
???:まったく、待ちかねたよ。どういうことだね
岡島氏がいると教わった部屋のドアを開けると、そこにはなぜか全身黒ずくめの男性がひとり座っていました。どういうことなのか、むしろこちらが聞きたいところです。
──あ、あの…今日は、『夏色ハイスクル』のお話を伺えると聞いたのですが、えっと……岡島信幸さん、ではありませんよね?
???:そうです、私が変なおじさんです
「確かに」と言いたくなる気持ちをこらえます。今大事なのはつっこみではなく、岡島さんへのインタビューです。
──岡島さんとの約束があるので、失礼しますね……。
???:今、あるゲームのタイトルを言わなかったかね?
──は、はい、『夏色ハイスクル』と。今日は、このゲームのことを一番よく知る岡島さんへのインタビューを予定していまして。
???:あのゲームに関しては、私の方が詳しいぞ
──えっ!?

???:あのゲームを考案したのは、この私だ
──それは、企画を起こした本人という意味ですか?
???:ああ。企画原案を担当した、ドリームエックスクリエイトだいひょ……じゃない、理事長だ!
──り、理事長!?
本作は学園アドベンチャーなので、その学園を知り尽くしている人間ならば、理事長という肩書きを持っていてもおかしくないのかもしれません。本作に詳しいという言葉が聞き捨てならず、質問を重ねてみます。

──『夏色ハイスクル』に関して、誰よりお詳しいというのは本当ですか?
???:まあな(ニヤリ)
──おお! ならばぜひ、お話をお聞かせください。その、岡島さんには内緒で。
???:ようやく理解ができたようだな。少しくらいなら話してやってもいいが……その前にひとつ、気になっている点がある
──なんでしょうか。

???:キミはさっきから『夏色ハイスクル』と言っているが、それは正式タイトルじゃないだろう。失礼だと思わないのか!?
──す、すみません、確かに仰る通りです!
???:タイトルをちゃんと言えたら、話を聞かせてあげよう。ほら、言ってみなさい
──ええと、その……『夏色ハイスクル』……で、その後は……。
???:ん? 出ないのかね? 一部だけでも思い出せないのかね?
──思い出せるところも、あるにはありますが……。
???:言ってみたまえ

──……「パンツ写真」。
???:よりによってそこかね!
──うぅ……申し訳ありません!
???:まったく、本作が誤解されてしまったらどうするんだ。『夏色ハイスクル★青春白書 ~転校初日のオレが幼馴染と再会したら報道部員にされていて激写少年の日々はスクープ大連発でイガイとモテモテなのに何故かマイメモリーはパンツ写真ばっかりという現実と向き合いながら考えるひと夏の島の学園生活と赤裸々な恋の行方。~』という立派なタイトルなのに!
──さ、さすがです!

???:実に嘆かわしい。しかし、私も鬼じゃない。東京の渋谷くんだりまで来てくれたのだから、そうだな……121文字(空白除く)中7文字言えたから、5%くらいは話してあげよう
──ありがとうございます!
???:この、ドリームエックスクリエイトだいひょ……理事長に感謝したまえ
──理事長!!
寛大なお心遣いに感謝しながらも、どうも「理事長」ではなく「代表」のようなので、心の中では代表と呼びつつ、無事インタビューへ臨むことになりました。