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読者のみなさん、メガネ&メガネっ娘は好きですか?もちろん、好きですよね。筆者も大好きです。
突然、なんの話かという感じですが、今回、『アリス・ギア・アイギス(以下、アリスギア)』というスマートフォン向けゲームタイトルについて、その開発を担当する「ピラミッド」のスタッフに「メガネ」をテーマにしたインタビューを実施しました。
なぜ、メガネなのか…。その理由は単純です。この『アリスギア』というゲーム、メガネの作り込みがやたら細かいのです。筆者は前述の通り、メガネとメガネっ娘が好きなのですが、デフォルトでメガネっ娘である百科文嘉さんのメガネを見たとき、スマホゲーにあるまじきそのクオリティに驚きました。
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省略されがちな鼻パッドがちゃんと再現され、蝶番部分にはアクセントとなるシルバーがワンポイント入り、なによりデフォルメされていないリアルなメガネにもかかわらず、アニメ調のキャラにしっかりと似合っている。かつて、ここまでメガネが美しいスマホゲームがあったでしょうか。少なくとも、私は初めて見ました。
さらに、デフォメガネっ娘だけではなく、全キャラに5種類ずつメガネが用意(しかもどれもクオリティが高い)され、全てのキャラをメガネっ娘にすることが可能です。また、この汎用メガネ以外にも、キャラ固有のメガネもいくつか用意されています。
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さらにさらに、「鼻パッドの質感を調整」という妙に細かいアップデートが入るなど、メガネのクオリティアップに余念がありません。
もちろん、メガネだけではなく、全ての装飾品を全力で作っているとは思います。しかし、メガネに対してのここまでのこだわりを感じさせるということは、メガネやメガネっ娘に対し、なにか情熱めいたものを持ちながら作られているはずです。
もしそうであるならば、開発やデザインを担当されている方にインタビューをし、世の中のメガネ&メガネっ娘好きへ、この情熱と『アリスギア』という作品を伝えなければならない。
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そう思い、ダメ元で企画書を投げてみたところ、まさかのインタビュー実現と相成りました次第です。しかも、このために、大量のメガネ設定資料までご用意いただいた上に、運営ディレクター+開発スタッフの計4人からお話を聞くことができました。
おかげさまで、中々に濃い内容となった今回のインタビュー。ぜひ、『アリスギア』片手にお楽しみください。
※『アリスギア』メガネポータルサイトがオープン!
メガネポータルサイト「glasses aegis」
――まずはじめに、みなさんがどのように『アリスギア』開発に関わられているかを教えてください。
加賀氏:『アリスギア』の運営ディレクターを担当しています。業務内容は多岐にわたるので割愛しますが、日々色々なことをしています。
アートD:ビジュアルの取仕切りと、設定や世界観の監修も担当しています。肩書はアートディレクターですが、キャラ設計なども含んでいます。
玉木氏:メガネも含めたアクセサリー、背景、キャラ、エフェクト、たまにモーションなどなど…様々なものを作っています。『アリスギア』では唯一どこにも所属していないので、肩書は何になるんだろう?雑用?(笑)。
アートD:「3Dプロフェッショナル」とかですかね?仕様が複雑なので、なんでもできる人を敢えてどこの班にも入れずに、自由に動いてもらえるようにしているんです。
メカ班K:メカモデル班のリーダーとして取り仕切りをしています。なぜ、この場にいるかというと、「メガネを入れろ、メガネを入れろ」と散々言ってきたからです(笑)。
加賀氏:社内にもたくさんのメガネ好きがいるのですが、全員連れてくるとあまりにもまとまりが無くなってしまうので、今回はこの4人でお話できればと思います(笑)。
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――ありがとうございます。ではまず、デフォルトメガネっ娘のひとり、百科 文嘉(ももしな ふみか)さんと彼女のメガネについてお話を伺えますか。
アートD:「メガネっ娘」というキャラ設定を踏まえて、柳瀬さん(※)にはキャラデザインをお願いしていたのですが、メガネの部分に関してはこちらから提案させていただき、採用された形です。
比較的丸顔・童顔タイプの比良坂夜露(ひらさか よつゆ)や兼志谷シタラ(かねしや したら)に対して、文嘉はちょっとキツめのお姉さん顔なんですよね。なので、そのキツさをのこしつつも、恐くならないようなメガネを、衣装デザインなどを担当している女性スタッフと相談して考えていました。
