『イドラ ファンタシースターサーガ』ヒロインも「運命分岐」するの? 特徴的なシステムの数々を田中Pと陳Dに直撃─開発度、リリース時期にも言及!【TGS2018】

記念すべき1作目が登場して以来、今日まで長い歩みを重ねてきた『ファンタシースター』シリーズ。その最新作『イドラ ファンタシースターサーガ』についてインタビューを実施しました。

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『イドラ ファンタシースターサーガ』ヒロインも「運命分岐」するの? 特徴的なシステムの数々を田中Pと陳Dに直撃─開発度、リリース時期にも言及!【TGS2018】
『イドラ ファンタシースターサーガ』ヒロインも「運命分岐」するの? 特徴的なシステムの数々を田中Pと陳Dに直撃─開発度、リリース時期にも言及!【TGS2018】 全 15 枚 拡大写真

記念すべき1作目が登場して以来、今日まで長い歩みを重ねてきた『ファンタシースター』シリーズ。

黎明期はSFテイストを加味した独特の世界観とRPGの組み合わせで魅了し、2000年にはオンライン向けのアクションRPG『ファンタシースターオンライン』を展開。新たなブームを巻き起こすほどの人気ぶりを見せました。

その後も、『ファンタシースターユニバース』や『ファンタシースターオンライン2』などのオンラインゲームを中心に、『ファンタシースターZERO』や『ファンタシースター ノヴァ』といったオフライン向けのタイトルもリリースされ、シリーズの裾野を広げます。


そして、シリーズ最新作となる『イドラ ファンタシースターサーガ』を今年の7月に発表。本作は、長らく続いていたアクション要素は取り入れず、シリーズ初期を思わせるコマンドバトルのRPGを提案してゲームファンに驚きを与えました。

“原点回帰”を掲げると共に、これまでの本シリーズにはなかった「運命分岐」「パーティチェンジ」「リバースラッシュ」や、自らがレイドボスとなる「イドラバトル」など、刺激的なゲームシステムなどを盛り込み、新たな可能性に挑戦しています。


ですが、世界観やゲームシステムなどは特徴的なだけに、まだ見えてこない部分もあります。そこで今回は、プロデューサーであり、脚本・世界観作成も担当されている田中 俊太郎氏と、ディレクターを務める陳 智政氏に直撃し、これまで発表された様々な要素について更に深く踏み込むインタビューを敢行しました。

本作の正式サービスは2018年を予定していますが、現段階の開発状況はどの程度なのか。本当に年内に配信されるのか。そんな質問も遠慮せず直球でぶつけ、お二人からのお答えをユーザーの方々にお届けいたします。

◆開発のきっかけ、独特の世界観、属性が変化する「運命分岐」、同キャラを育てるメリットなど、気になる質問への回答は?



──よろしくお願いします。まずは、『イドラ ファンタシースターサーガ』の開発が立ち上がったきっかけについてお聞かせください。

田中 俊太郎氏(以下、田中氏):シリーズの一作目に当たる『ファンタシースター』が1987年12月に発売されたので、昨年の年末から今年の12月までが、ちょうど『ファンタシースター』30周年に当たるんです。

この大きな節目を迎え、何か出来ないかという話になり、そこで「新作を作ってみようじゃないか」と持ち上がりました。これが、企画立ち上がりのきっかけですね。

──新作を立ち上げる時に、昨今の『ファンタシースター』シリーズに見られるアクション方面ではなく、コマンドバトルに舵を切ったのはなぜですか?

