明かされる『メトロイドプライム』誕生秘話 ― フェイゾンスーツの意外な秘密とは?
『メトロイドプライム』のデザインにはひとかたならぬ手間がかかっていたようです。
任天堂
ゲームキューブ
『メトロイドプライム』は米Retro Studiosが開発を手がけた海外製『メトロイド』。同シリーズにはこれまでなかったFPS(一人称シューティング)のスタイルを導入、高い評価を得ました。
同作でシニアアーティストを務めたMike Sneath氏は制作秘話を明かしています。
シリーズ初の3Dグラフィックかつ海外開発ということで、スタッフには大きなプレッシャーがかかったようです。
「我々が3Dで『メトロイド』を再現するプロジェクトをスタートさせたとき、“熱心なファンを持っているシリーズで大当たりを出すのは一苦労だ”と考えていたことを思い出します」
主人公であるサムス・アランのデザインも難航したようです。
「最初にバリアスーツをモデリングしたのは締め切りがタイトな時でした。そのときのゴールは、“E3で任天堂が『メトロイド』を作っている”と宣言するクールなムービーを作ることで、そのときは古いバリアスーツのモデルを使ったんです。このバージョンのサムスは一年ほど使われましたが、その後に任天堂が“新しいサムスのデザインを模索できないか”とRetro Studiosに尋ねてきたんです」
クールなカラーリングが印象的なフェイゾンスーツですが、意外な経緯から誕生したことが明かされています。
「フェイゾンスーツの見た目は、制作が予定を過ぎても続いていたことから生まれました。私はチームの中でクールなシェーダーや面白いサーフェスを作っていることで知られており、これがフェイゾンスーツを担当する理由の一つでした。私たちにはサムスのために新しいスーツを作る時間もコンセプトもなく、同僚のTodd Kellerが私のところへ来て“シェーダーとテクスチャをいじってクールな見た目のスーツを作ってくれよ”と言ったんです。
フェイゾンスーツは時間節約のために作られましたが、最もクリエイティブなアイデアは考える時間を与えられない時に生まれます。フェイゾンスーツのアイデアに取り組んだのは2~3日だったと思います」
「最もクリエイティブなアイデアは考える時間を与えられない時に生まれる」というのはゲーム制作現場の苦労が現れた印象深い言葉。一年近く使い続けてきたサムスのモデルを捨てるというのも潔い決断です。ゲームを良くするのは作る苦労と捨てる勇気ということでしょうか。
《水口真》