コンテンツ制作の新たな可能性「クラウドファンディング」、国内4社が一堂に・・・黒川塾(八)レポート

サイバーエージェント・ベースキャンプにて「黒川塾(八)」が行われました。毎月、恒例となっている黒川塾。これまではゲーム業界のキーマンを招き、様々な議論が行われてきましたが、今回のテーマは「クラウドファンディング」です。

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最後に紹介されたグーパ株式会社代表取締役社長兼CEOの平皓瑛氏は、アニメーションに特化したクラウドファンディング・サービス「Anipipo」を目下、準備中です。1985年生まれの平氏は、小学校から高校卒業までシリコンバレーに在住した経験を持ち、アメリカでピクサーやジブリなどのアニメーションを見て育ったそうです。その後、東京工芸大学にてアニメーションを学び、一時期はクリエイターを目指していましたが、アニメーション業界の現状を知り、Anipipoを立ち上げに至ったそうです。

平氏が知ったアニメーション業界の状況とは、世界的に認知度の高い日本のアニメーションですが、実際の現場では20代の離職率が80%、平均年収が100万円という過酷な労働環境のことです。実際にアニメーション会社に就職しようとした平氏は、大学の教授から最初の月収は6万円程度だと言われて躊躇したといいます。このような業界の状況を打破するために、クラウドファンディングが利用できると平氏は考えています。

Anipipoは5月にベータ版をローンチする予定ですが、目下、決済サービスのためにPayPalと交渉中。というのも、クラウドファンディングのサービスが増えてきたため、PayPalは決済の信頼性のために審査を以前以上に厳密に行なっているそうです。

Anipipo以前にクラウドファンディングで資金調達に成功したアニメーションのプロジェクトとしては、日本のProduction I.Gの『キックハート』という事例があります。湯浅政明氏が原作と監督、押井守氏が監修を担当するこのプロジェクトは、20万ドルという資金調達に成功して話題を集めました。また映画監督のデヴィット・フィンチャーの新作アニメーション映画「The Goon」も40万ドルの資金調達に成功しています。

このようにアニメーションはグローバルな市場をターゲットとしたメディアであるため、Anipipoは現在、東京とバンコクの2拠点でサービスの準備をしており、900名の事前登録者数の半分は国外の人だそうです。また、単なる資金調達のプラットフォームだけではなく、流通や海外展開の窓口としての役割も果たす予定であり、プロジェクトのページはAnipipo側が英語化するといった試みが他のサービスとは異なる特徴です。さらにアニメーションそのものだけではなく、関連した商品のマーチャンダイズやイベントなども行なっていく予定です。

■クラウドファンディングを取り巻く日本と海外の違い
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《今井晋》

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