◆美味しいシチュエーションと、食べ足りないボリューム
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終盤までのプレイを通じて筆者が物語面で感じたのは、魅力的なシチュエーションが多いという点でした。人類滅亡が間近に迫っている中で、しかし復讐だけを胸に、身を削るように前へと進む主人公。同じく、父親を殺されたヒロインのトニも、主人公と同じく復讐の念に駆られており、主人公と近しい立場にあります。
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そんなトニに惹かれているメカニックのヨッキィ。全滅した仲間との誓いを守るために一人戦い続けてきたマリア。極悪非道な盗賊団のボスであり、盗むことでしか生きられない人間たちを引き受けていた一面も伺わせるディランなど、設定的に美味しいキャラが揃っています。
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また、マリアが仲間になった際には、彼女がいた施設に仲間たちの痕跡も残っていました。「スタッフ全員のビッグママ」や「歴史マニアの筋肉マン」、「看護婦にして美人司書」など、生前の有り様を思わせる断片が散らばっており、過ぎ去ってしまった時間の残滓を目の当たりにすることも。
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使われることのない寝床が増えていくのを、マリアはどんな気持ちで見ていたのか。直接語られることのない行間に、つい想いを馳せたくなる場面も多々ありました。
ですが、この「行間」が、『METAL MAX Xeno』における残念なポイントでもありました。本作の物語は、周辺状況が断片的に描かれることが多々。例えば、無尽となった端末に残された日記や、作戦行動の記録。経過した時間もバラバラな情報の欠片が、人類が瀕死に追いやられるまでの時間を点と点で繋ぎます。
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こういった「世界全体におけるかつての出来事」を行間で語るのは、個々人の好みの差こそあれ、大きな問題とは思いません。ですが、メインストーリーとなるタリスたちの物語についても、「行間」で読み取る部分が多い印象でした。例えば、タリスが復讐に至る理由はゲーム内で語られているものの、それは回想という形で提示。ユーザーにとっては「過ぎ去った事実」としての情報です。
トニの復讐の理由も、本人にとっては体験した実際の出来事ですが、彼女の登場とその復讐心はゲーム内でほぼ同時に展開するので、その復讐に関してユーザーは客観的な立場となり、その憎しみの大きさや、そうしなければならない彼女の心情などは直接伝わってきません。
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描きすぎれば陳腐になるのも道理ですが、察する部分が多いのも物語への感情移入が難しくなります。メインキャラクターたちの行動や心境を理解するために必要な情報は明かされますが、プレイしている側の感情を揺さぶるにはちょっと“食べたりない”というのが、プレイして感じた率直な気持ちでした。
「人間って、隣人を愛するのがどうもイマイチ苦手みたいですけど」とアンドロイドのポMに言われたり、近くの街の人間たちを結果的に見殺しにした元軍人が「もし全員を救うことができないとしたら、誰が何を根拠に、救う人間を選ぶのか。難問ね」とこぼすなど、要所要所の展開やシチュエーションに光るものがあるだけに、ユーザーのワガママかもしれませんが「もっと!」と欲する気持ちが自然と湧き出てしまいます。
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『メタルマックス』シリーズは、シナリオを長々と語るゲームではない。そう言われてしまえば、確かにそうかもしれません。ですが、シリーズを通しても類を見ない極限的状況に置かれているだけに、この現状を活かした物語をもっと濃密に味わってみたかったです。
戦車のカスタマイズとバトルは爽快感たっぷり! ストレスフリーなシステムもポイント