【GDC 2013】テンセントが語る「中国のオンラインゲームで成功する方法」
中国最大のインターネット企業、テンセントは今回のGDCで複数のセッションを実施。ここでも存在感が高まってきました。初日にテンセントゲームス副社長のBo Wang氏は「中国のオンラインゲームで成功する運営」と題した講演を行いました。
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テンセントは1998年に設立されたインターネット企業。最も知られた製品はメッセンジャーの「QQ Messenger」。中国で圧倒的な普及を実現したこの製品を軸に、ユーザーを様々な自社開発サービスに誘導。インターネット市場で大きな存在となっています。「テンセントゲームス」というブランドでゲームも展開、Wang氏は「10億人の市場と言われる中国ですが、ゲームにとっては人口の80%が15~35歳であり、かつ全体の68%が男性という更に魅力的なデータもあるんです」と強調しました。Unreal EngineのEpic Gamesに出資するなどパートナーシップに積極的で、アクティビジョン・ブリザードなどの大手企業と協業でゲーム開発と運営を進めています。
講演ではオンラインゲームで成功するための幾つかの方法について要素別に語られました。最初にWang氏が強調したのは「最初の段階から参加させて貰うのが一番成功の確率が高いのではないか」ということです。海外企業にとっては、中国市場の攻略のためには現地企業と提携するのが必須で、その中でも最も成功確率が高いのがテンセントという理解がされています。この文脈では、既に完成したゲームの拡販のための(中国における)パートナーということになります。しかし、もっと早い段階から開発に携わりたいというのがテンセントの想いのようです。また、それが難しいとしても、現地の事情に合わせた改善を早いペースで可能にするチーム作りは重要になりそうです。
次いで重要なのはローカライズです。これは単に言語の翻訳だけで済むものではありません。例えばWang氏は2K Gamesとの提携で提供している『NBA 2K Online』の例を挙げ、「中国人は世界の皆さんのように『ダブルドリブル』『NBAジャム』そして『NBA 2K』といった過去のバスケゲームの文脈を知りません。ですから、バスケゲームとはどのようなものなのか、詳細なチュートリアルを用意する必要があるのです」と説明しました。また、どのような市場であっても「独自要素」は好まれます。『League of Legends』の例では中国の小説に基づいたキャラクターが登場しています。また、UIの変更が劇的な改善をもたらしたケースもあるそうです。
もちろんオンラインゲームですから運営も大事です。テンセントで運営する場合は同社が提供する「QQ Messenger」のほか、「Weibo」「QQTalk」「Qzone」「WeChat」といったソーシャルサービスとの連携を加えていくのが良さそうです。またe-Sportsの盛んなお国柄ということもありますので、そうしたイベントを仕掛けていくケースもあるようです。広い中国ですので、サーバーの配置も課題になります。この辺りは最大手の豊富な経験が役立ちそうです。
最後に「どうしたらテンセントのパートナーになれるか?」という質問があり、Wang氏は「まずは良いゲームを作って我々に見せて下さい、それから全てが始まります」との回答。最初から共同開発できるのはビッグネームだけかもしれません。
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