フィーチャーフォン向けアプリとしてデビューを迎えた本シリーズは、直観的かつ白熱するゲーム性が多くのユーザーに支持され、、好評を博して3DSやスマートデバイスにも登場。そして先日、シリーズ最新作となる『超チャリ走 あつめて! 超獣ハンター』が発表されました。
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本作はまさに「超」づくしな内容となっており、Yボタンなどで切り替える「超反転」や、Bボタン連打による「超ダッシュ」、それぞれ性能が異なる全40種類の「超獣ライド」など、やり込み甲斐のある多彩な要素を搭載し、2月24日に待望の配信を迎えます。
幅広いファンを持つシリーズの最新作だけに、インサイドとしても目を離すわけにはいきません。最新作の魅力やまだ明かされていない最新情報に迫るため、先日行われた発表会でも見事な活躍を果たし、また主人公「スズキ」のライバルとしても知られている「サトウ」さんをお招きし、直撃インタビューを行う企画が立ち上がりました。
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ですがインタビューを行う前に、サトウさんに対していくつかの疑問が沸き上がります。全身赤づくめのサトウさんは、見る限り「全身タイツ」という刺激的な装い。「この恰好で自転車に乗って法律的に問題はないのか?」「そもそも彼の存在自体、違法ではないのか?」と、社内の一部で物議を醸し出しました。
社会的に問題のある人物にインタビューを行うことができない。しかし、最新作の情報は欲しい。この板挟みを解消すべく、『超チャリ走』の話を伺う前に、弁護士の藥師神豪祐氏を交えて「サトウさんは法律的に大丈夫なのか」を問う座談会を実施。この結果を踏まえ、問題ないと判断された場合のみサトウさんへのインタビューを行うという形となりました。
果たして、全身タイツ姿にしか見えないサトウさんは、自転車に乗っても問題ないのか。違法だとすれば、どのように改善するべきなのか。『超チャリ走』の最新情報へと辿り着けるのか。先行きの見えない座談会が、こうして幕を開けました。その結果も含め、しかとご覧ください。
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──本日は、ご足労いただきありがとうございます。ところで、最初から失礼な質問で恐縮なのですが・・・サトウさんは、ゲームの中で活躍されている「サトウさん」と同一人物ということでよろしいですか?
サトウさん:はい、私がサトウです。これで常日頃生活をしています。
──いわゆる「中の人」ではなく、本物ということですね。
サトウさん:「中の人」なんていませんよ(笑)。
──分かりました。ではその認識を踏まえつつ・・・今回、『超チャリ走 あつめて超獣ハンター』に関してのお話を伺いたいのですが、その前にいくつか解消しておきたいポイントがありまして。よろしいでしょうか?
サトウさん:ええ、構いませんよ。
──それでは弁護士の藥師神さん、よろしくお願いします。
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藥師神氏:はい、承りました。
サトウさん:弁護士さんっ? ど、どういうことですか、一体!?
──インタビューしたいのやまやまなんですが、サトウさんの違法性に関する疑問がありまして。その点を払拭していただけた後に、色々お話をお聞かせください。
サトウさん:は、はあ・・・ちなみに、違法性が払拭できなかった場合は、どうなるんでしょうか?
──……。
サトウさん:なるほど、何となく分かりました。安心していただくため、何でも答えましょう。
藥師神氏:よろしくお願いします。
──それでは早速ですが、サトウさんがこの恰好で公道を走っても問題ありませんか?
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藥師神氏:いえ、ダメですね。
サトウさん:早速!? 生まれたままの姿なんですが……。
──なんと! その見た目は、何らかを身に付けているのではなく、素の状態なんですか。
サトウさん:諸説あるようですが、自分ではそう思っております。なので、先生にそう言われてしまって、正直ショックを受けています。
──なるほど(笑)。犬や猫、鳥なども、生まれたままの姿ですしね。
サトウさん:犬・猫・サトウ。皆、同じ生き物です。
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藥師神氏:ですがサトウさん……確か、自転車に乗っていらっしゃいますよね?
サトウさん:はい。ライバルのスズキが自転車に乗っていたので、雌雄を決するためには自分も自転車に乗るしかないと思いまして。
藥師神氏:ちなみに、道路交通法ってご存じですか?
