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──さきほど見ていて面白くなるよう気をつけたとおっしゃっていましたが、「こういうところに注目して欲しい」というのはありますか?
宇都宮:「闘会議2016」で本作の大会がありましたが、その時、それぞれのポケモン自体を応援するという空気みたいなものを感じました。なので、自分の好きなポケモンという視線で見るのもいいかもしれません。
星野:自分の“推しポケモン”を応援するような感じですね。あとは、うまい人のプレイを意識して見ると、自分もうまくなっていくかもしれません。
須崎:バーストアタックは使うと目立つようになっているので、いつ使うのかという駆け引きの部分を注目すると試合が理解しやすいし、バトルの醍醐味を感じられると思います。
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橋本:バトルポケモンとサポートポケモンの組み合わせを見てみると面白いと思います。上位者にとってはある程度の鉄板があるかもしれないのですが、どれを使うかによって戦術も変化していきますから。
──見て面白いといえば、背景にもすごくこだわられていますよね。
星野:そうですね、背景に関してはうちのポケモン好きが本当に頑張ってくれました。よく見ると遠くのほうにあんなポケモンがいるという楽しみも結構ありますね。
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──「ウルガモス」を連れて自転車に乗って全力疾走しているトレーナーなんかも……。
宇都宮:あれは星野さんですね(笑)。
星野:ああやってよく寝落ちしたので(笑)。ああいう「育て屋」のネタのように、知っている人ならニヤリとする部分にもこだわりがあります。
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『ポケットモンスター』シリーズにおいて、より強いポケモンを育てるためタマゴから育成することがあります。『ポケットモンスターブラック・ホワイト』では、「ウルガモス」がポケモン育成の場で特に活躍しており、タマゴを見つけてくれる「育て屋」の前でウルガモスと一緒にウロウロするというトレーナーがたくさんいたというわけです。
──バトルポケモンの動きにもこだわりが感じられて、「サーナイト」が空中から降りる時、スカートのようなひらひらした部分を抑えたりしますよね。
星野:淑女のようなイメージになっていますね。
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須崎:もともとのポケモンの要素を活かしつつ、『ポッ拳』に登場するポケモンたちならではの性格を考えて作り上げていきました。
星野:「マスクド・ピカチュウ」はメスなので、それらしい声でお願いしましたね。「ピカチュウ」とはすべて別ボイスなんですよ。こういった特徴付けはこちらで行ったのですが、実際にポケモンがいるような臨場感を目指すようにしていました。ピカチュウの毛並みの表現やカイリキーの筋肉など、3Dモデラーがかなりこだわっていましたね。
──カイリキーの“パンツではない模様”なども話題になりましたね。
星野:表現を突き詰めていくと、株式会社ポケモンの皆さんに聞いてみないとわからないところにたどり着いたりしましたね。何度かそういうやり取りがあったりしました。
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宇都宮:今回の『ポッ拳』はビジュアル的にかなり攻めていまして、深く細かい表現に挑戦していますね。アニメや『ポケットモンスター』シリーズでも表現されていない部分について、『ポッ拳』での解釈を一緒に行っており、そこもひとつの大きな魅力と言えると思います。
星野:ビジュアルにこだわる上では、残虐的にならないようにすごく気を使いましたね。
宇都宮:ポケモンはファンタジーの世界の生き物なので、リアルさを100%追求してもハッピーではないんですよね。なのでファンタジーとリアルさの線引きが重要で、そこをうまくやっていただけたと思います。
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宇都宮:「ピカチュウが叩かれてもかわいそうにならないようにしたい」というのは初期からあって、今回は「バトルリング」で競技やスポーツとして戦うというイメージになっています。
須崎:どうしても殴りあうということは避けられないですし、ポケモンたちの身長差などもあり、そういう世界観を組み立てて表現することにしました。あとは見た目や効果音にも気を使い、スポーツのような印象を与えるという感じですね。
──開発を行っていくうえで一番たいへんだったのはどこでしょうか?
