【CEDEC2007】ケータイゲームの可能性 〜「モバゲータウン」を例に〜

低年齢層を中心に、いま絶大な人気を誇る携帯サイト「モバゲータウン」。お手軽に遊べるたくさんのゲームを揃え、現在は会員数を600万人以上に伸ばしている巨大サイトです。このフォーラムでは、「モバゲータウン」を運営しているディー・エヌ・エーから、ポータルコマース事業部モバイルポータル部 部長の畑村匡章氏がサイト運営の仕組みや、会員数を伸ばし続ける秘訣について紹介がありました。

モバイル・スマートフォン 全般


「モバゲータウン」は、運営を開始してからたったの1年7〜8ヵ月しか経っていません。このサイトの最大の特徴は、携帯電話で手軽に遊べるゲームを多数用意しているところです。ほとんどのゲームはFlashによって作られており、1分もあれば遊べる簡単なゲームばかり。ドコモ端末でしか遊べないゲームを含めると、ゲームの総数は100種類以上もあるそうです。

さらに同社は、新たにサイト内通貨である「モバゴールド」を使用できる本格的なゲームのサービスを開始しました。『マスター オブ ファンタジア』と名付けられたそのゲームは、3DグラフィックのアクションRPGです。モバゲーゴールドを消費すれば、ゲーム内アイテムを購入することもできます。本作最大の特徴は、最大4人まで同時にプレイできるゲームシステム。本当はMMOを作りたかったようですが、現在のデバイスの問題でMO形式に落ち着きました。そして、畑村氏は本作の開発に至った理由について、以下のように語りました。

畑村氏「企画を立ち上げたときの発想は、私が子供だったころの思い出からです。昔はよく、友だちの家にファミコンを遊びに行っていました。遊びに行くと、友だちが別の友だちを呼んでいたりして、知らず知らずの内に友だちが増えていたものです。そんな環境を携帯電話のゲームで作れないか……と思っていたのです」

会場のスクリーンには、携帯電話からアクセスされている3大サイトのグラフが映し出されました。第一位は「モバゲータウン」で、6月は3.59億PVを稼いでいます。第二位のmixiが1.76億PVで、第三位のYahooモバイルが0.9億PV。この結果を見ると、「モバゲータウン」の人気の高さがわかります。続いて公開された資料は、「モバゲータウン」の年齢別ユーザー数です。資料には15歳から20歳までの会員数と、国勢調査から抜粋された国民人口が掲載されていました。注目すべきは16歳の会員数。なんと、国民人口の52%以上が会員登録されているようです。これは、16歳のふたりにひとり以上は「モバゲータウン」の会員であることを意味しています。この他も、15歳から18歳まで、すべてにおいて人口の40%以上が会員であるデータが出ています。

このように、中高生に人気の「モバゲータウン」ですが、最近は20歳以上の会員も増加傾向にあるようです。元々は携帯電話でゲームを遊ぶようなヘビーユーザーをターゲットとして生まれたサービスでしたが、現在はクチコミによってどんどん会員数を伸ばしています。

続いて畑村氏は、「モバゲータウン」がなぜ受けているかについて言及しました。もっとも大きな理由のひとつとして、「サイトに訪れてから1秒から2秒でゲームを開始できること」を挙げました。ゲームはFlashで作られているため、Javaのように長い時間待たされることなくゲームを遊べます。サイトを見ているときに、シームレスにゲームを始められるため、サイトに訪れる大部分のお客さんがゲームを遊んでくれるそうです。

また、ゲームを遊び終わった後は、ランキングのページが表示されます。これも「モバゲータウン」の肝といえるシステムと説明しました。ランキングには名前の他にアバターが表示されるため、いろいろな人が遊んでいるのがすぐにわかります。さらに、アバターにはリンクがついていて、クリックすることによって個人のプロフィールページへ飛ぶことも可能です。各プロフィールページには伝言板が用意されているため、訪れた人はコメントを残すこともできます。そのため、高得点を記録してランキングの上位にいる人には、多くのコメントが残されます。畑村氏は、「日本人は他人に声をかけるのが苦手と言われますが、共通の話題を与えられればその限りではありません。ここではゲームという話題があるため、自然と会話ができるんですね」と分析しました。

「モバゲータウン」のコミュニティーはこれに留まりません。ゲーム後のランキングページで軽いコミュニケーションに慣れてもらったら、さらに本格的なコミュニティーに参加してもらうサービスを用意しています。「モバゲータウン」には、mixiのようなSNSのサービスも行なっているため、ゲームをプレイしなくても楽しめます。日記や足跡、サークル(コミュニティー)など、一般的なSNSの機能は網羅している上に、加えて着せ替えを楽しめるアバターもある。これが多くのユーザーに支持されている理由のようです。

このような本格的なSNSを始めた理由について畑村氏は、「ゲームだけだとお客さんが定着してくれないと思ったので、SNSの導入を決定しました」と語りました。

■ゲーム以外のコンテンツについて

「モバゲータウン」には、ゲームとSNS以外のコンテンツもいくつか用意されています。携帯電話ならではのサービスとして、地図にクチコミ情報を書き込めるものがあります。携帯電話の電波情報を使えば、端末を簡易的なGPSのように使用することができるため、地図を開けばいま立っている近所が映し出されます。そして、周囲にあるクチコミの情報を簡単に調べられる仕組みになっているのです。

もうひとつ、最近人気の「クリエイター」というコンテンツは、小説や音楽などの投稿作品を募るコーナーです。小説はすでに26万作品も集まっており、こちらは講談社と協力して大賞作品を発表しました。10代のやわらかい頭を持っている投稿者が多いため、アスキーアートだけで書いた小説やマンガのような作品など、大人が読んでもおもしろい、ユニークな作品が多いのが特徴だそうです。

■サイトの規模は拡大し続けている


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《佐藤隆博》

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