さて、このYouTuberという言葉ですが「気がついたらそんな言葉ができていて、そんな人たちがいた」というようなイメージを持っている方はいないでしょうか? 何を隠しましょう、筆者がそんな1人です。そういうわけですので、YouTuberに関して簡単に調べてみました。
事の始まりは2011年に始まった「YouTubeパートナープログラム」であるようです。このサービスは「自作の動画に広告を入れて、動画の再生回数や広告がクリックされた回数に応じて動画作成者に広告料が支払われる」というもの。ブログ界隈ですっかり一般的になったアフィリエイト広告と仕組みはよく似ています。
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日本国内では、AppBankの代表取締役・マックスむらい氏やHikakin氏などがトップクラスのYouTuberとして知られていますが、海外YouTuberでは「PewDiePie」の投稿者名でゲーム実況動画を配信するFelix Kjellberg氏がトップクラス。WSJ(The Wall Street Journal)紙の報道によれば、なんと2013年だけで400万ドル(約4億円)もの収益を得ているというのです。
以前、Twitchのゲーム実況だけで生計を立てている人がいるという話題をご紹介しましたが、あれと同じ現象となっているわけです。一つ違いを挙げるなら「YouTuberが配信するのはゲーム実況などゲームに関する動画である必要はない」ということでしょうか。「YouTuber=ゲーム実況者・配信者とはかぎらない」というわけです。
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とはいえ、それでは話が広がりすぎてしまいますのでゲームに関する配信にのみ目を向けてみますと、ゲーム実況や動画の配信を考えるときに今なお注目したいのは「ゲームそのもののプロモーションとしても機能しているかどうかいまいち分からない」ということです。無料アプリであれば、実況配信の前後でダウンロード数の推移を比べればある程度はその影響を推し量ることができるかもしれませんが、こと家庭用ゲーム機のソフトとなると、配信を見ておもしろいと思った勢いで数千円を出してくれるのか……となるとなかなか難しい問題です。
また、PS4やXbox Oneのように配信機能を備えていないプラットフォームのソフトでもニコニコ動画でならメーカーが配信に関する細かな規定をしてくれている場合がありますが「序盤の特定の箇所までなら配信可」、「配信前にその都度許可を得る必要がある」など対応がまちまちで、配信する側にとってはちょっとひと手間です。一人前のYouTuberへの道は、どのメーカーなら配信に寛容的で、どのタイトルなら視聴者が食いついてくれるか……という題材選びから始まっているのかもしれません。
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ところか、うまくいったらいったで今度はいわれなき妬みを買うリスクもあります。海外で問題視されている「SWATting」をご存知でしょうか。虚偽の通報をして相手の下にアメリカの特殊部隊SWATを踏み込ませるという悪質極まりないイタズラで、YouTuberやセレブ、芸能人などが標的にされることがあるそうです。日本ではここまで悪質なことはそうそうないかもしれませんが、なんともやるせない話です。
確かな題材を選ぶ選択眼、絶え間なく配信を続ける継続力や発想力、自分自身をどう売り込むかというブランディング力などを合わせ持ち、その上でリスクにもさらされ、それらの対価として莫大な利益を得る……こうしてまとめてみるとYouTuberはほとんど芸能人ですね。身近になった動画共有サイトが生んだ新しい形の芸能人、それがYouTuberなのかもしれません。