「コンボイの謎」を解き明かす“古文書”を発見!? マーベルが発行した当時のコミカライズを緊急入手!!【11/27『トランスフォーマー ザ・ムービー』公開記念】

あのマーベルが「トランスフォーマー」の世界観やキャラ設定を手がけていました。

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「コンボイの謎」を解き明かす“古文書”を発見!? マーベルが発行した当時のコミカライズを緊急入手!!【11/27『トランスフォーマー ザ・ムービー』公開記念】
「コンボイの謎」を解き明かす“古文書”を発見!? マーベルが発行した当時のコミカライズを緊急入手!!【11/27『トランスフォーマー ザ・ムービー』公開記念】 全 12 枚 拡大写真

1986年にファミコン用ゲームとして開発された『トランスフォーマー コンボイの謎』(以下『コンボイの謎』)は、その理不尽な難易度ゆえに伝説的なタイトルとなり、現在も配信者がチャレンジしては開始2秒で爆散しています。

原作は1985年に放送されたTVアニメ「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」。現在も新作アニメが制作されているほか、2007年にはマイケル・ベイ監督による実写映画版が公開されて世界的に大ヒットを記録しました。

しかし当時のファンや「トランスフォーマー」ファンはともかく、『コンボイの謎』を最近知った人たちはこう思うはずです。「そもそも『コンボイの謎』ってどんな謎なの?」と。

そこで本稿ではその「謎」の部分を解説しつつ、当時公開されるはずだった長編アニメ映画「トランスフォーマー ザ・ムービー」にまつわる混乱ぶりを、時系列に沿って整理したいと思います。

なお当時のマーベル版コミカライズを紹介するにあたって「トランスフォーマー ザ・ムービー」の核心となる部分にも触れるので、ネタバレを回避したい方はご注意ください。

イメージコミックス(スカイバウンド)が周年記念として発行したマーベル版のコミカライズ全3冊。もともとはマーベルコミックで制作されたものですが、権利が移ったことで他の出版社から復刻版が発行されている状況です。
映画『トランスフォーマー ザ・ムービー』予告編

◆あの年、いったい何が起こったのか?

アニメ「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」とは、アメリカのホビーメーカー「ハズブロ」が展開する一連のホビーシリーズをもとにした海外アニメのこと。アメリカでは1984年9月17日より放送開始。日本はそれより10カ月遅れの1985年7月6日よりスタートしました。

もともとタカラ(現タカラトミー)が国内向けに販売していた「ダイアクロン」「ミクロマン」といったシリーズを海外展開するにあたってハズブロと業務提携したものであり、日本国内ではタカラが、海外ではハズブロが販売を担当することになります。つまり日本国内において「トランスフォーマー」は逆輸入する形となったのです。

しかしアメリカの子供にアピールするにはキャラクター性がないと厳しいとのことで、ハズブロがマーベルコミックに独自の世界観とキャラ設定の制作を依頼。そうして生まれたのが「トランスフォーマー」でした。そのような事情があるため、マーベルではアニメが放送される直前の1984年9月より独自にコミックシリーズを展開していくこととなります。

それは導入部こそTVアニメ版と同じでしたが、すぐにまったく異なるストーリーへと分岐していきます。アニメでは地球で小競り合いを繰り返すサイバトロン(現オートボット)とデストロン(現ディセプティコン)の陣営が描かれる一方、マーベルコミック版では地球人との軋轢、長い戦争から来る疲弊感など、若干の重苦しい雰囲気で消耗戦が描かれたのです。そのほかスパイダーマンがゲストで登場したこともありました。

アメコミではカバーイラストの異なる特別版「ヴァリアント」と呼ばれる仕様があり、今回の周年記念の復刻版でも各巻3パターンから4パターンのヴァリアントカバーとなっていました。
中央にいるのが『コンボイの謎』でプレイアブルになったウルトラマグナス。絵柄がクラシカルで良いですね!

こうして「トランスフォーマー」は世界的に大人気となるわけですが、シリーズを展開するうちにタカラの商品だけではラインナップが追い付かなくなり、ハズブロとタカラはオリジナル商品を開発してその穴を埋めることとなります。それが「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」(以下「初代」)に続いて放送された続編「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010」(以下「2010」)に登場した新キャラクターたちでした。

※アメリカでは一連のシリーズに区別はなく、「2010」のタイトルは日本国内独自のものとなります。

「2010」では新たなサイバトロン総司令官とその仲間たち、新たなデストロン破壊大帝とその手下が登場するわけですが、その交代劇をドラマチックに描くため、ハズブロは「初代」と「2010」の間のストーリーを埋めるオリジナルの長編アニメ映画の制作に乗り出します。それがこのたび、11月27日に日本初・劇場公開となる「トランスフォーマー ザ・ムービー」でした。

※1989年にチャリティー企画の一環として一般公開されたものの劇場公開は今回が初。

この動きに対し、タカラでは日本国内向けに様々なプロモーションを考案。アメリカのように「初代」と「2010」の間に公開することができず、翌年、1987年の夏に公開される予定だったこともあり、映画の代わりにプロモーションで穴を埋めようとしたのでした。それが当時CMで話題となった「コンボイ(現オプティマス・プライム)が死んだ!」キャンペーンや、新作ファミコンゲーム『コンボイの謎』だったのです。

しかし肝心の映画はその後、公開が見送りになり、このたびの40周年・初劇場公開となったのでした。

新司令官となるロディマス(中央)。

◆『コンボイの謎』の“謎”とは?