サトウさん:いえ、ちょっと存じません。初めて聞きますね。
──あ、ご存じないんですね(笑)。
藥師神氏:道路交通法上では、自転車は軽車両というものに当たるので、自動車と同じような規制が自転車にもかかります。
サトウさん:ほ、本当ですか!?
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藥師神氏:はい、ほぼ同じですね。守らなければならない、いくつかの遵守義務がありまして。これは道交法というよりも、都道府県の道路交通規則に書かれているんですが、まず「視野を妨げるような恰好」は禁止されているんです。……ちなみに、今の時点で見えていますか?
サトウさん:み・・・見えてます!
──あ、見えてはいるんですね。
サトウさん:見えてますが、他人と比べてどうかというのは、まったく別の話です。
──さり気なく問題発言が(笑)。
サトウさん:主観的には見えてますからね。
──ちなみに、視力検査とかをされた経験は?
サトウさん:あー、その……検査というものが、あまり得意ではなくて。
──! で、では、これまで検査は避けてこられたわけですね。
藥師神氏:いきなり後ろからスズキさんが迫ってきたら、分かりますか?
サトウさん:いえ、ぶっ飛ばされることがよくあります!
──断言ですね(笑)。どのくらい見えていればOK、といった基準はあるんでしょうか。
藥師神氏:法律自体には明記されていませんが、安全な運転ができることが肝要なので、前後左右などをすぐに確認できなければいけません。……左右に振り向くのも厳しそうですが、大丈夫ですか?
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サトウさん:基本、前を向いてしか走りません!
──答えるたびに問題発言ですね(笑)。
サトウさん:どれだけ進めるかだけを考えていますから。
藥師神氏:視野の確保ができていないと、引っかかっちゃいますね。あと、音や声がよく聞こえる状態というのも大事なんです。今、充分聞こえてらっしゃいますか?
サトウさん:そこは、人と比較していただいても大丈夫だと思います。
──遮音性はそれほどでもない、と。
サトウさん:日頃、音楽も聴きつつリズムよく走っていますから。
──BGMも聴こえているですね。
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藥師神氏:であれば、その面に関しては問題ないかと思います。しかし、視野に関しては大問題ですね。
サトウさん:メガネをかければいい、ってことですか?
──メガネ! その発想はありませんでした(笑)。
藥師神氏:そうですね(笑)。それで、より見えやすくなるのでしたら、是非かけてください。
──メガネをかけることで、問題ない方向に1歩近づけるようですね。
藥師神氏:前後左右の確認も大事なので、その点は大丈夫ですか?
サトウさん:前しか見ないのが、自分のスタイルなんですが・・・。
──あ、でも『超チャリ走』では反転もできますよね。反転すれば、後方の確認もできるかも。
サトウさん:もし何かあったら、反転して逃げますね!
──い、いや、それは問題あるのでは……(笑)。ちなみに、サトウさんの見た目そのものは大丈夫なんでしょうか?
藥師神氏:見た目自体で罰せられるということは、基本的にありません。
──おお、そうなんですね!
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藥師神氏:例えばハロウィンの仮装などもありますし、「個人が特定されにくい恰好になること」自体は、直接的な罪にはなりません。ですが、職務質問はされるでしょう(笑)。
サトウさん:う、生まれたままの姿であってもですか!?
藥師神氏:フルフェイスが禁じられているコンビニなどの入店も、断られますね。お店には管理権があるので、店長に追い出されても仕方ありません。
──一般的な施設の利用は難しい、と。
藥師神氏:そう言わざるを得ません。
──ところでサトウさん、職業は何をしていらっしゃるんでしょうか?
サトウさん:イベントなどにも出演していますが、仕事と言えばやはり「スズキ打倒」ですね。それのみを考えています。
──確固とした職業という意味で無職だとすると、職質されたらとマズイですね。
サトウさん:世の中の「サトウ」を代表している立場だと、自負しています。
──そのような立場だとすると、もし何かあった場合には世の中の「サトウ」さんに対して責任を負う可能性もありますか?
藥師神氏:そうですね、ケースによっては損害賠償等の責任が発生するかもしれません。
サトウさん:!?
──そんな可能性もあるんですね!
サトウさん:その時は、藥師神先生に弁護を頼むことはできますか?
藥師神氏:弁護は、依頼者の身元の確認がとれないとダメなんですよ。
サトウさん:身元は、「サトウ」なんですけど……ダメですかね?
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──ダメ……そうですね(笑)。では、自転車に乗らなければ場合であれば、直接的な違法性などはないわけですか?
