植松氏「Celtic Moonがこの歳で聞けるとは思わなかった」、『FF』楽曲をケルトアレンジで「Playing Uematsu Works! ~CELTIC FANTASY~」レポ

2083は、八王子のいちょうホールにて、「Playing Uematsu Works! ~CELTIC FANTASY~」を開催しました。

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植松氏「Celtic Moonがこの歳で聞けるとは思わなかった」、『FF』楽曲をケルトアレンジで「Playing Uematsu Works! ~CELTIC FANTASY~」レポ
植松氏「Celtic Moonがこの歳で聞けるとは思わなかった」、『FF』楽曲をケルトアレンジで「Playing Uematsu Works! ~CELTIC FANTASY~」レポ 全 12 枚 拡大写真
2083は、八王子のいちょうホールにて、「Playing Uematsu Works! ~CELTIC FANTASY~」を開催しました。

特定のゲーム音楽作曲家にスポットを当てたコンサート、「Playing Works!」シリーズの企画を行う2083。これまでに光田康典氏、菊田裕樹氏、なるけみちこ氏のコンサートを開催し成功を収めてきました(詳しくは関連記事のレポートをご覧ください)。

来る4回目の本公演では植松伸夫氏をフィーチャーし、今日までに発売されたCDアルバム「Celtic Moon」を中心に「DEAR FRIENDS」「PRAY」「Love Will Grow」から多くの楽曲を選出されています。また、「ファイナルファンタジー ヴォーカル・コレクションズ」のボーカルを務めた大木理紗氏も参加するとあって情報解禁時から大きな反響があり、チケットはSOLD OUT。

公演当日、いちょうホールには演奏を心待ちにするファンで賑わっていました。リアルタイムで『FF』シリーズをプレイしていた人はモチロン、植松氏の楽曲の魅力に惹かれた若者たち、海外国籍のファンの姿も。

コンサートは、「Welcome to Our Town!(街のテーマ『FFIV』)」からスタート。尺八、フィドル、ギター、バウロンの4つの楽器が牧歌的でのびやかな音を会場の隅々までたっぷりと響いていました。「Celtic Moon」のアレンジ通り、途中フェスティバルでも始まったかのようなハイスピードサウンズが一気に観客を非日常の世界へと誘います。

「Celtic Moon」に欠かせない楽器、ケルティックハープが加わって演奏されたのは、「Illusionary World(幻獣の街『FFIV』)。先ほどの朗らかな雰囲気からは一転、ファンタジックでミステリアスな表情を見せます。のびやかに謡っていたフィドルも勇ましく弓をしならせ、5人の音が未開の地を踏みしめているかのようです。

MCでは、普段なかなかお目にかかれないアイリッシュ楽器がひとつひとつ丁寧に説明されました。本公演では、ローホイッスルの代わりに尺八が使われているのが特徴的。演奏を務める神永氏は、「ジャパニーズアイリッシュを尺八で表現できたら」という理由でゲーム音楽を演奏していると語りましたが、植松氏の楽曲のように日本発のゲーム楽曲が日本古来の楽器で演奏されるのは興味深いです。

ステージに登場した植松氏は前半の演奏を受け、「Celtic Moonがこの歳で聞けるとは思わなかった、20数年待った」と感慨深くコメントしていました。アイリッシュ音楽に対する憧れを持っていたという植松氏は、「Celtic Moon(『FFIV』)」の制作をキッカケに『FFVIII』ぐらいまでアイリッシュから影響を受けた楽曲を制作し、ゲームに込めてきたと続けます(アイリッシュ楽曲の制作が少なくなってきた理由は、脈々と受け継がれた文化に対しての敬意を込めてとのこと)。また、演奏を目の当たりにして「改めて、アイリッシュミュージックというひとつの大きな柱が自分の音楽の中にあったことを思い出した」と自身を振り返る日ともなったようです。

後半で注目が集まったのは、やはり大木氏を迎えての「Esperanca Do Amor(親愛なる友へ『FFV』)」。もともとポップスや歌モノが好みだったが、制作ではインストばかり手がけてきた植松氏。歌モノを作りたかった植松氏に、「いい人がいるよ」と紹介されたのが大木さんだったそうです。お二人とも、「ヴォーカル・コレクションズ」でのライブをずっとやりたかったと続け、「20年越しに叶った」と嬉しそうな姿を見せていました。

二人の夢が叶った「Esperanca Do Amor(親愛なる友へ『FFV』)」「Estrelas(ギルバートのリュート『FFIV』)」「光の中へ(愛のテーマ『FFIV』)」は、キーボードとチェロ、そしてヴォーカルでの8人フルメンバーにて披露されました。寒色の薄暗いステージ中央、スポットライトに一人輝らされています。ひとりひとり観客に語りかけているかのように歌う大木氏の姿。そして、CDで何度も聞いていた歌声が直接耳に届いているこのひとときに、目に涙濡らす人を何人も見かけ筆者も涙を堪えるのでした。

SFCで使用できるのは8つという限られた音でしたが、偶然にも本公演のフルメンバーは8人。ひとりひとりの音が重なりあい、ひとつの楽曲になってくることが伝わってくる演奏会となりました。植松氏は公演を振り返り、「ロックやクラシックでの演奏はこれまでも行ってきたが、アイリッシュでの演奏は初めてなのでもっといろんな場所で出来たらいい」とコメント。アンコールの「Chocobo-Chocobo(チョコボ『FFIV』)」では笑顔で手拍子をしていた植松氏ですが、奏者が次々とスタンドアップしてステップを踏む姿にたまらず踊り出し、そのまま会場の大きな拍手と笑顔に包まれながら幕は閉じていきました。



2083はこの日、4年に1度のゲーム音楽フェス「4starオーケストラ2015」の日程を2015年5月3、4、5日の三日間で行うことを発表しました。3年前の公演では、植松氏は自身のバンド「EARTHBOUND PAPAS」で参加。まだプログラムは未発表ですが、植松氏の参加に期待が持てます。

■出演
植松伸夫(ゲストMC)、大木理紗(ゲストボーカル)
神永大輔(尺八)
John John Festival(john* : fiddle / annie : guitar / toshi : bodhran, percussion)
有木竜郎(Keyboard)、内田佳宏(Cello)、梅田千晶(Harp)

■プログラム
M01:Welcome to Our Town! 街のテーマ(FFIV)
M02:Parom & Polom パロム・ポロムのテーマ(FFIV)
M03:Illusionary World 幻獣の街(FFIV)
M04:Toroian Beauty トロイア国(FFIV)
M05:BATTLE FANTASY SET I Vamo' Alla Flamenco(FFIX) ~ バトル2(FFIII) ~ 最後の死闘(FFIII) ~ 決戦(FFVI) ~ 勝利(FFIII)
M06:CELTIC FANTASY SET ジグ ※曲名不明(FFVIII) ~ ハーヴェスト(FFV)
M07:My Home, Sweet Home はるかなる故郷(FFV)
M08:BATTLE FANTASY SET II ゴルベーザ四天王とのバトル(FFIV) ~ FF5最後の闘い(FFV)
M09:Esperanca Do Amor 親愛なる友へ(FFV)
M10:Estrelas ギルバートのリュート(FFIV)
M11:光の中へ 愛のテーマ(FFIV)
M12:Prologue… オープニング(FFIV)
EC01:Chocobo-Chocobo チョコボ(FFIV)

《きゃんこ》

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