【インタビュー】「クーロンズ・ゲート コンサート2016」5月22日開催!新曲を“ライブで生み出す”はい島邦明に意気込みを尋ねる

1997年に発売され、その圧倒的かつ独特な世界観の描写や、忘れられない演出の数々、そして濃厚な物語性など、様々な個性をプレイしたユーザーの記憶に刻み込んだ『クーロンズ・ゲート』。その活気は、19年の月日を経ても色濃く広がり続けています。

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【インタビュー】「クーロンズ・ゲート コンサート2016」5月22日開催!新曲を“ライブで生み出す”はい島邦明に意気込みを尋ねる
【インタビュー】「クーロンズ・ゲート コンサート2016」5月22日開催!新曲を“ライブで生み出す”はい島邦明に意気込みを尋ねる 全 5 枚 拡大写真
1997年に発売され、その圧倒的かつ独特な世界観の描写や、忘れられない演出の数々、そして濃厚な物語性など、様々な個性をプレイしたユーザーの記憶に刻み込んだ『クーロンズ・ゲート』。その活気は、19年の月日を経ても色濃く広がり続けています。

2014年に完全版サウンドトラックが発売され、2015年には初となる設定資料集のリリースや原画展の開催などが行われ、またPS Storeでの再配信も実施。シリーズものではない単作タイトルが、これだけの年月を重ねてもなお新たな展開が訪れるというケースは、非常に稀有と言えるでしょう。


そしてこのたび、『クーロンズ・ゲート』初となるライブイベント「クーロンズ・ゲートコンサート2016 九龍夜奏会」の開催が明らかとなりました。モダンなデザインが魅力のライブハウス「東京キネマ倶楽部」が、ゲーム中に登場する廃劇場「天堂劇場」の在りし日のステージと化し、作曲者・はい島邦明氏(“はい”は、くさかんむりに配)自身が全曲をライブのためにリアレンジした演奏を行います。

このコンサートは、『クーロンズ・ゲート』ファンにとって忘れられない、「ファイアの日」こと5月22日に開演。また内容は2部構成となっており、第1部ではDJとのセッション、第2部では弦楽四重奏による生バンドを率いてのパフォーマンスが楽しめます。しかも、来場者にとって見逃せない企画も用意されているとのこと。

開催まで約3ヶ月ありますが、どのような魅力が込められたものになるのか、また期待感高まる企画とはなんなのか。コンサートに関する詳細や意気込み、また『クーロンズ・ゲート』との関わりなど、様々なポイントをはい島氏にいち早く伺ってみました。

◆“はい島邦明”と『クーロンズ・ゲート』


──本日はお忙しい中、ありがとうございます。まずは『クーロンズ・ゲート』とはい島さんの関わりからお聴かせください。


はい島氏:ソニーの須藤さん(『クーロンズ・ゲート』プロデューサー)という方から電話がありまして、CGの工房で会おうと言われまして。そこに足を運んでみると、バスケットボールの衣装でカセットデッキを担ぐような感じの、いわばDJ風な恰好の彼に出迎えられました。「なんかすげぇ兄ちゃんだな」と思いましたよ(笑)。

──初っ端の出会いからすでに、カオスっぽさが漂っていますね(笑)。

はい島氏:場所もちょっと圧迫感のあるところで、まるでブロンクスでした(笑)。そこから『クーロンズ・ゲート』の話になるわけで、まるでかけ離れてますよね。そこからいきなり中国の話ですから(笑)。

──『クーロンズ・ゲート』には、どれくらい関わっていたんですか?

はい島氏:1年間くらいかな。(楽曲を作るにあたっては)ローテーションが出来ていて、僕が曲を作るとソニーから鶴岡さん(『クーロンズ・ゲート』サウンドプログラマー)という方が来て、そうすると飲みに行くと。

──飲みに行くまでがローテーションなんですね(笑)。

はい島氏:あの時関わった人たちはみんな、とにかく「普通のことはやりたくない」という感じがすごくありました。デザインも独特でしたしね。

──そのデザインを見てから、楽曲を作られたのですか?


