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先日プレイレポートをお届けした、トランスコスモスのスマートフォン専用横スクロールタワーディフェンスゲーム『戦国ディフェンス』。同作はいかにして作られたのか?今後アップデートをする予定はあるのか?など、鈴木精介プロデューサーにインタビューをして気になる点をうかがってきました。
◆簡単だけど奥が深い――タワーディフェンスゲームの魅力とは
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――まずは『戦国ディフェンス』の開発にいたったきっかけをお聞かせください。
鈴木精介氏(以下、鈴木):本作は、弊社のスマートフォン向けゲームアプリブランド「渋三あっぷす」のアプリ内課金モデル第一弾となりますので、なじみのあるジャンルで作ろうというのがまず一つ。そしてもう一つは、グローバルでも遊んでもらえるジャンルにしようという考えがありました。そうして生まれたのが本作です。最近では『にゃんこ大戦争』や『チェインクロニクル』や『LINEレンジャー』など、国内でもタワーディフェンスゲームが俄然活気付いてきていますしね。
――近年ではそのように国内のヒットタイトルも多いですが、当初は海外のタイトルが目立ちましたね。
鈴木:そうですね。僕も『Fieldrunners』や『Kingdom Rush』など、海外製のタイトルをよく遊びました。でも、それは僕が英語に精通しているからかというとそんなことは全然なくて、それだけタワーディフェンスというジャンルの入り口がシンプルで直感的に遊べるからなんです。
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「簡単だけど奥が深い」。それこそがタワーディフェンスの魅力だと思っています。本作も、入り口はシンプルに仕上げました。画面左下にゲージで表示される「兵糧」が時間の経過とともに貯まるのを待って、それをコストとして支払って「兵」を生産するだけですから。でも、適当に兵を作れば勝てるかというとそうではないんです。どのユニットをどういう順番で出せば勝てるのかという戦略性が少し盛り込んであるので、そこで考える楽しみが生まれるんですね。
――そんな『戦国ディフェンス』ならではの魅力をお聞かせください。
鈴木:従来の横スクロールタワーディフェンスゲームはユニットの生産~出撃をしたらあとは推移を見守るものが多いですが、本作はゲーム開始時に選ぶ「大殿」の操作が自分でできることが最大の特徴です。気軽に生産できる兵よりもはるかに強力だけれど、フィールドに1体しか出せない(※やられたら再び生産することは可能)「武将」も、出し時を考える必要がありますので戦略性が生まれています。
◆使う「大殿」はだれがいい?――鈴木プロデューサーのワンポイント解説
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――実際にプレイしてみた感じでは、戦闘中に敵が落とすアイテムの取捨選択も重要だと思いました。当然最前線で出現するわけですから、大殿がダメージを負ってでも取るべきかという判断がその都度迫られて楽しいなと。
鈴木:そうした「伸るか反るか」という楽しみはちょっと麻雀とかにも似ているかもしれませんね(笑)。そういうときに守りが堅い「盾足軽」などがいると便利ですよ。
――とはいえ、アイテムが出てから盾足軽を出しても遅い(その盾足軽が前線に来る前にアイテムが消えてしまう)わけで……ますます悩みますね。話を大殿に戻しますが、各大殿の特徴をお教えいただけますか?
鈴木:まず武田信玄は「攻撃力は低めで移動速度も遅いけれど体力がある」のが特徴です。みなさんどっしり構えてそうなイメージがあるかと思いますので、それに沿っています。ほかの大殿よりも「秘技」を(再)使用できるまでの時間が短いので、それを活用していただければ。長宗我部元親は「刀よりリーチに優れた槍と高い攻撃力」がウリです。ただし、体力は低めですので過信は禁物です。上杉謙信はなんといっても「馬による高機動力」がアドバンテージですね。ほかの大殿よりも戦闘中にアイテムを拾いやすいので、その分有利に戦えます。
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弓を持つ毛利元就は「全大殿のなかで最長のリーチ」が魅力。ただし、攻撃力は鉄砲に一歩劣ってしまいます。織田信長は「鉄砲による長いリーチ、高い攻撃力、決して遅くはない移動速度」……と高いレベルでまとまっているキャラです。性能で誰を使うか迷ったら、とりあえず信長で始めてみるのもいいと思います。
――ほかの大殿が気になっても、ゲーム内通貨ですぐ雇えますしね。ところで、大殿のなかで伊達政宗だけがプレイ開始時に選ぶことができず、雇うにしても破格の額を要求されますね。
鈴木:あくまで諸説あるなかのひとつにすぎないのですが、伊達家は騎馬鉄砲を取り入れていたのではないかという説がありますのでそれを採用してみました。謙信の機動力に、信長のリーチと攻撃力を持ち……と、要するに相当強いです(笑)。序盤で使うとゲームバランスもなにもなくなってしまうくらいですので、こうした額に設定させていただきました。
◆時間があるときにガッツリ遊べるゲームがいい――“無課金上等”な遊びやすいゲームバランス
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――話は変わりますが、本作は事前予約をすると武将キャラとしてザビエルがもらえました。どういう人選でああなったのでしょうか?
