『ドラクエ』を生んだ才能も、コンテストで光が当たったからこそ―「SQUARE ENIX GAME CONTEST 2026」に込められた、次世代ヒット作萌芽への思い

賞金総額10億円、応募作品の中から必ず入賞作品を選出するという「SQUARE ENIX GAME CONTEST 2026」について、同社執行役員の齊藤陽介氏にお話をお伺います。

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『ドラクエ』を生んだ才能も、コンテストで光が当たったからこそ―「SQUARE ENIX GAME CONTEST 2026」に込められた、次世代ヒット作萌芽への思い
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スクウェア・エニックスが5月20日に発表したゲームコンテスト「SQUARE ENIX GAME CONTEST 2026」。賞金総額10億円、応募作品の中から必ず入賞作品を選出するという姿勢に、同社がこのコンテストにいかに力を入れているかの一端がうかがえます。

昨今ではゲームメーカーによるゲームコンテストはめずらしくはありませんが、スクウェア・エニックスが今注力する狙いとは? コンテストの運営事務局にて統括という立場である、同社執行役員の齊藤陽介氏に話をうかがいました。

QUARE ENIX GAME CONTEST 2026 公式サイト

◆『ドラクエ』の堀井氏や中村氏のような新たな才能が世に出る手伝いをしたい

――まずは、コンテストの企画の経緯を教えてください。

齊藤陽介氏(以下、齊藤)インディーゲームという概念がすっかりなじみのものとなったように、今は開発チームの大小に関わらず、新しいこと、独創性のあることを主眼に置いたゲーム作りをしている開発者の方が大勢いらっしゃいます。そうした人たちが少しでも世界へ羽ばたきやすくなるよう、スクウェア・エニックスがパブリッシャーとして応援できることがあるはずだ……という思いで企画しました。

実は、弊社は1982年にも同じようなゲームコンテストを行っていますので「そのようなコンテストを今復活させたら、どのような才能が出てくるだろうか」という考えもあります。

――のちに『ドラゴンクエスト』を生み出す堀井雄二氏や、スパイク・チュンソフト元取締役会長の中村光一氏など多くの才能が入賞して脚光をあびた「ゲーム・ホビープログラムコンテスト」ですね。ライターとしてコンテストを取材する仕事を請けていた堀井氏が、こっそりと『ラブマッチテニス』で応募もしていて入賞を果たした……という。

齊藤はい。その後、堀井さんは『ポートピア連続殺人事件』などのアドベンチャーゲームを数本手がけ、1986年に『ドラゴンクエスト』を生み出しました。あのときの堀井さんや中村さんたちと同じように、ゲームで旗揚げを夢見ている若い人はいつの時代も大勢いると思いますので、ぜひ弊社のコンテストにも応募していただければと思っています。

また、応募に年齢制限はありませんので、私たちと同年代くらいのゲームクリエイターの方が1人で作ったゲーム……などというのも応募されてきたらなおいいですね。応募者の最年少と最年長がどのくらいになるのかにもワクワクしています。

――近年はインディーゲームのコンテストを開催するゲームメーカーが増えてきていると感じます。昨今のインディーゲームシーンをどのように捉えていらっしゃいますか。

齊藤 「すごい時代が来たな」のひと言につきますよね。5月は「BitSummit PUNCH」にお邪魔してさまざまなブースを見て回りましたが、少人数で、かつ半年ほどの期間でしっかりと遊べるゲームを作っておられる方もいて驚きました。知識としては、今はそういう規模でゲームを作れると知ってはいましたが、実際に自分の目で見て体感して、あらためて驚きました。

――ゲームを作れるようになるまでの努力はもちろんいつの時代も必要ですが、インターネットの普及を機に今は昔よりもゲーム制作が身近になったように感じます。

齊藤そうですね。しかし、それは見方を変えると「競合作品がものすごく増えた」ということでもあります。近年のSteamは、年間で2万近い作品がリリースされていると聞きますしね。ここまで盛り上がると、作りやすくなったとはいえ今度は「せっかくよくできているのに、埋もれてしまうゲーム」も出てきてしまうでしょう。

私たちがコンテストを開催する狙いは、そこにもあります。コンテストで入選や受賞を果たせば、応募しないよりもずっと日の目を見やすくなると思いますので。

――「スクウェア・エニックスという日本有数のゲームメーカーが主催するコンテスト」を自作ゲームの宣伝材料として使ってほしい、と?

齊藤その通りです。コンテストに応募することで、ぜひ弊社の名前をみなさんのゲームの宣伝に使ってもらえればと。受賞できれば、もちろん賞金もありますしね。

――抽象的な質問になってしまいますが、どのようなゲームに応募してほしいと思っていますか?

齊藤私は『ニーア』シリーズや『ドラクエ』シリーズに携わってきましたが、もちろん、本コンテストに『ニーア』レベルのアクションRPGや、『ドラクエ』もかくやのRPGを求めているわけではありません。あえて私が関わった作品で例えるなら、求めるのは『アストロノーカ』や『Voice of Cards』のようなワンコンセプトをとことんつきつめたゲームです。

エンターテインメントの形はさまざまで、王道でなければならない理由はありませんので「自分のゲームは面白いに決まってる」と、自信をもって応募していただければ幸いです。

――齊藤氏が携わられたゲームでは、1998年の『アストロノーカ』も異彩を放ったゲームでした。遺伝的アルゴリズムをベースにデザインされた害獣のバブーは、無限ともいえるほどの進化パターンを見せると聞きました。

