E3 2007でブイブイ言わせていた個性的なFPSは今どうしている?〜ウクライナ発の『Cryostasis』に見るあらたな潮流〜

『Gears of War』『BIOSHOCK|バイオ・ショック』『コール・オブ・デュティー4:モダン・ウォーフェア』などなど…。

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E3 2007でブイブイ言わせていた個性的なFPSは今どうしている?〜ウクライナ発の『Cryostasis』に見るあらたな潮流〜
E3 2007でブイブイ言わせていた個性的なFPSは今どうしている?〜ウクライナ発の『Cryostasis』に見るあらたな潮流〜 全 6 枚 拡大写真


日本でも熱狂的なファンが増えつつあるFPSですが、実は東欧・ロシアにも同ジャンルの熱狂的なファンが多数いるため、結果的に、欧米のアプローチとは違ったFPSが次々と生まれてきています。そこで今回紹介するのが、ウクライナ企業Action Formが開発し、ロシア最大のゲームパブリッシャーである1C Companyが販売予定のユニークなFPS『Cryostasis』です。


1960年の北極付近、座礁している巨船を舞台に、主人公を除き全滅してしまったクルーの謎を解きながら進むというのが『Cryostasis』の趣旨です。

プレイヤーは極寒の中で幽霊船のごとく変貌した船内で意識を取り戻すところからゲームをスタートします。このある意味不親切な設定は、かつての洋ゲーっぽい孤高さを感じさせますね。注目なのはゲームプレイ。プレイヤーは、その場で没したキャラの死ぬ瞬間の記憶に“ザップイン”することができるんです。これはプレイヤーが持つ「メンタルエコー」という特殊能力。ゲーム形態はファースト・パーソン・シューティングでありながら、ゲームデザインの根幹に「メンタルエコー」という独自のゲームシステムがあるというのが、このゲームの面白いところです。この点については、昨年のE3で、1C Companyの広報担当、Anatoly Y. Subotinが説明していたので、まずは、その際の模様を再現していきましょう。

Anatoly:OK。これからプレイするのは、あるシーンのフラッシュバックなんだ。ここではある人物が自分1人で熱源を確保しようとし、もう1人の人物が何かを取りに行こうと動いていた、っていう感じだろう? じゃあ、まず最初のモニターで、ある人物の心の中に飛び込んでみるよ…。ここから、僕がこのゲームの中で一番好きなシーンなんだ。


サイケデリック感漂う、独特なグラフィック演出※クリックで拡大画面を表示


(ここでキャラクターがザップインする。この瞬間、極寒の中、すべての物体が凍結していた状態から、船内が凍結前の状態に戻る。これまでの蒼色のモチーフから一気に暖色系の世界へと移る)

Anatoly:
これが「メンタルエコー」さ。人の心に入り込み、この人が死ぬまでの最後の数分間をプレイするんだ。こうすると世界がガラっと変わるんだ(凍結している物体や液体が少ないので)プレイヤーも急に動きやすくなる。ただ、敵キャラもこれまでのようにもっそりと動くわけではないけどね。

中村:描画技術とかは?

Anatoly:すべて、自前なんだ。3Dエンジンもね。いま、だいたい、15〜20人ぐらいのスタッフが開発しているんだ。これまで10〜11か月ぐらい、すでに開発を続けてきたんだ。プロトタイプからはじまり、1C Companyの承認のもと、ずっと作り続けているんだ。

中村:このメンタルエコーは実際の過去に戻り、未来を変えるという仕組みなんですか?

Anatoly:
実際に見せてやるよ!

(次のゲームシーンに移る)





凍てついた船内で、いったい何が起こったのか?※クリックで拡大画面を表示


Anatoly:ここは、船内なんだけど、すべてが凍りついている。凍りの塊はあるし、死体も埋まっている。ここでは、人物を救ってやろうと思うんだ。

(ここでメンタルエコーを活用し、ザップイン)。

Anatoly:ほら、もう船内は凍りついていないし、凍死していたはずの男も視界にはない。つまり死んでいた男の死ぬ直前の数分間をプレイしているのさ。船内ではアイスブレイカー(舞台である巨船)で事件が発生したことが伝えられているよ。そこで、私はこの男が水浸しとなった区間で閉じ込められないように、急いでドアの向こうの通路へと向かわせるんだ! ホラっ現実に戻ると、氷床で覆われた屋内の氷は消えているし、死体も消えた。つまり、この男を救ってやったということだ。もう、屋内は氷に覆われていないから、奥に進むことでプレイヤーも現実の世界でゲームを進めることができるのさ。

中村:ところで、このゲームにはライフメーターがないようだけど?

Anatoly:そうなんだ。このゲームには、「動的熱量」という概念が組み込まれているんだ。壁なんかも今は凍りついているけど、ストーブを着ければ、室温が高まり、それで壁にこびりついていた雪も融けはじめるんだ。キャラクターにも体温という概念がある。だから、体が温まることで、生き延びるんだ。

中村:モンスターと戦うときは?

Anatoly:モンスター自体も非常に冷たいんだ。だから、彼らに接触すればするほど、体温が奪われてしまう。そして最後は、凍死してしまうんだ…。

■『Cryostasis』はどう進化した?モスクワにいるAnatoly氏に、さらに電話で直撃インタビュー!

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《中村彰憲》

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