【特集】原作者から「やりすぎ」のツッコミも―原作愛から産まれた『リ・モンスター』の“これまでとこれから”

前世で不運な死を遂げた主人公は、目覚めると最弱ゴブリンに転生していた──そんな驚きの幕開けから始まる下克上ファンタジー「Re:Monster」。金斬児狐氏が手がけるこのライトノベルは、累計で55万部を超える人気を博しています。

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【特集】原作者から「やりすぎ」のツッコミも―原作愛から産まれた『リ・モンスター』の“これまでとこれから”
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◆クリエイター・村石氏は「下克上」を成し得たのか?


――運営開始から1年以上経過しましたが、これまでの歩みを振り返ってみて、今の率直な心境をお聞かせください。


村石氏:ソーシャルゲームは、「始まりました」「終わりました」というニュースが1番多いと思うんです。1年続かないタイトルも多い中で、1年を超え2周年が若干見える位置に来ているというのは、遊んでいただいている方々のおかげだなと実感するばかりです。ゲーム化するには結構難しいんじゃないか、と言われたんですが、やり続けてきてよかったと思います。

あと、これまで自分が携わったものは国内向けのものが多かったので、日本だと当たり前のことが海外では当たり前じゃないといった感覚が、本作を通して学べました。サーバーのメンテナンスも、プレイヤーの数が少ない深夜帯にやると影響が少ないのですが、海外のプレイヤーさんがいるとその枠はメイン時間だったりするんですよね。こういう経験が積めた点も含めて、本作に関われてよかったと感じています。

――先程の国ごとの季節イベントなどを含めて、グローバルな視点が備わったと。

村石氏:そこまでカッコイイものではありませんが(笑)。少なくとも何か、これまであまり気にしていなかった所を気にするようになったというか。本当に、最初の一歩みたいな感じなんですけど。

――『リ・モンスター』の開発や運営を通じて、村石さんはどのような「下克上」を遂げましたか?クリエイターとして、成長したなと思われた事とか生活スタイルが何か変わったりとか。

村石氏:すごく回答に困りますね(笑)。何かあったかな?少なくともこの案件が始まったのが、2015年の4月とかで、その前と今とではだいぶ違うと思うのですが……何が違うかというと、言語化出来ないですね(笑)。

――「下克上」や成長の途中というのは、自分では分からないものなのかもしれませんね。強くなっていく過程で、自分がどれ位強くなったか客観的に判断する機会や意識などはあまりなくて、ある一線を超えた時にようやく「ああ、俺はこれくらい強くなったんだな」と振り返れるような。


村石氏:多分9巻に載っているんですけど、主人公達が生まれてから365日経った後、最初に食べていた芋虫をみんなで、ひとり1個か2個食べながら感慨にふけるシーンがあるんです。何も考えずに食べている奴や、哀愁を漂わせながら食べている奴、笑っている奴とかがいて。その反応はみんな様々なんですが、多分自分は、何か考えながら食べて、でも考えても結論は出ない――みたいな感じなのかなと思います。

――なるほど。

村石氏:変わったんだけど、何が…という説明が出来ないですね、申し訳ないです。40歳位になったら、もしかしたら分かるのかもしれません(笑)、

――今、9巻のエピソードのお話がありましたが、原作の中で好きなエピソードなどはありますか?

村石氏:一番好きなものというと、『リ・モンスター』の前の『Re:Creator(リ・クリエイター)―造物主な俺と勇者な彼女―』という作品なんですが、主人公と一緒にいる女の子が毒舌家なんですよ。口で滅茶苦茶言うし、攻撃もしまくるんですけど、たまにデレる。『Re:Monster』だとそういうキャラがいなかったので、その要素を是非入れたいと思って本作で用意したのが、ナビゲートを務める「あかね」です。


――確かにあかねは毒舌ですし、憎めない魅力がありますよね。主人公のことも気にかけてくれますし。

村石氏:やっぱり何か、自分のことを否定的に言ってくるキャラクターって、ちょっと「うっ!」ってなる人が多いので、「もう少しマイルドなキャラの方がいいんじゃないの」とはずっと言われてきたんですが、そこは頑なに押し通しました(笑)。

それと、例えばさっきお話した全身ラバースーツな変態の人とか、尖ったキャラクターが結構多いですよね。特殊なキャラって、普通は出落ちになることが多いんですが、(『Re:Monster』では)ちゃんとしっかり話に絡んでくるんですよね。そういうところも魅力的です。

あと、これは好きというより助かる点ですが、原作モノをやっているとユニット数って気になるところなんですよ。キャラクターが多いと、運営する方としてはありがたいんです。少ないとオリジナルで作らなければいけないので、作る時は(世界観などと)合っているか色々と気にする点が多いんです。

(『Re:Monster』は)全体的な数のみならず、突飛なキャラクターも多くて、しかもそれぞれの個性が際立っているので、「このユニットを是非ともゲームに登場させたい!」という気持ちを持ったまま1年以上経っていますが、まだまだそういうユニットがいるので、ありがたい作品だなと、思っています。

――それでは最後となりますが、本作が気になっていたり、プレイを楽しんでいる読者の方々に向けて、メッセージをお願いします。


村石氏:最初の頃は、「原作を読んでいた方が本作をやり始めた」というケースが多かったと思うんですが、今はどちらからスタートするか、それぞれ分かれているのかなと感じています。なので、ゲームだけを楽しんでいる方がおられたら、ぜひ原作も読んで欲しいですね。原作があってこそのゲーム版『リ・モンスター』だと、個人的に思っているので。もちろん、原作を読んでいなくても問題なく遊べますが、原作を知っているとより面白くなるので、よろしければ是非。

あともうひとつ。今後も大型アップデートや新機能の実装など、多くのプレイヤーさんに喜んでもらえるような多彩な追加を行う予定です。原作に負けず、ゲーム版『リ・モンスター』もまだまだ広がっていくので、どうぞご期待ください。

――今のコンテンツを楽しみつつ、また原作を読みながら、新たな展開を待つのがオススメということですね。本日はありがとうございました!

■金斬氏への質問:2009年に開始し、漫画化、ゲーム化、海外展開など様々ありましたが、8年間を振り返ってみて、いかがですか?

金斬氏:長いような短いような。もっと執筆速度があればもう少し先にまで行けたかなとも思いますが。ここまで続けられたのは多くの読者さん方が居たからだと思います。それに編集者とか、諸々の方々の助力があればこそですね。大変ではありますが、それでも有難い時間だったと思います。

■金斬氏への質問:8年間を振り返った中で、自身が成長した部分を教えてください。

金斬氏:表現力とか、文章力とか。その辺りが成長していればいいな、と思います。あ、料理は少しできるようになりました。書く時に参考になるようにと思って。



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《臥待 弦》

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