約60年ぶりに復活!国産初のレトロなクレーンゲーム機「クラウン602」の後継機を完全オーバーホール…「AMUSEMENT EXPO 2026」のタイトーブースでも展示へ

1966年に開発された「クラウン603」がタイトーの呼びかけによって奇跡の発見となり、それが今回の完全オーバーホールを経て、稼働できる形で文化保存されることになりました。

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約60年ぶりに復活!国産初のレトロなクレーンゲーム機「クラウン602」の後継機を完全オーバーホール…「AMUSEMENT EXPO 2026」のタイトーブースでも展示へ
約60年ぶりに復活!国産初のレトロなクレーンゲーム機「クラウン602」の後継機を完全オーバーホール…「AMUSEMENT EXPO 2026」のタイトーブースでも展示へ 全 15 枚 拡大写真

1960年代に稼働していたクレーンゲームはすべて海外製品であり、高価なうえに故障が多く悩みの種でした。しかし1965年、タイトーがまだ太東貿易株式会社だった時代に国産初のクレーンゲームとなる「クラウン602」を開発。たちまち海外製品にとって代わって人気を博しました。その当時はお菓子を景品にしていたそうです。

その後、約1年後の1966年に後継機となる「クラウン603」を開発し稼働させることとなりました。今回発見・修復されたのは、その「クラウン603」となります。

「クラウン602」の当時写真。
「クラウン603」の当時写真。

実は筆者も幼少期に、家族旅行の旅館のレクリエーションルームにて似たような筐体で遊んだ記憶がありました。それが果たして「クラウン602」または「クラウン603」か定かではありませんでしたが、現在のようなクレーンゲームに混じって、ひときわ古い筐体が置かれていて「こんなのもあるんだ!」と思ったものです。

当時はあまりに幼く、最新筐体とレトロな筐体の区別がつかないような年齢ではあったものの、アームの部分や随所のデザインに飾り気がなさすぎ、そんな筆者でも直感的に古い筐体だと思ったのを今でも覚えています。最新筐体ではプライズ系の商品が置かれていた中、その古い筐体には大きめのカプセルに非キャラクター系のキーホルダーなどが入っていました。

その、ひとめでクラシカルだと分かるタイトーのクレーンゲームが、なんと約60年ぶりに発見。しかも完全に修復されて稼働できる状態にまで復活! 文化財として保存されつつ、今後はイベントでも展示されることになりました。

本稿ではメディアに初めてお披露目された、その「クラウン603」をレポートしつつ、修復にあたったタイトーの技術部門「TAITO TECH(タイトーテック)」についてもご紹介したいと思います。

※1965年当時はタイトー製のクレーンゲームのほかにも国産クレーンゲームが複数種発売されていました。

このたび発見・保存されることになった「クラウン603」。

◆きっかけは社員の「実物を見てみたい」

今回のプロジェクトは2025年の秋から実施されていたもので、日本のアーケードゲーム文化のルーツと技術資産を継承するために発足したものでした。きっかけは、広報社員が「クラウン602」を写真でしか見たことがなく、実物を見てみたいと思いついたこと。現在に至るまで「クラウン602」自体の発見には至らなかったものの、その直接の後継機である「クラウン603」が4,400件の情報提供によって発見されました。

このたび修復された「クラウン603」は個人所有のもので、倉庫で埃をかぶった状態で眠っていたといいます。当初は断線が見られ動作するかどうかわからなかったものの、タイトーの技術サービス部である「TAITO TECH」の技術者が内部構造に大きな故障がないことを確認。オーバーホールすれば稼働できるということで修復を開始し、完全な形で甦ることになりました。

実際のオーバーホールの内容としては、経年劣化した配線と配電回路を再構築。キャビネットおよび装飾の傷の修復・リペイントなどが挙げられます。現在のクレーンゲームとは構造が異なるため手探りの作業になりましたが、その知見はほかの修理案件でも活かせるよう技術の継承をおこなうとのことでした。

【タイトー技術部門「TAITO TECH」担当者 コメント】

「クラウン603が再び動いた瞬間は、約60年分の時間が一気につながったように感じました。古い機器は、状態を見ながらひとつひとつ手を入れていく必要があります。分解できる箇所は分解し、内部を確認し、修繕する。その積み重ねによって、ようやく本来の動きを取り戻すことができました。今回のオーバーホールを通じて、TAITO TECHの技術力を感じていただければと思います。」

今後の予定としては、自社アーカイブ資産として保管するとともに、各種イベントや展示会等で展示をすることになります。まずは、2026年11月6日~7日に東京ビッグサイトで開催される「AMUSEMENT EXPO 2026」のタイトーブースにて展示予定なので、ぜひ現地で歴史の一部を実際にご覧いただいてはいかがでしょうか。

◆タイトーの技術サービス部「TAITO TECH」とは?

タイトーの技術サービス部とは、全国のアミューズメント施設を支える技術のプロフェッショナル集団のことで、修理の依頼があれば、全国18のサービス拠点から土日でも駆けつけて筐体の修理などをおこなってくれます。もちろん故障対応だけではなく、店舗巡回メンテナンス、訪問修理故障、故障相談、故障を未然防ぐための予防保全も大事な仕事です。

ひとつの例として、銭湯に設置されているインベーダーゲームを修理したことがありました。

インベーダーゲームといえば1970年代に流行した筐体であり、とても古く、部品が手に入るのかどうかさえ分からない代物でした。構造などの情報が残っているわけでもなければ修理経験者もいない。そのような状況で回路の構造を読み解き、仮説を立てて確認し、違っていたらまた別の方法を探す。そのようにして修理したといいます。

これは「クラウン603」の修復も同様で、現在のクレーンゲーム機とは機構も考え方も違います。それをひとつずつ読み解き、インベーダーゲームと同様に手探りで修復を実施しました。

このような“神業”を可能としたのは、やはりひとりの技術者の知識や経験ではなく、これまで同様の業務に携わってきた技術者の知見があったからこそ。そのためタイトーでは現在、レベル認定制度、実機講習、TSC技術情報交換会などを通じて技術継承するための取り組みも同様に実施しています。

ちょっとしたモーター音の異変、振動の異変……そういった、機械やAIでは察知できないような異変をもとに事前に故障を防いだり、不可能と思えるような修復作業をしたりする。今回、「クラウン603」の修復にも関わった技術者は、「クラウン603」のメディア発表会の場を借りて、技術サービス部の取り組みをそのように説明してくれました。

最後にアミューズメント機器の修理について、技術スタッフは「ゲーム筐体を修理した時に、その修理を待ちわびたお子様たちが嬉しそうにしていると、そこに生き甲斐を感じるというか、やってよかったなと実感します」と熱く語ってくれました。「クラウン603」もこの情熱が原動力となって再稼働したのだと思うと、クレーンを動かす大きめの駆動音も、筐体の喜びの声のように聞こえてきました。

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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

《気賀沢昌志》

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