ですね。
西村祐典氏(以下、西村):ありがとうございます。本当に嬉しいですね。
――5年前から変わらずに評価されていることについて、ご感想をいただけますか。
西村:5年前というと、コロナ禍で世の中の状況が変わり始め、大きなグランドチェンジがあったタイミングでした。eスポーツが本格的に盛り上がり始めたあの時期からのGALLERIAの取り組みが認められ、こうして継続して賞をいただけている状況は、非常にありがたいことだと思っています。
――ここまで継続して評価され、ユーザー層が広がっていった最大の要因はどの辺りにあるとお考えですか?
西村:ブランドを2004年から展開してきている中で、「ターゲットとなるお客様に喜んでもらうものを作り出していきたい、作り続けていきたい」という根底の思いは変わっていません。競合メーカーさんも増えている中で、いかにGALLERIAを知っていただくかという活動を継続できた結果だと捉えています。
もちろん、ご協力いただいているパートナーさんの数も圧倒的に増えていますし、そういった部分を認めていただけているのも大きな要因の1つですね。
Intel、AMDといったCPUや、GPUの最新パーツを積極的に採用していくことは、我々としては当たり前のこととして続けています。それが結果としてお客様に選んでいただける土台になっている点が、大きな成果だと感じています。
――長年ブランドを展開されてきて、当時の若年層が社会人になっていくなど、客層の変化は感じられますか?
西村:正直なところ、そこまでの劇的な変化は感じていません。お客様と共にブランドも育っている部分はありますが、実はGALLERIAをご利用いただくお客様の年齢層がそのまま上にスライドしているわけではないんです。
20代後半から30代前半の方がメイン層であることは変わらず、常に新しいお客様にご購入いただき、これまでのお客様にも継続してご利用いただいているという印象ですね。客層の変化という点では、層がさらに広がったというイメージです。

メモリ価格は1.5倍に...価格高騰の荒波に抗った「メモリ増設555円」の裏側
――昨年から今年にかけてのPC市場の変化について、外的要因・内的要因の両方から教えていただけますか。
西村:外的要因で言いますと、2025年10月にあった「Windows 10のサービス終了」による市場活性化と同時に、昨年末からメモリやストレージの価格が大きく上がってしまったことが挙げられます。販売価格で大体1.3倍から1.5倍ほどに上がっており、例えば昨年10月時点で20万円だった製品が、2026年1月には28万円になってしまうような状況です。
特にゲーミングPCはGPUなどを搭載しているためベースの単価が高く、我々も極力価格に転嫁しないよう努めてはいるのですが、どうしてもお客様の購買意欲が落ちてしまい、市場全体が厳しい状況にあります。
――そんな厳しい状況の中でも、ゴールデンウィークのセールや「メモリ増設555円」などのキャンペーンも実施されていました。どのような経緯で実施されたのでしょうか?
西村:我々としても、かなり頑張りました。上から少し怒られてしまうくらいに(笑)。
色々と考えた結果、やはり一番価格が上がってお客様の負担になっているのがメモリだったので、単純なPC本体の値下げでは面白くないなと。インパクトがあって分かりやすい価格設定として、GWなので「555円」としました。
――まだまだ情勢的に難しい中で、今年はどういった展開を仕掛けていきたいかなど、展望はありますか?
西村:正直なところ、先のことはまだ不透明で見えきれていないというのが本音です。パソコン市場全体の状況がどうなるか予測が難しく、部材の価格も安定していません。まだ若干の値上がり傾向にあったり、調達が不安定だったりもします。どの方向に舵を切るべきか見極めている最中ですが、少なくとも夏頃まではこの状況が続くと見込んでおり、お客様に対して魅力的な提案や見せ方は継続していくことになります。

「ゲーミングPC」からの脱却。「ぶいすぽっ!」「ストグラ」など広がるコラボ
――では、内的要因の変化についてはいかがでしょうか?
西村:内的な変化としては昨年辺りから打ち出していることですが、GALLERIAは自ら「ゲーミングPC」と名乗るのをやめました。現在は「ハイパフォーマンスPC」として、お客様がやりたい目的を達成するために必要な性能をお届けする、というスタンスを取っています。
ゲームに限らず、GPUのパワーを必要とする用途に対してしっかりとパフォーマンスを担保できるパートナーとして、GALLERIAを押し出し始めました。これまでアプローチしきれていなかったクリエイターさんに向けても、pixivさんと一緒にイラストコンテストを開催して応募数を伸ばしたり、音楽制作や映像制作の方々へ向けて訴求の幅を広げ始められたかなと感じています。
――今後はどのようなターゲットへ広げていこうとお考えですか?
西村:ゲームファンからの高い認知度を活かして、そういった層と関連性の高い、イラストを描かれる方や音楽制作をされる方、あとは配信や動画編集をされる方々へアプローチしていきたいですね。 我々が現在力を入れているストリーマーさんとの取り組みを考えても、そういったクリエイティブな領域は非常に親和性が高いと考えています。
――ストリーマーとのコラボについてですが、「ぶいすぽっ!」全メンバーのコラボモデルも大きな話題になっていました。まだまだ需要は高いのでしょうか。
西村:非常に高いですね。ファンアイテムとしての側面もあるので、1つのモデルが永続的に売れ続けるわけではありませんが、別のコラボレーションを実施すればまた新しいファンの方にリーチできます。
「ぶいすぽっ!」さんとは箱推しの取り組みをさせていただいており、6月中旬ごろから、残りのメンバーのモデルもリリースされ全員分が揃う予定です。非常にパワーのあるコンテンツですので、継続して魅力的な展開を模索していきたいですね。

