コスプレイヤーの可愛い創作コスプレや、コンカフェの衣装を目にしたことはありませんか?その中には、“中国ロリータ服”と呼ばれるジャンルの服装が使われていることも少なくありません。
そもそもロリータ服は、1980年代に原宿のストリートファッションとして生まれた日本発のファッション。大きなリボンやレース、フリル、ふんわり膨らんだスカートが「お姫様」のような世界観を演出し、女の子の憧れをそのまま洋服にしたようなスタイルです。
やがてロリータファッションは海外へ広がり、とくに中国では独自の進化を遂げました。中華風やミリタリー、アイドル、メイドなど、デザインの幅が広がり、独自のサブカルチャーとして定着。現在では市場規模は日本を上回り、日本ブランドも続々と進出しています。さらに日本発の文化が中国で進化し、逆輸入される形で、中国ロリータ服を扱うセレクトショップが日本にも増加。コスプレイヤーやポートレートモデル、コンセプトカフェのスタッフ(コンカフェレイヤー)などが創作衣装として積極的に着用するようになっています。

今回、中国ロリータ服をはじめ国内外の可愛い洋服を扱う日本最大規模のセレクトショップ「Epetice」に取材。実店舗も展開する同店の社長・マジョノカ渚さんに、中国ロリータファッションの現状や魅力、そして日本との違いなどを聞きました。
ショップの歩みと実店舗オープン

ーーEpeticeはいつスタートして、今どのくらいの歴史があるお店ですか?
Epeticeは2020年2月9日にスタートし、現在は6年目に入りました。 ちょうどコロナ禍の真っ最中に始まったこともあり、当初はとても大変でしたが、円安などの厳しい状況を乗り越えつつ、6年間続けてきたことがようやく実を結んできた感覚があります。 念願だった実店舗は約1年前に東池袋でオープンし、今月で1周年を迎えました。
ーー東池袋の実店舗は、どのような営業形態で運営されていますか?
オープン当初は完全予約制でしたが、現在は土日がフリー来店制で13時~17時、月曜と金曜が予約制で15時~19時というスタイルで営業しています。 ショールームのように、ゆったりと空間そのものを楽しんでもらうイメージで、今後はイベントも定期的に開催していきたいと考えています。


ーーどのようなお客さんが、どんなシーンでお店に来られることが多いですか?
ロリータを始めたいけれど何から揃えればいいか分からないという“初めの一歩”を踏み出したいという方がとても多いです。 土日はロリータイベントやお茶会、アコスタなどのイベント帰りに立ち寄ってくださる方も多く、東池袋という立地もあって、コスプレイヤーさんやアイドルさん、創作系の活動者さんもよく来店されます。 また、推し活用の「特別な日の一着」を探しにライブ前にコーデを決めに来る方も増えています。

中国ロリータブランドの魅力と特徴
ーーEpeticeでは、どれくらいのブランドと、どんなアイテムを扱っているのでしょうか?
現在取り扱いブランド数は400ブランドを超えており、中国ロリータブランドを中心に、日本の委託ブランドも増えてきています。 アイテムはブラウスやワンピースなどのメイン服から、珍しい柄のソックス、アクセサリー、小物、そしてバッグまで幅広く取り揃えており、すべて正規品(正規ルートで仕入れた商品)です。 特にシェイプパフというブランドのハートバッグなど、一部ブランドでは正規代理店としてメインで取り扱っている人気アイテムもあります。

ーー日本のロリータブランドと比べて、中国ロリータブランドにはどんな魅力がありますか?
価格帯が比較的手に取りやすいこともあり、「ロリータを始めてみたい」という若い方たちの入口になっているのが大きな特徴です。 日本のロリータはブランドごとの世界観が強く、フルコーデで揃えるイメージがありましたが、中国ブランドはブランドの垣根を越えて自由にミックスコーデを楽しむ人が多いです。 また、日本ブランドが日常に寄り添ったデザインが多いのに対し、中国ブランドは“かわいい”を前面に押し出した華やかなデザインやミニ丈が多く、アイドル衣装や特別な日の一着として選ばれています。
ーー新作の入荷タイミングや、一年の中で動きが活発な時期はありますか?
中国のブランドはほとんどが受注生産なので、工場ごとに納期が異なり、入荷自体はかなりバラバラな印象です。 旧正月の前後など、新作の発表が集中するタイミングはありますが、当店としてはほぼ毎週のように様々なブランドの新作が入荷している状態です。 シーズンで言うと、ハロウィン前後から冬~春、ちょうど今くらいの時期が一番ロリータを着やすく、お求めになる方も多いです。 一方で真夏は「ロリータ夏問題」と言われるほど暑さとの戦いで、皆さんどう工夫して乗り切るか悩んでいる印象です。
ーーEpeticeとして企画している、ブランドとのコラボ商品について教えてください。
当店では複数のブランドさんとコラボ商品を制作しており、その多くを実店舗で実際に見ていただけます。 たとえばCatCocoonさんとは「Adoll’s House」シリーズのブラックチェックなど、当店とのコラボカラーを展開しており、Epetice限定カラーとして好評です。 物語さんとは「Bon harness」シリーズで、バレンタイン時期に合わせたチョコレートカラーのハーネスを一緒に企画し、生地選びから生産時期・ロットまでブランドと細かく相談しながら実現しました。
ーーこの6年間で、中国ロリータブランドのデザインやトレンドはどのように変化してきましたか?
日本のアパレルと同じように、ロリータの世界にも「今年はこれが流行る」という波があり、毎年はっきりとした変遷を感じます。 昨年は刺繍系のお洋服が大きなブームとなり、多くのブランドが刺繍入りのアイテムを出していましたが、今年は無地のワンピースやカントリー系のテイストを取り入れたお洋服がとても人気です。 その背景には、中国の縫製工場のクオリティが年々上がり、刺繍など高度な仕様にも対応できるようになったことがあり、それがトレンドを生み出すきっかけにもなっています。