田中氏:本シリーズは今、『PSO2』と『PSO2es』が展開しておりまして。この『PSO2』は“境界を超えるRPG”とも言っており、PC、PS Vita、PS4、そしてクラウド対応でニンテンドースイッチでも始まりました。そして『PSO2es』がスマートフォン向けなので、『PSO2』関連はアーケード以外を制覇しているんですよね。

この『PSO2es』は『PSO2』と連動しており、同じキャラクターも使えますし、アクションゲームという点も共通しています。なので、(『PSO2es』のような)アクションではない新しい『ファンタシースター』をスマートフォン向けに届けられるのでは、と考えました。

──『PSO2es』と同じプラットフォームで、『PSO2es』と違う道を模索したわけですね。


田中氏:『PSO2es』は連動も大きなポイントなので、逆に連動にはせず、本シリーズを知らないユーザーさんでも触りやすい、アクションではない形の『ファンタシースター』を作ろう思って生まれたのが『イドラ ファンタシースターサーガ』です。

そして30周年ということで、シリーズ初期のシステムであるコマンドバトルに原点回帰し、現在のゲームシステムになりました。

陳氏:一番最初の原案は、2年前とかですね。

田中氏:30周年に向けて皆から案を募る、いわばコンペがあったんですよ。そこで、僕と陳が一緒に考えてコンペに出したところ選ばれまして、30周年を記念するタイトルとして動き出しました。

──30周年に向けて、事前にしっかりと取り組まれていたタイトルだったんですね。

田中氏:12月までに出さないと30周年を過ぎてしまいます(笑)。なので、2018年サービス開始は変わらないので、ご安心ください。

──分かりました、楽しみに待っておきます(笑)。それでは、ここからは本作の特徴についての質問となります。まずは、シリーズにとって重要な存在である「ダークファルス」、その眷属であるイドラについて教えてください。

田中氏:まだ言えない部分もあるので、そこについては今後の展開をお待ちいただければと思いますが(笑)、現段階でお話できる範囲でお答えします。

まず「ダークファルス」についてですが、『イドラ ファンタシースターサーガ』にも絶対出てきますし、最後は戦うことになります。これはシリーズのお約束なので、本作も踏襲しています。

しかし、最初はまだ「ダークファルス」がどこにいるのかも分かりません。その眷属である「イドラ」がこの世界を荒らし回っており、人々がイドラと戦うという構図が定着しています。なので、「ダークファルス」と「イドラ」は、人々に災いを及ぼす存在として認識されていますが、その「イドラ」に立ち向かう時に、「イドラ」になれる人々もいるんです。その理由については、追々明かされる形となります。

なので「イドラ」という存在は、災いであると同時に、「イドラ」に立ち向えるという意味では、その力は希望にもなるわけです。

ちなみに、「そもそも、なんでこの世界にダークファルスやイドラがいるんだ」「その人たちはなぜイドラになれるのか」などの点については、お話が展開しておく中で分かっていきます。


陳氏:「イドラ」はバトルシステムとも絡み合っており、自分たちがイドラになって戦うことができます。

田中氏:さらに、自分のイドラがレイドボスになり、他の色々なプレイヤーたちを迎え撃つといった遊び方も用意しています。「自分たちがレイドボスになれる」というのは、結構新しい試みかなと。

──では、楽しみ方のイメージとしては、自分の「イドラ」をサーバー上に置き、その他のプレイヤー達がその「イドラ」に挑み、そこで勝ったり負けたりした結果が自分の方に反映される…みたいな感じですか?

田中氏:そうですね。プレイヤー側が「イドラ」を討伐するとボーナスが貰えますし、「イドラ」になった側はプレイヤーを倒せば倒すほどボーナスが得られます。

陳氏:今までのスマートフォンのゲームと比べ、プレイヤーさん同士がよりインタラクティブに遊べるのかなと思っていますね。


──「イドラ」については、物語だけでなくゲーム面でも大きなポイントになりそうですね。ちなみに、この世界に生きるキャラクターたちは、「ロウ」や「カオス」などに分かれ、陣営同士で争っていると伺いました。この両者は、それぞれ組織だっているのでしょうか。それとも、個々人のスタンスのようなものですか?

