今どきゲーム事情■中村彰憲:洋ゲー最前線:“天才の時代”復活?!デュラン・フィトラーの『Audiosurf』

以前よりフィーチャーしつづけているValveのコンテンツ配信システム「Steam」ですが、その中で昨今、特に人気を博しているのが『Audiosurf』というゲームです。

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今どきゲーム事情■中村彰憲:洋ゲー最前線:“天才の時代”復活?!デュラン・フィトラーの『Audiosurf』
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中村:まず『Audiosurf』について教えてください。

デュラン・フィトラー(以下デュラン):『Audiosurf』はミュージック、パズル、レースゲームを融合させた作品。PC内のMP3ファイルなどをもとにした独自の世界を体感できるのが、作品の特徴だね。レーストラックの形、レースのペースやムードは、自らが選ぶ楽曲によって変わってくるんだ。ゲームとしては、トラック上にある同色のブロックをひとまとまりにすることで、得点を得るというルールだ。もちろん、自分のお気に入りの曲でのハイスコアをネット経由で競争することだってできるんだ。

デュラン・フィトラー氏


中村:このゲームがブレイクする前は、どのようなことをやられていたんですか?

デュラン:ビジネスソフトのプロジェクトマネージャをやっていたこともあるんだけど、いつも頭の中では、ゲームデザインのことばかり考えていたね。結局ゲームデザイナーになることを決めたよ。 で、あるゲーム開発スタジオにゲームテスターとして入社したんだ。だけど、他人からチャンスをもらうまで待つことができなくて、アルバイトとしてゲーム会社に働きつつ、プログラミングを学んでいったんだ。自分のアイデアをすこしでも早くコンピュータで実現するためにね。

中村:では、『Audiosurf』がどのように発案されたのか教えてください。

デュラン:もともと、ミュージックビジュアライザー系ソフトの大ファンだったんだよ。だけどこの手のソフトは、長い間、楽しめる作りになってなかったんだ。だから、自分としては、「音楽の世界の中に没入するようなものを作ろう」と思って開発を始めたんだ。最初に作ったのは、物理演算が重視されたFPSのようなゲーム。舞台ばディスコのフロアのように構成されていて、この構成が自分で選んだ音楽によって変わっていくっていうものだったのさ。選出する音楽によってフロアの構成が変わるっていうのは興味深かったけど、ゲームそのものは、やっぱりつまらなかったの一言につきるね(笑)。

で、「Indie Game Jam」(インディゲームジャム)に影響を受けて、自分自身も小規模だが完成可能なプロジェクトを数多くこなすようになったんだ。そこで作ったサイトが「BestGameEver.com」さ。6か月間ぶっ続けで、毎週かならず1本新作をリリースする「7−Day Games」を始めたんだ。超短期の締め切りの存在が、失敗に対する恐怖を僕から取り除いたんだ。「完璧に作る」ということを意識せず、「とりあえず頭の中で思いついた突飛なアイデアをゲームにする」ことに集中したのさ。その中で自分自身一番好きだったのが『Tune Racer』だったんだ。とにかく、“歌をローラーコースターに変換する”というコンセプトが気に入ってしまった。これを作りこんでいった結果として生まれたのが『Audiosurf』だったんだ。
『Audiosurf』の空間は、MP3ファイルなどの音楽をもとに自動構築される
※クリックで拡大画面を表示


■ビジュアライズされた音に「ゲーム」としての面白さを付け加える

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《中村彰憲》

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