「トランスフォーマー ザ・ムービー」は「初代」から地続きの設定ではあるものの、ストーリーとしては単純明快で「サイバトロンとデストロンがずっと戦ってる世界」という状況さえ覚えておけば問題ありません。時系列的にはTVシリーズよりもデストロン側が優勢になっていて、実際に視聴すると「今こんなことになっているの!?」とファンが思うくらいには雰囲気が異なっています。そのためTVシリーズを観ていなくても、状況説明をていねいにしてくれるので問題ないかと思います。

その中で描かれたのは以下のさまざまな出来事でした。

まず両陣営のトップであるコンボイ司令官と破壊大帝メガトロンが直接対決してコンボイが死亡。大ダメージを負ったメガトロンは、本作最大の脅威となる“惑星を食らう者”ユニクロンによって改造され、新破壊大帝ガルバトロンに転生します。

その後、サイバトロンのリーダーはNo.2のウルトラマグナスに継承されるものの、継承の証である「マトリクス」が選んだのはサイバトロンの若き騎士ホットロディマスであり、マトリクスによって「ロディマスコンボイ」に進化した彼はサイバトロンの新リーダーとしてガルバトロンを倒すのでした。

つまり『コンボイの謎』とは、「コンボイが誰に殺されたのか」「新リーダーは誰なのか」この2点を解き明かすヒントが分かるものとして企画されたものです。主人公についてもコンボイだと勘違いされますが、実はウルトラマグナスがプレイアブルキャラクターでした。

コンボイとメガトロンの対決シーン。

ゲームではそのあたりの事情説明がないままエンディングを迎えるため謎が謎のままになっていますが、「コンボイが誰に殺されたのか」については隠しステージでメガトロンの肖像画が登場するのがその答えとなっており、「新リーダーは誰なのか」ついては、ゲーム中で登場するアルファベットを集めることで使用可能となるロディマスがその答えとなっています。

この時点ですべての謎が解けたかに思えますが、ひとつ、不自然な点が残ります。それが新破壊大帝ガルバトロンの存在でした。

実はガルバトロンは映画に先がけて商品化されており、どの新キャラよりも早くその全貌が判明していました。しかし『コンボイの謎』の隠しプレイアブルとして登場するロディマスと違い、ガルバトロンは一切露出がありません。しかも「2010」に至るまで設定の“ゆらぎ”があり、当時の混乱をもっともうかがわせる存在でした。

惑星サイズのキャラクター「ユニクロン」。

◆マーベルのコミカライズから見えてきたもの

ガルバトロンの国内での初出は、まだ「初代」が放送されている間のことでした。「スクランブルシティ計画」と呼ばれる玩具展開において、基地に変形する巨大トランスフォーマー「メトロフレックス(サイバトロン)」と「ダイナザウラー(デストロン)」が発売されることになり、サイバトロン側のシティコマンダーとしてウルトラマグナスが、デストロン側は要塞参謀としてガルバトロンが発表されて脚光を浴びました。

※シティコマンダーと要塞参謀は部隊長のような役職であり、「スクランブルシティ計画」の主人公でありライバル的な立ち位置でした。

しかし当時のガルバトロンは灰色ベースのカラーリングとなっており、紫色の新破壊大帝ガルバトロンとは別人設定として展開されることになります。それが「2010」の放送がスタートするといつの間にかその存在が抹消され、玩具も灰色ベースのガルバトロンが新破壊大帝として設定が上書きされます。その点について当時のファンも、「え?? 同一人物!? 別人じゃなかったの??」と混乱しかありませんでした。

しかも「2010」の第1話ナレーションでは「メガトロンが行方不明になっている」と明言され、まるでガルバトロンとは別個体のような印象を視聴者に与えます。ネタバレ防止のためかもしれませんが、現在に至っては矛盾する設定となってしまいました。さらに第2話でガルバトロンが初登場する際には、セリフでは「新破壊大帝」と説明しつつもテロップでは「要塞参謀」となっていたりするなど、そのあたりからも当時の混乱のようすが伝わってきます。

