【E3 2010】3DSで期待がかかるゲーム開発者の叡智(小野憲史)
任天堂とアップルの共通点とは何でしょうか。それはどちらも「競争が大嫌い」ということです。他社と競争するのが嫌いだから、自分で市場を作ってしまう。娯楽とITでフィールドは違いますが、戦略が実に似ています。最近の例ではiPadとニンテンドー3DSがそうです。
任天堂
DS

初代iPhone・iPod touchが発売されたときから、「画面の大きなiPod touchが欲しいなあ」という潜在的な欲求はあったはず。そして、ただ製品を作るだけなら、そんなに難しくありません。ならば他社に先を越される前に、「一番乗り」の栄誉を勝ち取ってしまう。iPadにはどこか、そうしたアップルの焦燥感が感じられます。
ニンテンドー3DSも同じです。薄型テレビの需要が一巡した頃から、立体視が次のトレンドになる流れがありました。映画「アバター」の大ヒットで多くの人が立体視を体験する機会も得ました。しかし一般家庭に立体視対応テレビが普及するには、まだ時間がかかる。そんな絶妙のタイミングでのニンテンドー3DS発表です。ここにも、ぼやぼやしていたら他社に先を越されるという思いが感じられます。
ただし、突飛な物を作るだけなら誰でもできます。それに人は突飛なものには好奇心と共に警戒心もいだくもの。ちょっとでも使い勝手が悪かったり、不親切だったりしたら、すぐに駄目のレッテルを貼られてしまいます。第一印象がすべてを決めてしまうのです。そのための配慮や作り込みは、どちらも尋常ではありません。
E3でも筆者をはじめ、多くの業界人がニンテンドー3DSの立体視映像を体験しました。おそらく好感触を抱いた人が多かったのではないかと思います。それと共に、ゲームソフトによって立体視の生かし方に違いがあることも感じられたのではないでしょうか。先ほどと同じで、ただ立体視にするだけなら、誰でもできますから。
ゲームの映像が2Dが3Dになった時のように、今こそゲーム開発者の知恵の見せどころです。私たちの頭の中にある「?」を「!」に変えてくれる。そんな新鮮な驚きを受ける遊びを期待しています。
《小野憲史》
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