鈴木:私はこれまでに、トランスコスモスのインターネットプロモーション事業の分野で色々なゲーム会社様のおそらく100タイトルを越えるゲームのプロモーションに関わってきましたが、やっぱりキャッチーなのはかわいい女の子のキャラなんですよ。でも、本作は「見た目はコミカルでも中身は硬派に」というのがコンセプトでしたのでたまにはおじさんがいてもいいかな、と裏を付きました(笑)。
――変に大きいのもコミカルで、存在感がありますね。
鈴木:ザビエルの身長が実際どのくらいだったのかは不明ですが、一般的な外国人のイメージをディフォルメしてあてはめてデカくしてみました。しかも聖書で殴るのもちょっとよくないかなと思いましたので、己が拳で戦い始めるという……(笑)。レベルアップによるステータスの上昇幅があまり大きくないので、ゲームも後半に差し掛かってくるとおそらく“ネタキャラ”枠になってしまうかと思います。
――最後の最後までおいしいキャラですね! ゲーム周りの話といえば、本作はタワーディフェンスであるだけにガチャの類はないですね。そしてスタミナもない。しかも買い切りですらなくF2Pとなっています。いちユーザーとしては大変うれしいですが、マネタイズはどのような流れを想定されているのでしょうか?
鈴木:ビジネス的には、もちろんスタミナ制である方が収益はいいんですよ。でもタワーディフェンスは特に海外製はスタミナ制ではないのがふつうですし、いちゲームファンとしては……やっぱり時間があるときにガッツリと遊びたいじゃないですか(笑)。なので、まぁこれでいいかなと。慣れた方なら、本当に無課金でどこまでも遊べると思いますよ。あと、これは決して推奨するわけではないのですが、本作は電波が入らないところでも大部分を問題なく遊べます。
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――そうなのですか? すみ姫が「必ず電波のよいところで遊んでね」というので試しすらしていませんでした。
鈴木:海外はインフラの整備の度合いが地域によってまちまちで電波が入らないところも多かったり通信速度も日本に比べ遅いので、通信を頻繁にするゲームは敬遠されがちなんです。それを意識して、各ステージや拠点でのレベルアップなどは通信ができない環境でも遊べるようになっています。小判でアイテムを買うことはできなくなってしまいますが、あらかじめ用意しておけば戦闘中に使うことはできます。
ただ、通信をしていないと万が一障害などが発生した場合、こちら側で原因を把握し、対応する事が難しくなってしまう可能性もあるので、基本は電波のよいところで遊んで欲しいです。
――冒頭でお話されていた「グローバルでも遊んでもらえるジャンルに」という部分には、そうした気遣いも含まれているわけですね。それでは最後に、アップデートなど今後の予定についてお聞かせください。
鈴木:現時点でのステージ数は100ですが、ステージ、武将、兵、レベルキャップ上限の開放……と今後あらゆる面をアップデートで追加・強化していきたいと考えています。戦国時代から弥生時代にタイムスリップしてしまった大殿たちが、過去から彼らにとっての現代、そして戦国時代に戻るまでを描くのが既存の100ステージ。では今後の物語・ステージはどうなるのか……というのはみなさんのご想像にお任せします。たぶん予想されている通りだと思いますよ。
本作『戦国ディフェンス』は、「入り口はシンプルに、かつ少し考える楽しみのある戦略性を」というコンセプトで制作しました。大殿を動かせるなど独自性もありますので、タワーディフェンスに親しんでいる方や、戦国時代が好きな方に特にオススメです。戦国時代に疎くとも、ここから歴史に入るのもいいと思いますよ。僕は幼いころ、そうやって『信長の野望』から戦国時代好きになりました。
――自分も同じ経路で『三国志』ファンになりましたのでよくわかります。本日はありがとうございました。
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無課金でかなり遊べてしまうというのを先日のプレイレポートでお届けした『戦国ディフェンス』。トランスコスモスのブランド「渋三あっぷす」のアプリ内課金モデル第一弾ということもあってか、その辺は意図的な調整であるとのことでした。ここまで遊ばせてくれると、今後のタイトルも気になってくるというものです。
本作は9月15日(月)23:59までにゲームを始めればゲーム内通貨やアイテムがセットになった「豪華初陣セット」をもらえるうえ、鈴木氏が最後に語っていたアップデート情報も9月18日(木)から始まる東京ゲームショウ2014にて先行プレイ出来る見通しであるようです。気になったなら、今が遊びどきですよ。
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