はい島氏:いえ、まだ画面とか見せてもらう前にテーマソングを作ってくれといわれまして、それであの“はんどろへんどろふぇ~”というのがあるじゃないですか。アレを作りました。
※“はんどろへんどろふぇ~”の下りは非常に文章化するのが難しく、忠実な再現ではないことをお詫びしておきます。

アレを持っていったら、制作スタッフのみんなが燃え上がっちゃいましたね。お互いが生み出したものが刺激しあう形で、『クーロンズ・ゲート』の制作が進んでいきました。

──設定がこれで画面がこれで、みたいな資料が揃った状態ではなかったんですね。

はい島氏:これが一番いいパターンだと思うんですよね。例えば監督やディレクターの指示で「こういう風な感じでお願いします」とかあるじゃないですか。そういうのは、なんだかすごく嫌になるんですよね(笑)。仕事としてやらなくちゃいけないところはもちろんありますが、『クーロンズ・ゲート』の場合はすごく自由にやらせてもらえました。そして自由だったからこそ、こういうものが生まれるんですよね。

──自由だからこそ、あの『クーロンズ・ゲート』の形になったんですね。

はい島氏:頭の中の世界観が統一されていたのかなと思います。その形があるうえで、自由な発想で関わったからこそかなと。色んなものが心地よく融合しましたね。

──独創的な『クーロンズ・ゲート』が生まれた経緯が、ちょっと感じられた気がします。

はい島氏:長く愛されるものというのは、本物ということなんでしょうね。今でも残っている本物というのはもちろん多いんですが、あの時代に出た本物というのもまたひと味違っているのかなと思います。・・・最近のゲームはみんな同じようで、ちょっとつまんないんですよね(笑)。

──手厳しいお言葉ですね(笑)。

はい島氏:音楽もやたら凄くてオーケストラ使ったりもするけど、聴く環境はそれぞれなので、「だからって、なに?」とか思うんですよね。

──ただ豪華にしても味気ない、と。

はい島氏:もっと独創的なヤツを作れば面白いのに。色んな形でさ。何かで止まってる感じがするんですよね。

──確かに『クーロンズ・ゲート』ほど独創的なゲームソフトは、かなり稀有だと思います。

◆新曲誕生の瞬間に立ち会える「クーロンズ・ゲートコンサート2016 九龍夜奏繪」



──『クーロンズ・ゲート』がどのようにして生まれたのか、その片鱗に触れることができました。それでは続いて、『クーロンズ・ゲート』の初コンサートとなる「クーロンズ・ゲートコンサート2016 九龍夜奏会」に関して色々と伺わせてください。

はい島氏:今はちょっと曲目を選んでいる最中なんですが、それをカルテットとブラス三管でやりたいなと考えていて。あと、スターダンサーズ・バレエ団の鈴木稔さんに「ダンサーを出してよ」とお願いしています。

──おお、いきなり豪華なお話ですね。

はい島氏:中学生くらいの子がいいと言ったんですが、「(それくらいの年齢だと)まだちゃんとしてないからダメだ」と断られていまったので(笑)、人選はお任せしています。きっと凄いダンサーを連れてきてくれますよ。

あと、『クーロンズ・ゲート』で歌っている女の子(※)がいたり、東京交響楽団でコンサートマスターを務めたこともある高木和弘さんがカルテットをやってくれたりと、面子が凄いんです。女性はゴージャスなドレス、男性はタキシードを着てね。僕は半袖で出ますけど(笑)。
※完全版サウンドトラックの中に収録された新曲のヴォーカルを担当。

さらに新曲をその場で作り上げる予定です。まさにライブで誕生する曲になります。

──! その新曲が誕生する瞬間に立ち会える、というわけですか!

