
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)がPlayStationコンソール向けのディスク生産廃止を発表してから、約1週間が経過しました。
XなどSNSでは今もなお、この決定に反対するユーザーの声が多く見られており、抗議活動は他社作品の投稿などにも波及しています。海外メディアkotakuなども本件を報じています。
過熱していく「#NoDiscNOBUY」の声……物理ディスク廃止の撤回を求める署名運動は24万件突破
7月1日、SIEはPlayStationコンソール向け新作タイトルのディスク生産を2028年1月に終了することを発表しました。
物理ディスク廃止を決定した根拠として、エンタメ業界全体が物理ディスクからデジタルへと移行している状況をはじめ、デジタルメディアへの需要が物理ディスクを大きく上回っていることや、ユーザーの利用実態、市場環境の変化を挙げています。
「パッケージ版とダウンロード版」の存在については、長年ゲーマーの間でも常に議論が行われてきたトピックではあります。しかし今回は、主に作品を手元にコレクションとして置いておきたいユーザーや、中古での売買といった観点から、物理ディスク(もしくはパッケージ版)の廃止に反対する声も多く見られました。
海外向けのPlayStation公式Xのアカウントでの同投稿はリポストやいいねが6万件を突破、さらには10万件を超えるリプライが殺到し、反発するユーザーの声をはじめ、デベロッパーからの意見などさまざまな反応が寄せられています。
また、業界内ではクリエイターの小島秀夫監督が物理ディスク廃止の話題について言及し、企業がサーバー上にデータを保有し、ユーザーはあくまでもその“蛇口をひねる権利”だけがある現状を語りました。映画などのサブスクリプションサービスも含めた言及だと思われますが、国や政治、さまざまな思考によって変化が起きた場合、企業からの配信が止まってしまうという危機感について小島監督はコメントしています。
さらに、ユーザーの抗議活動はハッシュタグという形でも可視化。SNS上では「#NoDiscNOBUY」というハッシュタグのもと、ユーザーによる反対の投稿が盛んに行われており、なかには『メタルギア』英語版のスネーク役声優であるデヴィッド・ヘイターさんの投稿なども見られます。
署名プラットフォーム「Change.org」では、PS向け物理ディスク廃止の撤回を求めるオンラインの署名「Don't Kill the Disc: Tell Sony to Keep Physical PlayStation Games」が実施されており、記事執筆時点では240,421人の署名を集めています。
そんななか、海外向けPlayStation公式はXでの投稿をおよそ一週間ぶりに再開。海外公式Xは前述のアナウンス以来、更新が停止している状態でした。しかし、その投稿に対しても多くのユーザーからの反発の声が上がり続けているのが現状です。
格闘ゲーム用コントローラーの「FlexStrike ワイヤレスファイトスティック」を紹介する投稿をはじめ、7月の「PS Plus」のラインナップ、さらには『The Blood of Dawnwalker』や『Mortal Shell II』など、他社の新作タイトルを紹介する投稿やPSブログ、トレイラーなど、ありとあらゆる場所で抗議のコメントが殺到しています。


さらに極めつけには、「海外PS公式Xがリポストした投稿」にまで矛先が向く始末。『DOOM』公式Xの投稿に対しても、SIEの姿勢を非難する投稿が見られるほど、ユーザーの勢いは過熱しています。
一方で、「一連の抗議活動は全体として見ると影響は軽微」と分析する声も
SNS上では批判が相次ぎ、なかには「PS Plus」のサブスクリプションの解約画面を投稿することで抗議の意を示すユーザーも。とはいえ、“一連のアクションがSIEにとって大きな影響を与える可能性は軽微である”と指摘する声も上がっています。
海外メディアAmpere AnalysisではアナリストのPiers Harding-Rolls氏が、PS向けに発売されたゲームの総販売数のうち、ダウンロード版の割合は2013年に13%だったものが、2025年には約80%にまで上昇したと指摘しています。
これはSIEが根拠として挙げていた、「デジタルメディアへの需要が物理ディスクを大きく上回っている」や「ユーザーの利用実態や市場環境の変化」と通じる部分があります。
また、同氏はパブリッシャーに対してはコスト削減や在庫が残るリスクを減らせるなどメリットがある一方、小売店や中古販売など「物理ディスク」を前提とした業態には影響が及ぶと言及しました。
海外IGNでは日本のゲーム業界のコンサルティングを行う「Kantan Games」のCEO、Serkan Toto氏に取材を行い、現状についてのコメントを求めました。Toto氏によると、「たとえ50万人が抗議のためにPS Plusを解約したとしても、SIEにとっては“大海の一滴”にしか過ぎない」とコメント。
SIEには「月間1億2,000万人以上のアクティブなPlayStationユーザーアカウントが存在している」とし、さらに同氏の分析によると「PS Plus」に加入しているユーザーは約5,000万人。前述のように50万人が抗議を行ったとしても、事業全体の割合でみれば僅か1%の損失にしかならない点を指摘し、SIEが方針を転換する材料にはならないとの見解を示しています。
月間1億2,000万人以上のアクティブなPlayStationユーザーについてはSIEの公式発表(2026年3月31日時点)について確認できるほか、現在「PS Plus」の加入者数は公表されていないものの、リサーチ企業「Niko Partners」で分析を行うDaniel Ahmad氏は、サブスクリプションの加入者数が4,700万人前後で推移してきたデータを2023年に提示しています。
また、Daniel Ahmad氏は自身のXにて、「これだけの猛反発が起きている以上、SIEは何かしらの対応をするだろうとは思います。(実際は、PS6でのディスクの扱いが明らかになるまで、この発表はするべきではなかったと思いますが…)とはいえ、現時点で方針を全面的に撤回するとは考えにくいでしょう。」とコメントしました。
日本国内や海外のPlayStation公式Xなどに相次ぐ非難の声は熾烈さを増しています。データが示すように業界がダウンロード版の販売を重視するなかで、もちろん全てのユーザーが物理ディスク廃止の撤回を求めているわけではありませんが、抗議運動やSIEの今後の動向にも注目です。
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