こだわったのは蝶番(レンズとつるの接続部)ですかね。ここを細くすることで、全体が固くなりすぎず、かつ女性らしいしなやかさを表現できていると思います。
(※編集部注:『アリス・ギア・アイギス』キャラクターデザイン・柳瀬敬之氏)
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――黒縁は野暮ったくなりがちですが、蝶番部分のシルバーが文嘉さんの知的さを表現している気がします。
アートD:リアルではあるけど、一目で「文嘉のメガネだね」とわかるようなデザインにしてほしいという無茶振りによく応えてくれたと思いますね。ちなみに、最初にデザインをもらったときは、鼻パッドはついてなかったと思います。
――その「鼻パッド」ですが、省略されることも多い中、『アリスギア』ではむしろリアルに描かれていますよね。なぜでしょうか。
メカ班K:最初はアートDが言ったように、鼻パッドがなかったんです。でも、いざテストで入れてみたらしっくり来なくて。それで、玉木にリアルなメガネをお願いしたんです。そうしたら、とてもキレイに作ってくれて(笑)。
玉木氏:鼻パッドがないメガネなんてありませんからね。「メガネを作って」と言われたら自然につけますよね。ただ、プレイヤー的には“デフォルメされていないメガネって、嫌われる要素になるのではないか”、という懸念もあったので、最初の一本だった文嘉のメガネを作ったときは「鼻パッドつけてもいいですか」と一応確認はしました。
メカ班K:そういえば聞かれた気がしますね。3Dキャラって、リアルなメガネをかけさせるには不向きなことが多くあるんですよ。『アリスギア』は島田さん(※)デザインのキャラをモデル化するにあたって試行錯誤を繰り返したのですが、結果、メガネをかけても不自然さが出ないものになりました。文嘉のメガネを作ってもらったときも、“鼻パッドがちゃんと鼻に当たっているか”を確認して、「よし、これなら行ける!」と。このあたりで、メガネをたくさん実装したいなという野望が自分の中で出てきました。
(※編集部注:『アリス・ギア・アイギス』キャラクター監修/キャラクターデザイン・島田フミカネ氏)
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アートD:鼻パッドって装飾じゃなくて、メガネを支えるための機能なんですよね。特に文嘉や依城えり(よりしろ えり)に言えることですが、眼球の前面にちゃんとレンズがきていないと、メガネがただの記号になってしまいます。そこを、鼻パッドとつるでしっかり支えて、レンズがちゃんと眼球の前面にくるようにすることで、「視力を補正する物」としての機能美というものが出てきます。なので、鼻パッドはあって然るべきものなんです。メカデザインにも同じことが言えますが、デザインとしての美しさはもちろん、機能としての美しさも考えたくなりますね。
玉木氏:他にも、『アリスギア』は、メガネに限らず服やアクセサリーもしっかり作られているので、メガネだけをデフォルメしてしまうと浮いて見えてしまったり、違和感が出てしまうというのもあると思います。
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――確かに、衣装もアクセサリーもクオリティ高いですよね。
メカ班K:ゲーム的に顔がアップになることが多いので、特に首から上は、ポリゴンを増やしてでもキレイにするようにしていますね。
――以前アップデートで「鼻パッドの質感を調整しました」というのがあったと思うのですが、具体的にどこが変わったのでしょうか?
アートD:『アリスギア』はスマホゲームなので、なるべく軽く動作するように作っているのですが、「透明」の効果って非常に負荷が高くて…。『アリスギア』では使わないようにしているんです。なので、アプデ前の鼻パッド部分も白で表現して、透け感とかはなかったんです。
そしたら、ある日突然玉木から「透け感を出したから見てほしい」と言われたんです。見てみたら、テクスチャ芸で透明感が表現されていて。シタラとかだとわかりやすいんですが、鼻パッドの下にある肌が透けているように見えるんですよね。
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シタラ(下)の鼻パッドを見ると、透け感が出ているのがわかりやすい
――あ、これって透けているわけではないんですね!
アートD:そうなんです。ただ、鼻パッドの表面にキャラの肌色を乗せて表現しているので「肌差分ごとの描き分け」という労力が発生するんです。でも、仕様で縛られている中、こんなのを出してくるなんて、最高じゃないか!と思いましたね(笑)。
玉木氏:同じ肌色のキャラもいるので、全キャラ分用意したわけではありませんが、私が全部描きました。だって、鼻パッド透けてないとおかしいじゃないですか(笑)!