藥師神氏:はい、先ほど話した通り、ハロウィンの仮装と同じようなものかと。
サトウさん:ちなみに、私道を走る分には問題ありませんか?
──あ、ゲーム中の舞台は、私道なんですか?
サトウさん:私が「私道」と言い切ってしまうのは、問題あるような気もしますが……少なくとも「公道」ではないと思われますので。
藥師神氏:「私道」であれば、多くの一般人が通るような道でない限り、所有者の許可があれば大きな問題はないかと思います。
──先ほどお話にあがった、施設における扱いと同じような感じなんですね。では、私道と思われるゲーム内では、所有者の許可があるなどの条件をクリアすれば、あの恰好で走っても問題ないと。
サトウさん:いつか公道を走るのが夢なんですけどね……。
──いつか公道、目指せ公道、ですね(笑)。ちなみに視認性の問題がクリアできれば、公道進出の夢は叶いますか?
藥師神氏:基本的には大丈夫だと思います。
サトウさん:これが生まれたままの姿なんですが……公道に出る場合には、何らかの対応を考えたいと思います。
──ちなみに、サトウさんが車にぶつかってしまった場合、どれくらいの責任を負うのでしょうか。
藥師神氏:損害賠償責任については、相手の怪我などの程度によります。また、ぶつかり方や、どちらが信号を無視したか、といった事故状況でお互いの過失の割合が決まります。またスピードの出し過ぎは、過失の責任を高める大きな要素です。サトウさんは、かなりスピードを出すらしいと伺ったのですが。
サトウさん:今回は、超早いですね! 今までで最速かもしれません。
──超早いということは、超過失を負う可能性がありますね(笑)。
サトウさん:あ、でも、信号を無視したことはありませんよ。信号のあるところを走ったことがありませんから!
藥師神氏:信号無視ゼロは、素晴らしいですね(笑)。
──なるほど、色々と分かりました。改めてとなりますが、視認性の問題がクリアできないと、公道を走るのは難しいということですね。
藥師神氏:そう言わざるを得ませんね。あと、職務質問の要件なんですが、警察官職務執行法2条1項に「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者」について、停止させて質問することができるんです。
サトウさん:日々、基本的に無表情なんですが……。
藥師神氏:完全に適法で職務質問が出来るパターンですね(笑)。
──完全に(笑)。
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サトウさん:職務質問に関しては、道歩いてるだけでもうアウトな気がします。
──更に、その時の対応に問題があった場合は、「ちょっと署の方へ」となるわけですか。
藥師神氏:そうですね。「何かやってるなコイツ」と判断されたら、適法に連行されてしまいます。
サトウさん:連行される前に、逃げ出したくなりますね。今回、特に早く走れるので(笑)。
藥師神氏:じゃあ、逃げてしまっても(笑)。
──職務質問から逃げた場合、どういう問題が?
藥師神氏:職務質問から逃げても、それで直接罰せられることはありません。
──そうなんですか!?
藥師神氏:ただ警察官側も、その行動を見て怪しさが強まった形となるので、更に強引に追いかけることも可能になります。
サトウさん:ではそのシチュエーションで逃げ出してしまった場合、完全に逃げ切れないと逆にマズイことになるわけですか。
藥師神氏:新たな警察官がどんどんやってくるかもしれませんね。
──なるほど。ではリスクもあるものの、本作の魅力でもある超ダッシュで逃げるという手も残されていると。
サトウさん:まあ基本は、「僕はこういう姿で生まれてきてですね」「何も悪いことはしていません」「水を飲むのも大変なんです」と、ちゃんとお話をして身の潔白を証明したいと思います。
──誤解を未然に解くわけですね。では、何度も職務質問を受け、その都度説明を繰り返していけば、その地域ではいずて認められるようになるんでしょうか?
藥師神氏:同じ人が何度も職務質問されていくうちに、「あ、またお前か。じゃあいいよ」となることは、事実上あります。
サトウさん:では有名になれば、それも身の潔白に繋がりそうですね。
──おお、確かに!
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サトウさん:今回の『超チャリ走』で活躍して、みんなに見てもらえばいいんですよね。分かりました、頑張ります!
──そうすれば、公道でも堂々と自転車に乗れる日が来るかもしれませんね!
サトウさん:いつか夢の公道にっ!
藥師神氏:道路交通法に違反しない形で、ぜひ頑張ってください。