任天堂・ソニー・マイクロソフトが熱い視線 新興国が次なるゲーム戦争の舞台に
任天堂、2015年を目処に新興国へ新型ゲーム機と専用ソフトを投入――はたしてこの試みは成功するでしょうか? 新興国におけるゲームビジネスを考えます。
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任天堂新ゲーム機のメインターゲットは「新興国において大多数を占める中流層」。そこに狙いを定めたゲーム機を一から作ることで、既存の最新ゲーム機よりも購入しやすい価格帯にするようです。岩田社長はかねてからゲームソフトを複数の地域で展開する際、言語を変える「ローカライズ」だけではなく現地の文化に根ざした配慮や工夫を足す「カルチャライズ」も大切であると言ってきましたが、カルチャライズここに極まれりというところでしょうか。
「自社タイトルをスマートフォンに供給しないのか」という声に対し、「任天堂の強みを活かせるのはハード・ソフト一体型のプラットフォームビジネス」であると繰り返し語ってきた岩田社長。今回の新ゲーム機発表はその理念がこれ以上なく明確に打ち出されています。Wii Uの不振が続くなか、そういった"らしさ"を持つゲームソフトを提示できるのかに注目です。
新興国を可能性のある市場とみなして参入する――任天堂と同じように考え、すでに実行に移していたプラットフォームホルダー、それがソニーです。
たとえば現在、Wii Uは日、米、欧州で、Xbox Oneは米、欧州をはじめとする世界13か国で展開されていますが、それに対しPS4はなんと世界57か国展開。先進国はもちろん、韓国、台湾、香港、マレーシア、インド、はては東欧やアラブ地域にまで販路を拡大しているのです。PS4がXbox Oneを押さえて販売台数を伸ばし続けているという事実の裏には、こういった背景もあるわけですね。
話を戻しますと、ソニーの平井一夫社長は昨年末、2014年度における新興国での売上高について11年度比で4割増を目指すという方針を明らかにしています。これはあくまでソニー全体としての方針ですが、PS4の展開を見ればゲーム事業においても新興国に熱い視線を送っていることは想像に難くありません。
また、マイクロソフトも今年9月にXbox Oneを上海で販売開始する意向を明らかにしました。ただ、中国は長年海外製ゲーム機の販売が禁止されており、今年1月から限定的に販売が解禁されたという、複雑な事情を持つ地域でもあります。違法に輸入され改造が施されたゲーム機も多く売られるなか、正規品をどれだけ普及させられるかは未知数と言えるでしょう。
さまざまな事情から、少しずつ新興国をも舞台にしつつあるゲームビジネス。どのゲーム機であれしっかり売れて普及してくれれば、それは結果的に任天堂がかねてから提唱する「ゲーム人口拡大」につながります。ゲーム人口が増えて悪いことはありませんので、各社の今後の動向、取り組みに期待しましょう。
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