加賀氏:ちなみに、よく透け感が話題になる二子玉舞(にこたままい)の衣装(シルフィード)も同じテクニックで作られていたりします。メガネに限らず、誰かの頑張りに対して他のメンバーが乗ってくれることがピラミッドではよくあるんですよね。デザイナーが努力したのを見て、プログラマーが「そこまでやるなら僕らはここ頑張るよ!」みたいな。そういう相乗効果でクオリティを高めあっていけるのは、良い社風だなと思いますね。
――デザイナー魂を感じます…!ちなみに、今日はその「透明」に関連して、とあるものを見せていただけると伺っていますが…。
加賀氏:はい、まだ開発中で実装されるかもわからないものなのですが、メガネ好きな方の意見を聞きたいなと…。まずはこちらを見てください。
加賀氏:メガネをよく見てください。「レンズ」(光の反射)が表現されているの、わかりますか?
――あー、これは…。すごい…すごいとしかでてこない…!ここまでやりますか…!最高ですね。いちメガネ好き的には、レンズの有無って大事だったりするので、このように表現してくれるのは嬉しい限りです。
玉木氏:ある日突然プログラマーが私のところに来て、「レンズ作ってみたんですけど」と見せられたのがこれでした。ただ、シェーダー(プログラムにより特殊な描画をおこなう手法)とポリゴンで表現してるので、これを実現するには全メガネ分のレンズモデルを作らないといけないんですよね…。
アートD:さっき「透明」は使わないようにしていると言ったばかりなのに「透明」使っちゃってますね(笑)。でもこの表現をするにはどうしても必要なので。
加賀氏:そうなんでよね、かなり軽量に作られたシェーダーとはいえ、負荷が少しでも上がることには間違いないので、そこをどうクリアするかまだ模索しているところです。もし実装されたらまた仕事が増えますね…!
メカ班K:ちなみに、度付きレンズの表現ってできないんですか?レンズかかってるところだけ目の大きさが変わるみたいな。
玉木氏:それはちょっと…。キャラによって度の強さも変わってくるだろうし…。もうメガネ用のオプションができちゃいますね(笑)。
――感動しました…。眼福です。ぜひ実装お願いします。そういえば先程「不自然さが出ない」とありましたが、それでもアニメ調キャラの3Dモデルにリアルなメガネをかけさせるのは苦労されたのでは?
メカ班K:『アリスギア』のキャラモデルは、顔の奥行き感をしっかりと出して、横顔がキレイに見えるように作られているのですが、これが一役買っているんだと思います。普通に3Dキャラモデルを作ると、顔部分が若干ペラくなってしまうことがあるのですが、そうなると、つる部分が短くなってしまうのでメガネをかけづらいんですよね。
アートD:顔にこだわったおかげで奇跡的にリアルメガネが似合うようになったと。
メカ班K:確かに、正面から見たときに顔のパーツ配置がおかしくならないように調整はしたんですけど、メガネ前提で調整したわけではないんです。そういう意味では偶然による部分も多いですね。
玉木氏:とはいえ、100%リアルなメガネかと言われればそういうわけでもないですね。
――現実の人間と違って、目も大きいし鼻も小さいですからね…。
玉木氏:鼻パッドをちゃんと鼻に当てるのは大変でしたね…。
メカ班K:目の大きさもキャラによって違うので、レンズもそれに合うようそれぞれ調整されてるんですよね。
玉木氏:リアルそのままだとまず合わないので、結構試行錯誤はしています。
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――ちょっと文嘉さんの話に戻るのですが、コンタクトレンズについてお話を伺えますか。
加賀氏:あれは…。社内でも揉めましたよね。
メカ班K:ここに「コンタクト撲滅委員会」の人間がいますからね。
アートD:その前にまず、メモリの都合で1人につき2つまでしかアクセをつけられない仕様があったことに触れさせてください。スマホゲームなので仕方ないことなのですが、この仕様だとメガネっ娘は必然的に1つしかアクセをつけられなくなってしまうんです。他のキャラは帽子とイヤリングを付けられるのに、文嘉とえりはどっちか一つしか付けられない。それがどうしても許せなくて。
メガネを「視力を補正する物」としてかけている人にとっては、アクセじゃなくて体の一部になっていますよね。この状態を「日常」にしたかったんです。アクセサリーは、普段と違う「非日常」の自分を演出するためのものなのに、体の一部になっているメガネで枠を消費してしまうのはおかしいじゃないですか。なので「デフォルトアクセ」という仕組みをプログラマーに頼んで作ってもらい、結果として文嘉とえりもアクセを2つ付けられるようになりました。