Epeticeの強み:正規代理店とアフターケア
ーー個人でタオバオなどから直接買う場合と比べて、Epeticeで購入するメリットや強みは何でしょうか?
最近はタオバオの国際配送やクレジット決済が一般化し、日本からも個人で買いやすくなりましたが、その分、関税の処理や前金・後金の管理、受注生産の納期調整など、お客様自身の負担も増えています。 さらに、パーツ不足や不良があったときの対応、ブランドとのやり取り、言語の壁など、直接購入だとどうしても難しい部分が残ります。 Epeticeでは、そうした輸入実務やアフターケアをすべてフォローし、安心して中国ロリータを楽しんでもらえる環境を整えています。 また、CatCocoonをはじめ一部ブランドとは正規代理店契約を結び、模倣品が出回る中で「本物を正しい流通で届ける」ことにも力を入れています。

ーー中国ロリータを実際に手に取れるショップとして、Epeticeはどんなポジションにあると考えていますか?
ここまで一貫して中国ロリータブランドを常設で置いている実店舗は、日本国内ではほぼ当店だけと言っていい状況です。 中国ブランドのお洋服は、画像だけでは生地感や縫製のクオリティが分かりづらいのですが、Epeticeではそれらを実際に触って、細部まで確認してから購入していただけます。 「気になっていたけれど、直接見てから決めたい」という方にとって、東池袋の実店舗はとても貴重な場所になっていると思います。
ーーロリータは「全身揃えないといけない」というイメージもありますが、Epeticeとしてはどのような楽しみ方を提案していますか?
ロリータを「上から下まで全部ロリータブランドで固めなければいけない」と考える必要はまったくありません。 ヘッドドレスやリボン、ソックス、カーディガンなど、1アイテムだけを取り入れて日常コーデにミックスする楽しみ方も大歓迎です。 特に推し活では、推しカラーに合わせてピンク・赤・黄色・緑などのアイテムを選び、ライブやイベント当日の「特別な装い」としてロリータを着る方が増えています。

ーー低価格帯のブランドや量販店コラボなど、「入り口としてのロリータ」についてはどのように考えていますか?
まゆち:業界全体で見ると、しまむらのような量販店コラボをよく思わない層も一定数いると思いますが、私は“入口”があること自体はとても大事だと考えています。 完全な秘密主義で入口がなくなってしまうと、愛好家層が増えず、文化として先細りしてしまいます。 中学生くらいの世代が手を伸ばせる価格帯でまず“やってみる”機会があるからこそ、その先に「憧れの本格ブランド」にステップアップしていく流れが生まれます。
渚さん:選べる選択肢があるということは、それだけ業界が盛り上がっている証拠でもあるので、私はポジティブに受け止めています。 Epeticeとしても、たくさんのブランドの中から自分に合う一着を見つける“初めの一歩”のお手伝いができるお店でありたいと思っています。
日本ロリータブランドとの関わりと今後
ーー中国ロリータの成長と比べて、日本のロリータブランドとの関係や今後の役割についてはどう考えていますか?
ロリータファッションは元々日本から始まった文化であり、BABY, THE STARS SHINE BRIGHTやALICE and the PIRATESのように、30年以上続く日本ブランドが今も第一線で活躍しています。 一方で、ブランドを立ち上げた世代が次の世代にどうバトンを渡していくかが、ここ10年ほどで大きなテーマになっていると感じます。 Epeticeは単なるセレクトショップというより“商社”に近いポジションも持っていて、日本ブランドの委託やOEMのサポートをしながら、「日本ブランドをどう盛り上げ、次につなげていくか」を一緒に考えていきたいと思っています。

ーーイベント出展や、今後やってみたい展開について教えてください。
Epeticeはロリータ系の即売会イベントやマーケットに継続して出展しており、原宿で入りきらなくなって渋谷ヒカリエ会場に移るほど、来場者は年々増加しています。 関西では別のロリータイベントやマーケットもメディアに取り上げられるほど盛り上がっており、ロリータを“文化”というより“ファッションの一つ”として楽しむ層が増えているのを感じます。 将来的には、九州のハウステンボスのようにロリータが映えるスポットを含めた全国ポップアップツアーも、タイミングが合えばぜひ実現したいです。
今後の展開とメッセージ
ーー最後に、Epeticeに興味を持った読者に向けてメッセージをお願いします。
中国ロリータやロリータファッションが少しでも気になっている方は、ぜひ「1アイテムだけ」からで構わないので、気軽に試してみてほしいです。 東池袋の実店舗では、オンラインでは分からない生地感や縫製の丁寧さを実際に手に取って確かめていただけますし、スタッフがブランドやサイズ感の相談にも丁寧に対応します。 Epeticeは“ブランドファースト”を大切に、作り手と着る人の双方が安心して長くロリータを楽しめる環境づくりを目指していますので、ぜひ遊びに来てください。
モデル:まゆち(X:@mayu_ronne)、緩苺(Instagram:yy0904._)
衣装提供:Epetice(X:@epetice、HP)、社長:マジョノカ渚(X:@nagi731)
撮影:乃木章
¥23,800
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)





