なんだかんだで、剣と魔法のファンタジーな世界観のゲームが好きな筆者です。近年はリアル寄りのゲームが増えているせいか、剣や魔法を振るって、ファンタジックにドラゴンを倒すようなゲームが減っているように思います。筆者は、空想の生き物にリアルさは求めません!ドラゴンは、ドラゴンらしく構えてくれていて、ファンタジックに倒されてくれればそれで良いのです!
というわけで、今回プレイするのはアークシステムワークスのニンテンドー3DSダウンロードソフト『熱血魔法物語』です。
突然発表された『くにおくん』シリーズの完全新作は、まさかのファンタジーもの。以前、【そそれぽ】でも『りき伝説』をレポートしていますが、全作品とはいかないまでも、プライベートでも『くにおくん』シリーズをそれなりにプレイしちゃう程度に『くにおくん』好きな筆者としては、外伝でもリメイクでもない「完全新作」は非常に気になるのであります。『くにおくん』とファンタジー、その相性はいかに?それでは、早速プレイしていきましょう。
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ファミコン世代を直撃する横スクロールアクション『くにおくん』シリーズの最新作です。近年のシリーズは、オリジナルのクリエイターらが開発に参加し、監修を務めているため、プレイの手応えはファミコン時代のそれに非常に近いものになっています。本作も例外ではなく、3DSならではのボタン操作はいくつかあるものの、「A+B同時押し」でジャンプなど、昔からの『くにおくん』とほぼ同じ感覚でプレイすることができます。
■舞台は中世ファンタジー風の世界
これまでも「時代劇」などがあったように、パラレルな世界で展開する『くにおくん』です。本作の舞台は、なんと剣と魔法のファンタジー世界。ありそうでなかった組み合わせです。「くにおくん」こと「クーニー」は、やまだ・・・じゃなくて、闇の魔王「イゴス・ルクラミーノ・ヤ・マーダ」の打倒を目指し、壮大なファンタジー世界を冒険します。
■おなじみ格闘に加えて、剣と魔法を使いこなす
『くにおくん』といえばハチャメチャなケンカバトル。「まっはぱんち」や「まっはきっく」といった技ももちろん登場しますが、本作の特徴はなんといっても「剣」などの武器による攻撃や技、そして「杖」によってMPを消費して放つ「魔法」です。「魔法」の概念は「MP」の概念と相まって、本作ならではの要素と言えますが、「剣」などの武器に関しては「装備」の概念こそあるものの、基本的にはいつもの「木刀」や「鉄パイプ」と変わらないイメージなのでご安心あれ。
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経験値の概念などはなく、キャラクターの育成は、装備で行います。良い装備を整えるほど強くなり、ステータスアップの効果のあるアイテムを装備するほど強くなります。そのほとんどはお金で買うことができるので、敵を倒したり、クエストをクリアしたりして、お金を貯めて育成・カスタマイズしていきましょう。
技も同様に、巻物の装備などで使えるようになります。剣メインか、格闘メインか、魔法メインか、それぞれのハイブリッドを目指すか・・・それによって装備したいアイテム、持ち歩きたい武器も異なってきて、プレイヤーごとに個性を出せます。自分好みの「クーニー」にしましょう。
■仲間キャラはお好みで
「クーニー」に加えて、2人の仲間を選んで連れていくことができ、更にイベントによってもう1人仲間が加わり、最大で4人パーティーでバトルを繰り広げます。つまり自由に選べる仲間枠は2人分。誰を連れて行くかは完全にプレイヤーのプレイスタイル次第です。
筆者は中盤以降、主にパワータイプを1人、魔法タイプを1人と王道な感じで進めました。「クーニー」を剣で斬りまくるタイプとしたので、魔法による援護射撃は助かりました。
■フィールド移動でエンカウント
マップからマップへ、フィールドを移動しているとランダムで敵とエンカウントします。敵の種類は敵の兵士からモンスターまでさまざま。このあたりにRPGっぽさも感じますが、イベント以外のバトルは、ほぼこのエンカウントのみなので、上記のお金稼ぎ的な意味でも、けっこう大事な要素となっています。
■メインのストーリーと寄り道クエスト
主軸となるストーリーを進めるクエストと、寄り道的なクエストが存在します。寄り道クエストでは、集めにくいお金を一気に集めることができたりする上、その種類もかなり豊富。本作のやり込み要素のひとつとなっています。欲しいアイテムが買えなかったり、やり込みを極めたりしたい人は、ぜひ豊富なクエストもプレイしていきたいところ。
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携帯ゲーム機のタイトルなので、いつでも気軽にセーブしたいのですが、セーブはフィールドでしかできません。また、セーブは、ポーズメニュー>システム>セーブを選ばなければならず、ゲーム中で「こまめなセーブ」を呼びかけているわりに、こまめなセーブを行うにはやや階層が深くて面倒に感じました。
■装備アイテム切り替えで下画面を活かせていない