須崎:一番最初でしょうか。やはり、お話をいただいたあとどういう風に作ればいいのかは悩みました。最初はいわゆる“キャラゲー”のようなものを想像したり……。
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星野:そこはかなりたいへんでしたね。
須崎:話し合いを進めていくと、“リアルタイムに駆け引きを楽しむゲームで、かつ競技性を担保したもの”ということにたどり着きました。迷走していた時期は『鉄拳』そのままのものを考えていたりしていたので、僕としては形が決まるまでが一番苦労しましたね。
宇都宮:いろいろな人がさまざまなことを言っていたので、須崎さんがそれをまとめるのがたいへんだったのは間違いないでしょうね。“格闘ゲーム”という言葉の認識がお互いに違っている部分があり、対戦アクションゲームというものになるまでの過程もいろいろありました。
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星野:日本では対戦アクションゲームというカテゴリなのですが、海外ではファイティングゲームという感じで格闘ゲームとひとくくりなんですよね。難しいところです。
宇都宮:対戦として奥深く、ジャンルとして間口を広くする。ただしポケモンらしいものにしなくてはならない。このあたりを話し合い、対戦アクションゲームに落ち着いたという感じでしょうか。
須崎:格闘ゲームとして作っていた場合、おそらく今のような仕上がりにはならなかったでしょうね。TVアニメの「ポケットモンスター」を見てポケモンたちが生き生きと自由にバトルしているのが印象に残ったのですが、そこが格闘ゲームのシステムにマッチしないようにも思えました。なので、ジャンルとしてこだわるというより“リアルタイムに対戦する”という部分を表現できれば良いのだと思い、そこからさまざまなシステムができました。
星野:そのブレイクスルーが大きかったですね。ポケモンたちはいろいろな遠距離技を使えるため、それをどう活かすかと考えて各種のフェイズができたりと、どこまで詰めていくか悩みました。
須崎:フェイズのシステムは、要するにターン制みたいなものなんです。フェイズが切り替わることによってバトルが仕切り直されるようになっており、壁際まで攻められたあと一気にやられてしまうということがなくなったりしています。そういう敬遠されるような要素をうまく処理していくことも行いました。
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本作には、フィールドを自由に移動できる「フィールドフェイズ」と、サイドビューで2Dバトルを行う「デュエルフェイズ」の2種類が存在。特定の攻撃を当てるなどするとフェイズが切り替わり、戦い方にも変化が生まれます。
そして、壁際でフェイズチェンジが起こると、攻められていた側のポケモンは中央へ飛んでいくというシステムが用意されています。この飛んで行くシステムがなかったころは、フェイズが変わった瞬間に一気にやられてしまうことがあったそうです。
──今後の展開などは何かあるのでしょうか?
宇都宮:Wii U版についてはアップデートをしないという告知を行いましたね。
星野:アーケード版については運営を続けていき、イベントに関連したアップデートを実施します。おそらく新ポケモンの追加について聞きたい人が多いと思うのですが、それに関してはノーコメントということでお願いします。
──では、最後にユーザーの方々へのコメントをお願いします。
橋本:今後実施される大会に気軽に参加して欲しいです。うまくできないからダメだとか思わず、勝ち負けにこだわらないで楽しんでください。大会はお祭りでもあるので、会場の熱量や雰囲気を感じていただければと思います。
宇都宮:どうしても負けたくないから対戦ゲームを避けるという方がいると聞いたのですが、それでもぜひ『ポッ拳』で対戦する楽しみを味わってもらいたいと思っています。負けて学ぶものもいろいろあるので、「負けてもいいんだよ」ということを伝えたいですね。
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星野:大会では、自分に勝った相手がどこまで行くか見るなんて楽しみもありますね。あとは先ほどのようにうまい人のプレイを見るだとか、好きなポケモンを応援するだとか、そういった見る楽しみも味わっていただければと思います。
須崎:勝ち負け以外の部分にもこだわって作っているので、ぜひ大会のほうも楽しんでいただけると嬉しいです。
──ありがとうございました。
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今回のインタビューでは、開発に関わった皆さんがポケモンを、そして格闘ゲームをとても好きであることが伝わってきました。インタビュー中に語っていただいたこだわりなどもそうですが、割愛した部分にもさまざまなエピソードがあり、とても楽しげな雰囲気でお話を伺うことができたのも印象的です。
昨今ではさまざまなコラボレーションが当たり前になりつつありますが、やはり違う種類のものを結びつけるのは簡単なことではありません。時には相反する要素を持っていることもあるわけで、しかも『ポッ拳』の場合はそれを競技として成り立たせる必要もあったわけです。
そういった苦労を乗り越えられたのは、やはり皆さんがポケモンを、そして格闘ゲームを好きだという情熱を持っていたことが大きな要因なのではないでしょうか。
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