毎日のように多彩なゲームが登場する今、その全てを把握するのはプロであっても容易ではありません。それでも、面白い作品や個性が光るもの、興味深いタイトルをできるだけ見落とさぬよう、プロアマ問わず多くのゲームユーザーがアンテナを張り巡らせています。
相性が合いそうなゲームとの出会いは、新発売の作品だけに限りません。すでに発売済みのタイトルを振り返ることで、新たな邂逅に繋がることもあります。
今回筆者が巡り合った『ASHWALKERS - A SURVIVAL JOURNEY(アッシュウォーカーズ ア サバイバル ジャーニー)』(以下、アッシュウォーカーズ)も、そんな作品のひとつでした。
■終末世界で希望を求める4人の旅

『アッシュウォーカーズ』の世界は、火山の噴火によって荒廃しており、かろうじて生き残った人々も厳しい日々を送っています。人々に残された唯一の希望は、新たな避難地を見つけるべく旅立った4人の部隊(スクワッド)。そんな彼らの過酷な旅路を、プレイヤーの判断が左右します。
4人のスクワッドが探し求める避難地「ドームオブドーム」へ行くには、点在するビーコンを巡り、信号を手掛かりに進むほかありません。本作は、この目的を完遂するために危険を乗り越えていくサバイバルADVゲームとなります。
スクワッドのメンバーは、キャプテンの「ペトラ」、戦士の「シン」、交渉役の「カリ」、偵察兵の「ナディール」で構成されており、それぞれが異なる得意分野を持っています。荒野には、危険な猛獣と遭遇することもあれば、交渉も可能な蛮人と出会うこともあるため、状況に応じて向いた人材に任せるのが吉でしょう。

また、荒野の旅路は、生存するだけでも一定のリソースが必要になります。食料はもちろんのこと、身体を温める燃料や傷ついた身体を癒す医療品も、長旅には決して欠かせません。
さらに、リソースの回収に必要なスタミナ、行動の成功にも関わる精神状態、そして最も大事な命そのものであるHPといったステ-タスの管理も重要です。
空腹や冷えが限界を超えればHPが減っていき、いずれ死に至ります。もちろん、敵の攻撃を受ければ直接HPが減るので、危険は極力避けたいところ。ただし、獣などを倒すと食料になるため、飢えを癒す手段でもあります。
危険に近づくほど、命を落とす恐れが高まり、しかし安全策だけではいずれ行き詰まります。命を守るために、危険へ立ち向かわなければならない。そんな二律背反を常に突きつけられます。
■序盤から突きつけられる決断の重み

ここからは、筆者が実際にプレイした流れに基づき、『アッシュウォーカーズ』の特徴を分かりやすくお伝えします。
ゲームを開始すると、すでに旅立って幾日も経過した4人が、次のビーコンを目指して荒野を進みます。最初にチュートリアルを選択できるので、何も分からないまま放り出されることはありません。
フィールドは3Dで描かれていますが、広大なエリアを探索するようなゲームではなく、道筋に沿ってリソースを回収し、遭遇する出来事に対して選択形式で対処するのが大まかな流れです。
例えば、旅を進めると早速「狼」と遭遇しました。対処すべき問題が立ちはだかると、スクワッドのメンバーがそれぞれ行動の指針を提案します。ここでは、「叫んで狼を怯ませる」「正面から攻撃する」といった能動的な対処や、「火で追い払う」「逃げる」といった回避策が提示されました。
ただし、選択肢の中にはリソースを消費するものもあり、ここでは「火で追い払う」のに燃料が必要でした。燃料は身体を温めるのに必要なので、無闇に消費したくないもの。しかし、攻撃すると被害を受けそうですし、逃げるのもかえって隙を見せることになりかねません。
そこで筆者は、「叫んで狼を怯ませる」を選択。うまくいけば、互いに被害を出すことなく、無事に解決できるはず。
──そんな楽観的な目論見は見事に外れ、狼がカリを傷つけ、軽くないダメージを負いました。そのまま狼は姿を消したので、最小限の被害で済んだとも言えますが、医療品は特に貴重なので、HPの減少は痛手です。素直に火で追い払うべきだったか……!
■プレイヤーの思考が、道義と生存の間で揺れる

旅路で遭遇するのは、野生の生物だけではありません。時折出会う蛮人とは、会話や交渉が成り立つこともあります。ただし、この世界で自分の身を守ってくれるのは、自分自身のみ。穏やかそうに見えても、こちらを罠にはめようと企んでいる可能性があります。
しかし、それはこちら側も同じこと。例えば、焚き火で休んでいる蛮人に対して「平和的に近づく」こともできますし、「奇襲を仕掛ける」のも自由。「敵意を持って接近」すれば有利な交渉に持ち込めるかもしれませんし、そもそも「近づかない」という手もあります。
相手の腹の内は分からず、自分たちも道義から外れた選択が可能。誰も助けてくれない世界だからこそ、どこまで行為を許容するのか。それが、目的を叶えるための重要な決断となるのです。
この時は、平和的に近づきつつも、監視役を置いて周囲を警戒しました。その結果、特に何事も起きず、休息をとったメンバーのスタミナが回復。失ったものはなく、良好な結果といえます。
ですが、無事に乗り切ったら乗り切ったで、また別の迷いが残ります。「この蛮人を警戒する必要はなかったのでは?」「もっと信じていたら、さらにいい結果だったかもしれない」「無闇に疑って申し訳ない」と、様々な気持ちがよぎりました。
絶対の正解が分からないからこそ、自分の判断を信じるしかない。不安と決断が、見えぬ未来を切り開いていく。『アッシュウォーカーズ』の魅力は、まさにこうした部分にあります。