メカ班K:そのシステムを入れるとき、プログラマーを巻き込んですごいことになってましたよね。しかもその余波がメカ班まで飛んできたりして…(笑)。
アートD:各所への説明が大変でしたね(笑)。それで、文嘉のコンタクトなんですけど、シナリオ(文嘉のキャラエピソード3−3参照)の演出上必要だったというのはあるんですが、他にも理由がありまして…。非メガネっ娘が“アクセサリーとしてメガネをかける”というのがあるのなら、日常としてメガネをかけている人が“コンタクトを付けて非日常の自分を演出する”というのもアリなはずですよね。そこを対等にしたかったんです。あとは、メガネがなければ…というプレイヤーの方も中にはいると思うので、そういう声に応えたかったというのもありますね。
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アートD:とはいえ、「コンタクトなんてとんでもない!」という反応があることもわかってはいました。でも、シナリオの演出上とはいえ、文嘉が成子坂のためにコンタクトをつけるという気持ちを邪魔することができなかったんです。
一方で、えりのコンタクト実装を望む声もあるのですが、彼女はコンタクトを怖がる人なので…。髪型を変えればメガネなしの姿も見られますが、通常の髪型でメガネを取らせるとなれば、なにか別の理由を考えないといけませんね。
加賀氏:キャラってみんな生きてるんですよね。場面場面で彼女たちがどう反応してどう動いていくかでシナリオや設定が作られているので、気持ちは尊重してあげたいです。多少の打算はもちろんありますが、文嘉もメガネ好きプレイヤーを狙おうと思って生まれたキャラではないですし。
アートD:そうですね。“メガネっ娘だから百科文嘉”ではなく“百科文嘉がメガネをかけている”ということです。
――コンタクト実装の裏には色々深い理由があったんですね…。コンタクト撲滅委員会の方は、今のお話を聞いてどう思いましたか?
メカ班K:ここまで言われちゃ仕方ないですよね!まぁ、私は一回もコンタクトを着けさせたことはありませんが!
――プレイヤーからの反響はいかがでしたか?
加賀氏:最初は「アイデンティティを外すなんて!」という声はありましたね。
アートD:メガネを外してキャラ性が薄くなるなら、それもまたキャラ性ということで。
メカ班K:まぁ、外せないというのもおかしいかなと言うのはちょっとあります。
アートD:文嘉はコンプレックスからメガネが外せないわけではなく、単純に視力補正のために着けている人ですからね。メガネへのスタンスはニュートラルですね。
――いいお話をたくさん聞けた気がします。では、先程から少し話にも出ている、もうひとりのデフォルトメガネっ娘・依城えりさんについてもお話伺えますか。
アートD:えりに関しては、かこいさん(※)がメガネ好きな方というのもあって、細かくメガネのデザインを描いてくださっていたので、割とその通りに作られてますね。
(※編集部注:『アリス・ギア・アイギス』キャラクターデザイン・かこいかずひこ氏)
メカ班K: ちょうどえりのメガネを作るときに「アンダーリムでレンズの存在をどう表現するか」を色々試行錯誤していました。
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――レンズ効果が使えない中で表現するのは難しそうですね。
メカ班K:かといって何もないように見えるのもデフォルメが過ぎますし、文嘉のメガネを見たあとだったので、何もしないわけにもいかなくて(笑)。それで、結局はレンズ部分に薄いポリゴンを敷いて、色を調整するという形で表現することにしました。
玉木氏:でも、ここでレンズを表現したから、その後のリムレスやアンダーリムメガネが生まれたんですよ。
メカ班K:そうなんですよね。リムレスメガネでつると鼻パッドしかないとか許せないですから。でも、レンズ部分の色を白にするか黒にするかとか、レンズの厚みはどのくらいにするかとかでだいぶ悩みましたね。他にも、『アリスギア』では輪郭線がでる仕様なのですが、レンズ部分だけ線が出ない仕様に変えてもらったりもしました。
アートD:「リムレスならかわいいから着けられる」というメガネ初心者の方向けにリムレスはやりたいなと思っていたので、ここにたどり着けてよかったです。