――最近注目されているシーンや、ストリーマー界隈で面白いと感じているものはありますか?
西村:コラボモデルという形に直結するわけではありませんが、現在お声がけを進めているのは「ストグラ(ストリートグラフィティ ロールプレイ)」に参加されている方々ですね。ご一緒できたら面白いなと思い、すでに何名かの方にはパートナーになっていただいています。
また、「にじさんじ」さんとの取り組みでは、先日ローレン・イロアスさんとイブラヒムさんのモデルを発表しましたし、こういう取り組みは増やしていきたいと思います。
そのほかにもIPメーカーとのコラボも考えており、今回は『崩壊:スターレイル』とのコラボを実施させていただきました。1年ほど前からお話をさせていただき、ようやく形になったプロジェクトで、デザインも含めて非常に好評をいただいています。

――ターゲットである若年層のeスポーツやストリーミング視聴の文化について、変化を感じる部分はありますか?
西村:そこまで大きな変化は感じません。ただ、YouTuberやVTuberなどの配信文化が一気に拡大した5年ほど前と比べると、「横への広がり」がすごいですね。昔は特定のタイトルや1人の配信者を見ていればよかったのが、今は大手企業勢から個人勢まで多種多様な配信者がおり、AAAタイトルだけではなく、インディーゲームの配信なども盛んです。ゲームをプレイする層自体が急増したわけではないかもしれませんが、見ること・やることの選択肢が爆発的に増えている状況だと感じています。

商品開発へのこだわり「今の市場価格とどう折り合いをつけるか」
――AI用途でのPC利用についてお伺いします。個人のローカル環境で画像生成AIなどを動かしている人は、それほど多くないのでしょうか?
西村:これからは、クリエイティブなツール自体にAIの機能が標準で組み込まれていく形になると思うので、「AIを動かすためにPCを買おう」と考える人は少ないのではないかと予想しています。「絵を描きたい」「動画を作りたい」と考えた時に使うソフトが強力なAI機能を備えていて、そのパフォーマンスをフルに発揮するためにハイエンドなPCが必要になる、というのが当面の使われ方だと考えています。
少し話はそれますが、弊社としても3年間で50億円という規模でAI事業に投資していく方針を打ち出しました。「AIフェスティバル」の開催に、インドの工学系大学の卒業生を中心とした高いAI技術をもつ人材を70名採用したり、製品開発やバックオフィスのAXを推進したり、今後もAIへコミットメントしていく方針です。
一方で、特にクリエイティブ領域のお客様の中には、生成AIに対して権利的な問題などからネガティブな印象を持たれる方も少なくありません。前述の通り最新の技術として業務効率化などの側面ではAIを活用していきますが、プロモーションや販売において大々的に打ち出すような見せ方ではなく、適切な距離感を熟考すべきタイミングだと捉えています。

――ユーザーのニーズや要望は、どのように集約して商品開発に活かしているのでしょうか。
西村:ご購入後のアンケートや、カスタマーサポートに寄せられるご意見、そしてSNSでの反応には常にアンテナを張るようにしています。商品開発において絶対に譲れないのは、「お客様がやりたいことが実行できるものをお届けする」ことと、「いまの市場価格とどう折り合いをつけるか」の2点です。
――どのように市場価格と折り合いをつけていくのでしょうか?
西村:昨今の情勢もあり、スペックを追求しすぎると、どうしても価格が跳ね上がってしまいます。例えば、ストリーマーさんに理想のスペックをヒアリングすると、「まずはメモリ64GB、ストレージは2TB SSDを2基積みたい」といったご要望をいただくこともあります。しかし、それをそのまま商品にすると大変な金額になってしまい、お客様にそのままご提示しても絶対に売れません。そういった場合は、現実的に手に取っていただける価格と、コラボする方たちのこだわりとのすり合わせを丁寧に行っていきます。
――先ほど、コラボモデルはファンアイテムの側面もあると仰っていましたが、そのコラボモデルづくりをする上で譲れないポイントなどはあるのでしょうか?
西村:コラボモデルを出すからには、デザインやクオリティを含め、その作品や人・チームを愛するファンの方々が長く使い続けられるものを適正な価格で提供し続ける責任があると考えています。
――最後に、今後のブランドとしての方向性と、ユーザーへのメッセージをお願いします。
西村:ゲームにとどまらず、個人のお客様が「やりたいこと」「楽しみたいこと」を快適に実行できるハードウェアとして、今後も妥協せずに製品開発に励んでいこうと思っています。
市況的には厳しい状況が続いていますが、年末に向けても様々な企画を準備していますし、コラボレーションも色々と控えています。また、以前の発表会で構想をお伝えしつつもまだ実装できていなかった「ミニコンパクトタイプ」のPCについても、年内には形にできる目処が立ってきました。ぜひ、今後のGALLERIAの展開にご期待いただければと思います。