アイテムは、お気に入りに登録しておくことで、戦闘中(アクションパート中)でもLボタンで好きに切り替えることができます。これにより武器を切り替えたり、杖による魔法中心の攻撃で攻めたり、回復アイテムを使ったりと、戦略性は増しているのですが、せっかく下画面に一覧表示されるお気に入りアイテム、タッチでは装備の切り替えができず、Lボタンを連打して任意のアイテムに切り替えるしかできません。タッチで一発切り替えができれば、もっと爽快にプレイできたのではないかと思います。
■予備知識がないと仲間キャラがわからない
仲間キャラがたくさんいることも本作のウリのひとつだと思うのですが、『くにおくん』シリーズのファンでないと、どのキャラクターが仲間になりそうか、ほとんどわからないと思います。グラフィックが個別に用意された汎用でないものであっても、敵か味方かもわからないでしょうし、筆者のようにそこそこシリーズをプレイしていればさほど問題にはならないのですが、シリーズ未経験者には不親切な部分があるのではないかと感じました。
■仲間キャラをもっと自由に切り替えたい
仲間として連れていけるキャラは、イベント時を除いて実質2人。ただし、新たに仲間を加える場合はあらかじめ、仲間のうちどちらか1人と別れておかなければなりません。せっかく沢山の仲間キャラが存在するのに、ゲームプレイ中に活かしきれず・・・。メニューから、仲間キャラを任意で選択できるようなシステムでも良かったのではないでしょうか。
■主軸部分がややボリューム不足
筆者は3時間強で一応スタッフロールを見るところまで辿り着くことができました。難易度もほかの『くにおくん』シリーズ(近年の3DSタイトルも含む)と比べてもそれほど高くないため、大きく苦労するような場面にはぶつかりませんでした。ただし、「クエスト」などのやり込み要素はかなり豊富なので、寄り道をどんどんすればもっと時間はかかるかと思います。
■クエストの内容と恩恵
街の人々などから受ける「クエスト」は、条件を満たすことで、主にお金で報酬をもらうことができます。その総量はかなり多く、内容も豊富なのですが、お使い的で単調なクエストが多いです。ただ、なかなか手間のかかる「クエスト」(『くにおくん』らしくない、アイテム集めのような地味な作業)であっても、報酬でもらえる金額はそれほど高くなく、これならひらすらテキトーに敵とエンカウントしてお金を稼いだ方が『くにおくん』らしいかなと、「クエスト」そのものに魅力を感じることが少なかったように思います。ただ、これらをやり尽くそうという視点で見ると、やり込み要素としては抜群であることは間違いないです。
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『くにおくん』の最新作は安心の『くにおくん』だった!
シリーズファンに向けたお祭り的な作品!
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ただし、3DSでいくつか発売されている『くにおくん』シリーズと比べると、それらはシリーズ初心者でも導入編としてオススメできる内容でしたが、本作ではキャラクターの関係性などがあまり描かれず、シリーズをある程度理解していないと楽しさが半減してしまうかもしれません。
不安視される声もあった「ファンタジー」で『くにおくん』という面については、筆者は逆に、ファンタジーな世界観やRPG的な要素をもっと活かしても良かったのではないかと感じています。本作では、プレイスタイルによってはMPはまるで使わないでしょうし、敵を倒して経験値を貯めるなんて要素も特にありません。ファンタジーRPGっぽい世界観の常識が『くにおくん』に通用しなかったと言えばそれまでなのですが、経験値貯めのレベルアップで技を覚えていくような思いっきりファンタジーな『くにおくん』も見てみたかったです。
【こんな人にオススメ】
・『くにおくん』シリーズファン
・レトロなアクションゲームが好きな人
上記の通り、シリーズファン向けのタイトルだと思います。シリーズ初心者の人は、3DSで発売中の新作『くにおくん』シリーズやバーチャルコンソールの各タイトルをプレイしてからだと、より本作を楽しめると思うので、ぜひ他のシリーズ作品もプレイしてみてください。難易度もそれほど高くないので、ぜひ気軽にプレイしてみてはいかが?
【そそれぽ】第92回、いかがでしたでしょうか?世の中ゴールデンウィーク真っ盛り。未だコタツ出しっぱなしってヤバイですか?ヤバイですね!早急にしまいます!(笑)次回もどうぞお楽しみに!
『熱血魔法物語』は、好評配信中で価格は920円(税抜)です。
(C) Million Co.,Ltd / ARC SYSTEM WORKS
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津久井箇人 (つくいかずひと) a.k.a. そそそ
愛内里菜らに楽曲提供をし、VOCALOID音楽のクリエイターとしても有名な作・編曲家。ゲームを紹介するブログ記事が評価され、2011年からINSIDEでライター活動を開始。レトロゲームから最新ゲーム、戦略SLGから格ゲーまで、幅広いジャンルのゲームをプレイする。
Twitter:@sososo291
ブログ:sososo activity