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――えりさんのメガネがなければ、リムレス&アンダーリム系のメガネは生まれなかったと。
メカ班K:もしくは表現が変わっていたか、ですね。でも、そこから「誰にかけさせるか」問題も出てきて…。今でこそメガネガチャに全員分入っていますが、当時はアクセガチャに黒縁メガネがひとつ入っているだけだったので。
玉木氏:このあとリムレスの出番が来るまで結構間が空きましたよね。2018年6月のイベント「ようこそ聖アマルテア女学院へ」が初めてじゃないでしょうか。
メカ班K:その後8月にメガネガチャが実装されて、ようやく全員分のリムレスが揃ったと。ちなみに、「ようこそ聖アマルテア女学院へ」とメガネガチャのリムレスメガネでは、色以外にも微妙にデザインが違います。
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――では、その「メガネガチャ(アクセサーリガチャ Vol.2)」について、実装の経緯をお聞きできればと思います。
加賀氏:メカ班Kから「メガネをたくさん実装したい、すぐできるから!」と何回も言われていて、それなら(アクセサリーガチャVol.1の流れで)ガチャにしたら?と提案したらスムーズに決まってしまって。
メカ班K:アクセガチャがあるのに、メガネガチャがないのはおかしいですよね。
加賀氏:実装が決まるまではスムーズだったのですが、そこから中身を決めるまではかなり揉めましたね。「これはネタすぎる」とか「他キャラとかぶってる」とか…。
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――全キャラ5種類ずつありますが、選定は難航したと。
メカ班K:すでに実装されてるキャラ固有のメガネがどれも個性的な上に、ヒゲメガネがすでにあったので、ネタ枠の基準がわからなくて。スタンダードなものも外したくなかったので、余計にこじれましたね。
加賀氏:実際の製作期間より、選定してた時間のほうが長いくらいですよね。
玉木氏:社内アンケートとかもやってましたね。どのメガネがいいか。
アートD:メガネ好きの方って、自分からは何も言ってこないのに、こちらから意見を求めると延々と語ってくれる傾向が強くて。色とか決めるのも本当に大変でした(笑)。
玉木氏:一回仕切り直しにもなったりもしました。
アートD:ただ、メガネガチャを回すプレイヤーさんって、ちゃんとしたメガネを求めてると思うんです。なので、第1弾はネタ枠少なめの堅いラインナップになりました。
メカ班K:常日頃から、特に3Dゲームをやっていて、リムレスやアンダーリム、赤縁っていう割とスタンダードなものくらい全部入れてよと思っていたんです。じゃあ、自分のとこでくらい入れればいいじゃない、と。
アートD:ちなみにですけど、どれを持っているかリスト化することってできないんですか?
メカ班K:結構あるのでリストで見られると便利ですよね。コンプしているのに気づかず回してたら悲しいですし。
加賀氏:検討します!(※このあと本当に実装されました)
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――このメガネたちも、もちろんキャラごとで調整しているんですよね…?
玉木氏:キャラごとで目・鼻・耳の位置や顔の形が全然違うので、各々調整を施してます。「全員同じデザイン」というのが崩れないように調整しなければならず、更に鼻パッドの部分も描かないといけないので、大変でした。
アートD:メガネを作るのは簡単だけど、かけさせるのは大変ですね。
玉木氏:当初はもっと簡単に行くと思ってたんですけどね…。いざやってみたら大変でした。髪の毛も、できる限り避けるように作っているので、実はフレームがカーブしているようなキャラとかもいます。
メカ班K:まずかけさせてから、レンズやらフレームやらを調整していくので、やってることはメガネ屋と変わりませんよね(笑)。
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――キャラが増えればその分作業も増えるんですよね。
加賀氏:だからといって妥協することは今後もないと思います。
アートD:開発側としてはひとつのメガネを全員に用意しているだけですけど、お客さんからしてみたら“大切な人のための、大切な一本”ですからね。
――調整していて、印象に残っているキャラはいますか?