はい島氏:はい、そうなります。

──それは凄いですね! 『クーロンズ・ゲート』ファンならば、ぜひ立ち会いたい瞬間ですよ。

ディレクター:ちょっと私の方から、会場に関しての情報を追加させてください。今回の会場は、ゲームに出てくる「天堂劇場」とイメージが非常に近いため、作中で語られている「ファイアの日」となる5月22日に、「天堂劇場」が「東京キネマ倶楽部」に出現する、という設定になっております。

──「ファイアの日」に開催というのも、ファンにとって見逃せませんよね。

ディレクター:ですので、『クーロンズ・ゲート』のコンサートというよりも、「天堂劇場」で行われたであろうコンサートに迷い込む、といったバーチャル体験を楽しんでもらえればと思います。路人みたいな恰好で来ていただけると、『クーロンズ・ゲート』の住人になった感覚がより味わえます。

──『クーロンズ・ゲート』そのものを楽しむ日、という感じですね。

はい島氏:そうですね。さらに、『クーロンズ・ゲート』の新しい音楽が生まれる日でもあります。音楽祭ですよね。

──ファンにとっては、実に心躍る体験だと思います。

はい島氏:結構際どいけどね。

──際どいとは、どういう意味ですか?


はい島氏:即興だからね。即興で積み上げて作っていくので、本当にライブなんですよ。だからこそ、非常に楽しいとも思います。やってるうちに、「どこ行っちゃうんだろう、これ」みたいなことにもなりかねませんから(笑)。

──ライブの恐ろしさであり、楽しい部分でもありますね(笑)。

はい島氏:あと、元々ある『クーロンズ・ゲート』の曲も、アレンジが入ります。カルテットとブラス三管も入りますし、(原曲との)差も面白いと思います。

──ライブという形に合わせるためのアレンジなのでしょうか?

はい島氏:いや、面白いからです(笑)。アレンジするのって面白いじゃないですか。

──なるほど、面白いからなんですね(笑)。

はい島氏:楽器も、始めはアレコレ入れようかと思案していたんですが、そこから色々考えて、今のシンプルな形に落ち着きました。この方が見ていても恰好いいし、劇場の感じともあってますしね。

──会場の雰囲気も活かしたコンサートになるんですね。

はい島氏:『クーロンズ・ゲート』の原画展はもうやってるので、次はやっぱり音楽ですよね。だから今回は、『クーロンズ・ゲート』の音楽祭です。順番が回ってきたという感じですね。

──満を持して、ですね。では最後となりますが、コンサートに向けた意気込みをお聴かせください。

はい島氏:来てくれるお客さんは、このコンサートのためにお金も時間も使ってくれているわけですから、面白いものを作って満足してもらえるものにしないとダメですよね。だから音楽作りにも拘っていますし、新曲もライブで作り上げます。新しいものが生まれる瞬間に立ち会えるのは、人間の醍醐味だと思っていますから。

──「面白い」が鍵となり、また新曲が生まれる瞬間に出会えるコンサート、実に楽しみです。本日はありがとうございました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

■イベントタイトル:クーロンズ・ゲートコンサート2016 九龍夜奏繪
●日程:2016年5月22日(日)
●オフィシャルサイトURL:http://claricedisc.com/kg_con
●会場:東京キネマ倶楽部〒110-0003 東京都台東区根岸1丁目1-14(http://www.kinema.jp/
●開場17:00/開演18:00
●チケット料金:
・一般 5,500円(税別)※整理番号順に入場。
・プレミアム・セット 30,000円(税別)(数量限定)

※プレミアム・セットは座席指定。一般はスタンディングになります。
※ドリンク代別。

・プレミアム・セット販売開始……2月26日22:00より
→クラリスショップにて数量限定販売
URL:http://claricedisc.shop-pro.jp/

・一般席プレオーダー開始予定日……3月12日
→イープラスにて販売
URL:http://eplus.jp/sys/main.jsp

■注意事項
※3歳以上有料
※営利目的の転売禁止
※転売チケット入場不可
※オークションへの出品禁止

《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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