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『クトゥルフ・ダークエイジ』は中世暗黒時代を舞台に、探索者(プレイヤーキャラクター)が剣と知恵を駆使してクトゥルフ神話の怪異に挑むといった冒険を楽しむためのルールブック。いわゆる『クトゥルフ神話TRPG』のサプリメント(拡張版)ではなく、これ一冊だけで遊ぶことのできるもの。コアなファンを獲得した作品ながら長らく絶版だったのですが、ついに今年の10月に再版されました。
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本書がカバーしているのは、10~11世紀ぐらいのヨーロッパ。西ではヴァイキングによる侵略と支配が進む一方で、東では東ローマ帝国が最盛期を迎えていたというような時代。マンガ「ヴィンランド・サガ」で描かれているあたりや、「バイユーのタペストリー」が作られた時代ですね。
そういった史実の歴史にクトゥルフ神話が絡め、独自の歴史が語られています。例えば、クトゥルフ神話を解説するアラブの本が翻訳され「ネクロノミコン」というタイトルで写本として密かに出回るようになり、最終的には焚書されるといった歴史の闇が描かれています。
また、ルールの面では『クトゥルフ神話TRPG』と多くの共通点が見られますが、中世という時代背景に合わせたキャラクターの職業や技能が設定されています。職業は、戦士や聖職者、行商人、吟遊詩人など時代を反映したものに加え、最初から呪文を使うことのできる異端者(隠者)など、クトゥルフものらしさのあるものなど様々なものが用意されています。
技能面では、銃火器はもちろん、心理学などの学術は存在していない時代で、なんといっても識字率が低い時代ですので会話と読み書きは別の技能として設定され、特別な教育を受けていない者は字が読めないという風になっています。
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そして、クトゥルフ神話のクリーチャーや神格のデータが、ヨーロッパの民間伝承や神話などと結び付けられているのも特徴の1つ。例えば、ドラゴンは「クトゥルフの星の落とし子」なのではないかという説や、北欧神話のオーディンは「ヨグ=ソトース」が擬人化されたものであるなど、面白い説が沢山語られています。
それではこの『クトゥルフ・ダークエイジ』を使って次のページからセッションで遊んだ様子を簡単にまとめてご紹介いたします。