田中氏:この世界の人たちは大体、「ロウ」か「カオス」になります。信仰ではないんですが…習わしとでもいいますか、土地柄のようなニュアンスかもしれません。両親や周囲の属性に影響を受け、成長段階で属性がどちらかに寄るため、ほとんどの人が「ロウ」もしくは「カオス」に属しています。

そして「ロウ」と「カオス」はいがみ合っており、個人レベルで敵対することもあれば、後々の展開では組織や国レベルでの争いもあります。物語の中で、「ロウ」と「カオス」による大規模な抗争が、やがて描かれていきます。

──個人レベルでも衝突し、国家間の争いとなるケースもあるんですね。

田中氏:はい、そういう世界ですね。

陳氏:お互い、大事にしているものが違うので。「ロウ」はやはり秩序を重んじますし、「カオス」は自由を尊びますしね。

──あくまで自分のイメージに過ぎないんですが、「カオス」と「ダークファルス」はどこか通じる部分があるのかなと思っていて。でも、「カオス」も「ダークファルス」と戦うんですよね?

田中氏:「ダークファルス」が世界を滅ぼした、という記憶が人々の中にありまして。ヤツが蘇ると「カオス」も殺されてしまうので、「カオス」側から見ても恐れられている存在なんです。触れてはならない禁忌のような相手という認識は、「ロウ」と「カオス」で共通していますね。


主人公のユリィやヒロインのステラが所属する「白羊騎士団」という騎士団があるんですが、「イドラ」や「ダークファルス」と戦うことを使命としていまして。この目的があるからこそ、「ロウ」と「カオス」が手を組めるわけなんです。

──では、その反りが合わない者同士が同じ騎士団にいることで、いがみ合いや対立などのドラマも生まれていくわけですね。

陳氏:ストーリーでは、常にケンカしてますね(笑)。結構モメています。

田中氏:お互いの主義主張があるので、深刻な問題になることもありますね。ちょっとしたことでも、「これだからカオスは行儀が悪い」「ロウは真面目すぎる」みたいな感じでやり合います。まあ、私達のコミュニティの中でも、表立っていないだけで、そういうのはあるかなと思いますしね。

陳氏:ぶつかり合うからこそ光る絆もありますし。

──そのいがみ合いも時によし、ですね。では、もうひとつの大きなポイントと言える「運命分岐」についてお聞かせください。プレイヤーの選択によって各キャラの属性が変更しますが、同キャラを2人用意し、それぞれを違う属性に育てることはできるんでしょうか?

田中氏:はい、同キャラを2人別々に育てることはできますし、そのメリットもあります。ただし、同じバトルには連れていけません。どちらか1人だけです。


陳氏:バトルに連れていけるのは、同じキャラはひとりまでです。属性が異なっていても同じ人物扱いなので、同キャラの属性違いをそれぞれのパーティに1人ずつ配置することはできません。

ただ、同じキャラでもロウとカオスを個別に用意すると、編成に幅が生まれます。例えば、「ロウ」のナイトというクラスは、味方を庇うことができる防御寄りの特徴を持っているんですが、そのキャラが「運命分岐」で「カオス」になると、「カオス」のパーティにナイトを加えることが可能になります。

「カオス」の傾向として、攻撃力が強い半面、防御面がちょっと弱いので、そこを補強するような編成を組むことができますね。このように戦術の幅が広がるため、まずは育成に励んでいただき、その上で異なる属性のキャラを用意していただけると、対応力があがります。

田中氏:また、二人を用意してもらってもいいですし、1人を育てて、「ちょっとこっちの属性に変えよう」と切り替えることも可能です。そのためにアイテムを使う必要はありますが、属性の変更で対応することもできます。絶対に2人分育てないといけない、みたいなことはありません。

──では、「運命分岐」で選ばなかった展開なども、同キャラの育成やアイテムによる切り替えで、味わうことができるんですね。ちなみに、ユリィやステラにも「運命分岐」は用意されているんですか?