齊藤ありがたいことに、今でも「リメイクしてください」というお声をいただくことがあるタイトルです。とはいえ「さすがに今出してもあまり売れないのでは……」とも思うのですが(苦笑)。

ともあれ、『アストロノーカ』は純粋な開発人数でいうと、10人いるかいないか程度の規模で制作したゲームでした。今ならもっと、少ない人数で同じようなゲームを作れるかなと思っています。

――『アストロノーカ』は、森川幸人氏が夢の島のハエ問題をヒントに発想したゲームだそうですね。大量発生したハエを駆除しようとしても、殺虫剤に驚異的な耐性を獲得した個体が誕生して事態が泥沼化してしまったという……。ワンコンセプトのトガったゲームのヒントは、日常のニュースなどから得られることもあるのだなと。

齊藤決して悪く言うわけではありませんが、新しいと称えられるゲームも、実は過去に流行ったゲームや、日常的に触れるものを現代風にアレンジしたものもあったりします。そういう意味では、普段からいろんなエンタメに触れておくのも、アプローチとしては悪くないと思いますね。

また、今日では“配信映えするか”もヒット作の重要な要素として挙げられると考えています。そうした考えに基づいて、当コンテストでも一次審査はゲームプレイ動画で実施することにしています。応募を考えてくださっている方は、ひとめで面白さが伝わる、「見ているだけでも面白いゲーム」を意識していただければと。

◆一般ゲームファンを審査員に募り、プレイヤー目線で魅力的だと思えるゲームを選出

――昨今何かと話題になるAIについても教えてください。本コンテストではガイドラインに準拠すればゲーム制作にAIを使用してよいことになっていますが、AIに関する規約が決まるまでの経緯はどのようなものだったのでしょうか。

齊藤インディーシーンにおける少人数の開発チームだと、自分たちだけではどうにもならないところをAIに頼っている例も少なくないと感じたので、開発をサポートするツールとして使ってもらう分には問題ないということにさせていただきました。

――コンテストでは一般ゲームユーザーからも審査員を募るということですが、どのような基準で選定、採用されるのでしょうか。

齊藤基本的には、ゲームが好きな方を中心に集めようと思っています。冒頭で言及された「ゲーム・ホビープログラムコンテスト」も、学生や若いサラリーマンの方とかをアルバイトで募って、審査員をしていただいたそうです。今の時代は、SteamやAmazonのレビュー、レビュー収集サイト「Metacritic」のユーザーレビューなどがそれに近しいと思います。

私たち作り手だけが「あれがいい、これがいい」とチョイスしてしまうと、今ゲームで楽しんでいるみなさんの好みからズレてしまう可能性もあります。そうなるよりは、プレイヤーのみなさんの好みや感覚を尊重したコンテストにしたいと考えました。私たちも、一票の重みは変わらない状態で、その中に入ろうとは思っています。

また、すべての応募作は難しいと思いますが、せめて最終審査まで残った作品には、私たち審査員からのフィードバックは返してあげたいと考えています。もし残念ながら受賞を逃したとしても、そのフィードバックが功を奏して、その後に大ヒット作品を生み出したりしてくれたりしたら、それに勝るものはありません。

――ゲームの核となる遊びの部分はもちろんですが、タイトルも非常に重要であると思います。親しみやすい、伝わりやすいタイトルはどのようにして考えればよいでしょうか。

齊藤 「とことんトガっている」か「“名は体を表す”というレベルで分かりやすい」かのどちらかに特化してインパクトを出すことだと思います。

――御社はゲームメーカーでありながら、出版部門も有しているところがユニークであり、強みでもあると思います。コンテストの受賞作品は「出版・配信・マーケティングを含めたパブリッシング事業を全面的に協力する」とありますが、例えば、とても物語性が強いゲームが受賞した際には、御社のサポートでコミカライズやノベライズされる可能性もあるのでしょうか。

齊藤もちろん、可能性は大いにあります。ゲームの内容や魅力次第では、グッズ化やコミカライズなども視野に入るかもしれません。弊社がゲームを制作・販売しているだけの企業ではないところも、コンテストに応募するメリットのひとつだと思ってもらえたら嬉しいですね。

――最後に、コンテストの応募を考えている人たちへのメッセージをお願いします。

齊藤ゲーム制作のゴールは完成させることではなく、そのゲームを1人でも多くの人に遊んでもらうことだと思っています。だからこそ、インディーゲームが身近なものになったことで埋もれやすくなってしまっている今日において、弊社のコンテストがみなさんの自信作の知名度を上げる一助になればと考えています。

応募受付は2026年12月15日からで、締切は2027年3月15日です。近年の大ヒット作である『8番出口』や『めっちゃカメレオン』は、今から制作を始めても応募が間に合うくらいの期間で制作されたゲームだと思います。

「自分が作っているゲームは、本当に面白いのだろうか」と迷ったり悩んだりする気持ちは、私たちもよく理解できます。しかし、だからこそ表に出してみて、評価を受けてみてはいかがでしょうか。そのついでに賞金も狙えるのだからお得……というくらいの軽い気持ちで応募してくださったら嬉しいです。

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《蚩尤》

汎用性あるザク系ライター(が目標) 蚩尤

1979年生まれのファミコン直撃世代。スマホゲームもインディーズも大型タイトルも遊びますが、自分と組ませてしまって申し訳ないという気持ちやエイミングのドヘタさなどからチーム制のPvPやFPS、バトロワが不得手です。寄る年波…! ゲームの紹介記事に企画記事・ビジネス寄りの記事のほか、アニメなど他業種の記事もやれそうだと判断した案件はなんでも請けています。任天堂『ガールズモード』シリーズの新作待機勢。

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