マーベルコミックに登場したガルバトロン。

事実、「スクランブルシティ計画」の当時に「テレビマガジン」や「コミックボンボン」で「トランスフォーマー」関連の描き下ろしイラストを担当していたスタジオOXでも、メガトロンの転生体がガルバトロンであることを知らずにイラストを制作していたといいますから、どれだけ情報が行き渡っていたか定かではありません。

その一方で、メガトロンとガルバトロンのボイスを担当した加藤清三さんには、その2人が同一人物であることが伝えられるなど、少なくとも一部スタッフには真相が共有されていたようすです。修正が間に合わなかったのか、それともただの見落としか、ともかく現場に周知が徹底できないほどの状況であったことがうかがえました。

今回、マーベルのコミカライズを読んで衝撃を受けたのは、まさにその点です。なんとコミカライズの方でも、灰色カラーの要塞参謀ガルバトロンが新破壊大帝として描かれていました。

※「スクランブルシティ計画」は日本独自のキャンペーンでありマーベル版ではそのような展開はありません。

マーベルのコミカライズは映画のシナリオが決定稿になる以前のものが使用されていたことに加え、クリエイター独自の解釈、さらにはページ数の都合によって細部がカットされていたりして、ほかにも随所で異なる点が数多く確認されました。

たとえばガルバトロンが灰色になっているだけでなく、映画ではロディマスが人質になりコンボイが撃たれるシーンがありましたが、マーベル版では丸ごとなくなっていて驚かされました。ロディマス好きの筆者としては、彼がコンボイの死を招いたとしてヘイトの対象になっていたのが心苦しかったのですが、その部分が“改変”されていてホッとしました。

またクインテッサ星人に捕まるシーンでは、映画と違いグリムロックも一緒に捕まっていたり、マトリクスの形状が異なっていたり、惑星ジャンキオンでのウルトラマグナスの敗北が異なる展開になっていたりと、大きな流れは映画と同じながら、細部の描写が異なっていて大変興味深かったです。

クインテッサ星人に捕まったロディマスたち。

カラーリングが異なるといえば、映画の特報に登場するキャラクターも、ウルトラマグナスがダイアクロン時代のカラーリングになっていたり、ロディマスのサイバトロンエンブレムの位置が異なったりと、デザインや設定の“ゆらぎ”がうかがえました。

しかしマーベルのコミカライズや『コンボイの謎』の時点では決定稿のバージョンになっているあたり、おそらくガルバトロンだけは最後の最後まで設定変更があったのでしょう。

そのような混乱がありつつ、最終的には国内上映が見送りになったこともあり、直接の原因かどうかは分からないものの、「2010」以降の国内トランスフォーマーは「ザ・ヘッドマスターズ」「超神マスターフォース」「V」といった、いわゆる国内独自制作によるアニメシリーズ展開にシフトすることとなりました。そのあたりの事情は公にはされてはいないものの、「ハズブロと何かあったんだろうな」と容易に思わせるものです。

なお灰色カラーのガルバトロンは、海外においては「ガルバトロンII」の名称で親しまれています。マーベル版のトランスフォーマーは独自のストーリーを歩みすぎ、そちらでも別の理由でリーダーが交代するのですが、ロディマスコンボイが誕生することはなくダイノボット部隊のリーダーであるグリムロックがその座に就きました。

そのためコミカライズのストーリーは外伝扱いとなり、別のマルチユニバースの物語として隔離され、そちらで誕生したガルバトロンは、マルチユニバースのガルバトロンとしてメインストリームの時間軸に迷い込むことになります。そのような事情であるため、区別をするために「ガルバトロンII」と呼ばれたのでした。

マーベル版のトランスフォーマー・コミックについては、「ヒーローX!」が「トランスフォーマー クラシックス」のタイトルで全12巻+外伝1冊の翻訳版を発行しています。1980年代の古い絵柄がまさにクラシックで味があるのと、アニメとはまったく異なったストーリーの興味深い内容となっていてオススメです。

※「トランスフォーマー ザ・ムービー」のコミカライズ3話分は未翻訳・未収録です。

「ヒーローX!」が発行した「トランスフォーマー クラシックス」全12巻+外伝1冊の翻訳版。
全13冊の背表紙。桑田次郎先生版の「バットマン」は「トランスフォーマー クラシックス」を固定するために使用したものなので本記事とは関係ありません。

なにはともあれ、40年ぶりに公開されることとなった「トランスフォーマー ザ・ムービー」。ファンは擦り切れるほど映像を視聴していると思いますが、やはり“国内初”のお祭りは逃せないと、公開を心待ちにしている状況です。

劇場グッズのみならず、「フィギュア王」などの雑誌でも特集を組んで、当時の貴重なインタビューや資料が掲載されていたりしますから、そちらと併せて40周年のお祭りを楽しんでみてはいかがでしょうか。

トランスフォーマークラシックス (VOL.12)
¥4,994
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

《気賀沢昌志》

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