陳氏:ゲーム内のすべてのキャラクターに「運命分岐」を用意しています。また、ユリィの属性はニュートラルなんですが、彼以外にもニュートラルのキャラクターは存在します。

ちなみに、今回のゲームショウで配布している団扇の裏には、“あるキャラ”の「カオス」なビジュアルが載っています。いち早く見たい方は、一般日に『イドラ ファンタシースターサーガ』の団扇をゲットしてください。

気になる団扇はこちら。裏には、果たして誰の姿が…

──情報の解禁も、楽しみにしておきます。では、「パーティチェンジ」や、切り替えた時に発動する「リバースラッシュ」などを盛り込んだ、バトルのポイントや本作ならではの魅力についてお聞かせください。

陳氏:バトル自体は、基本的にはシンプルにまとめさせていただきました。「ロウ」と「カオス」の2パーティを切り替えながら戦いますが、どんなパーティを組んでおくか、どのタイミングで切り替えを行うかが、とても大事なポイントとなりますね。普通のゲームよりも敷居は低く、遊び応えは深く、みたいな内容になっていると思います。

──「パーティチェンジ」はいつでも可能なんですか? それとも、例えばポイントなどを一定以上溜める必要があったりますか?


田中氏:「パーティチェンジ」はいつでもできます。その都度、「リバースラッシュ」も発動します。ですが、毎ターンごとにちょこちょこ変えるよりも、切り替えずにターンを進めてから「リバースラッシュ」を発動した方が与えるダメージが大きくなりますね。

なので、「もう1ターン待つか」と思っていたらヤラれたりすることも(笑)。そのリスクを考えて、いつ「パーティチェンジ」を行うかの駆け引きが、本作におけるバトルのポイントです。

──ところで、現時点での開発度は何パーセントほどですか?

陳氏:ずばり、80%です。

田中氏:それよりもう少し上回ってるかもしれませんが、80と言っておきます。90%とか言ったら、「じゃあもう出せよ」とか言われてしまいそうですし(笑)。

それに、最後の残り10%を仕上げるのが、実は結構大変でして。この10%のやり方次第でゲームの良し悪しが大きく左右するので、たかが10%されど10%です。なので、一応80%としておきますね(笑)。

──最後の一山は厳しそうですが、嬉しい発表が近づく足音も遠からず聞こえてきそうですね。そんな『イドラ ファンタシースターサーガ』を、特にどのユーザー層にアピールしたいとお考えですか?


田中氏:『ファンタシースター』シリーズということで、『PSO2』を現役で遊んでいる方はもちろん、休止されていたり少し離れているといった方、コマンドバトル時代の『ファンタシースター』を楽しんでいた方たちに、新しい『ファンタシースター』として触って欲しい気持ちもあります。そして同時に、『ファンタシースター』シリーズを遊んだことがないという方にも遊んで欲しいですね。

現在、『PSO2』がサービス中ですが、開始から6年の歳月が経っています。それだけに重厚なボリュームで遊び応えもたっぷりですが、初心者にとってはその分敷居が高いところもあるかもしれません。

『イドラ ファンタシースターサーガ』は完全新作ですし、これから始まろうとしているところなので、今から『ファンタシースター』に触れてみたいという方にも非常に入りやすいかなと思います。

また、『ファンタシースター』という点を抜きにして、レイドボスになれるユニークさやストーリー面など、従来のRPGファンにも結構面白く遊んでもらえる作品になっているかなと自負しています。『ファンタシースター』という垣根は一旦置いてもらい、「スマホで面白いRPGを遊びたいな」という人にも気軽に手にとっていただきたいですし、その期待に応えられる内容にするつもりです。RPG好きな方、是非遊んでみてください。

──それでは最後となりますが、本作を待ち望むユーザーに向けたメッセージをお願いします。

陳氏:『イドラ ファンタシースターサーガ』では、プレイヤーの選択によってキャラクターの魅力が広がったり、プレイヤー同士で戦う新たなレイドスタイルの「イドラバトル」など、皆様に新しい体験を届けていきたいと思っています。どうぞご期待ください。

田中氏:僕の方からは…2018年サービス開始! です(笑)。

──力強いお言葉です(笑)。

田中氏:今もう9月ですからね。2018年は残り3ヶ月となりました。この(3ヶ月の)間に、必ずお届けしたいと思います。いつ出るんだ、という声もいただいているので、なるべくお待たせしないよう、でも最後までしっかりと作り込みをして、少しでもいいものをお届けいたします。どうかもうしばらく、期待してお待ちください。

──続報や配信を楽しみにしています。お忙しいところ、本日はありがとうございました!



《臥待 弦》

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