メカ班K:問題児は結構いる気がしますね。リンの髪の毛とか…。
玉木氏:個人的にはシタラがすごい大変でしたね。バランスを取るのが難しくて…。
アートD:シタラは顔モデルの基準ルールから少し外れているので、他のキャラと同じようにはいかないんですよね。
玉木氏:そうですね、シタラは他のキャラクターたちとは顔のバランスがちょっと違うんです。他のキャラクターだと問題無く見えるメガネでもシタラに掛けてもらうと「うーん…」となることも多くて、汎用メガネのデザインは気を使いましたね。
――シタラもかわいいと思います。でも、言われてみるとなんとなく“コスプレ感”みたいなのが少しある気がします。
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アートD:そういう意味でいうと、シタラの「コミマ用伊達メガネ」なんかは逆にコスプレ感を押し出したデザインになってますね。変装が主目的になるので。
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――メガネガチャ実装後、プレイヤーの反応はいかがでしたか?
加賀氏:想像以上に良かったですね。「メガネオンリーって頭がおかしいんじゃないか」という声もありました…社内的には何もおかしいとは思ってなかったんですけどね(笑)。
メカ班K:他のアクセとも混ぜようという話も出たんですけど、そこは自分が「メガネだけがいい」と推してましたね。メガネ好きにとってはメガネオンリーのガチャって嬉しいじゃないですか。
――私の周りのメガネ好きたちもざわついていました。
メカ班K:メガネ好きに応えてくれるゲームって、そんなにないんですよね。メガネ好きが作ったものが、ちゃんとメガネ好きに届いているのは嬉しいですよ。
アートD:苦労が報われましたね。
メカ班K:メガネだけではなく、メカもキャラも、届けるべきところにはちゃんと届けていきたいですね。
――私もいちプレイヤーとして、とても嬉しかったです。第2弾もぜひ。
メカ班K:まだまだ入れたいのがいっぱいありますからね。
玉木氏:実際、社内の一番人気は赤縁アンダーリムでしたよね。今回はバランスを鑑みて入りませんでしたが。
アートD:というか赤縁アンダーリムって、すでに金潟(かながた)すぐみ固有のものがあるんですよね。
玉木氏:すぐみのは明るめの色なので、今後汎用メガネとして赤縁アンダーリムを作っても大丈夫な気はしますけどね。
メカ班K:入れたいですね。というか黒・赤・銀のスタンダードなメガネは一通り揃えたいです。個人的にも第2弾はやりたいですし、やる方向で進められるようにしたいですね。
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――今回はメガネについて色々伺っていますが、それ以外も作り込みがすごいですよね。今(※)でいうと、SOLラプターのイベントで本物のキムワイプが出てきたりとか…。
メカ班K:あれも僕ら4人が主導でやりましたね。プレイヤーさん的にも、ティッシュが置いてあるよりは、キムワイプのほうが落ち着くと思うんですよね。題材がプラモ作りですし。
アートD:マネージャーさんには何回も聞かれましたけどね「このコラボ、本当に意味あるんですか?」と(笑)。
(※編集部注:インタビュー実施は2018年12月初旬)
――SOLラプターイベントはシナリオで実写の演出があったのも印象深いですね。
アートD:最初は、SOLラプターの説明書を無くしても、『アリスギア』をやれば組める!というところまでやりたいと思ってたんです。絆エピソードを最後まで進めると完成!みたいな。でも、画像の容量がとんでもないことになってしまって(笑)。
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――先程ちらっと出ましたが、このSOLラプターイベントで登場した金潟すぐみさんもたまにメガネをかけていますよね。
アートD:そうですね。厳密にはメガネではなくルーペなのですが。
――ルーペなんですか!?今までに明言されたことってありますか?
アートD:ないですね。今回初出しです(笑)。
――これはすごい。ありがとうございます!彼女のルーペについてなにかエピソードはありますか?
玉木氏:これ、モデルを見てもわからないとは思うのですが、鼻パッドがシリコン製なんです。金具を介さず、フレームと鼻パッドが直で接続されています。
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――予想外のこだわりポイントですね…!キャラ固有のメガネは他にもありますが、仁紀藤 奏(にきとうかなで)さんのメガネが非常に印象的で。これについても、色々と教えていただけますか。
アートD:これも結構初期の方に作られたものですね。
玉木氏:まだそこまで技術が確立されてないころのメガネなので、今見るとちょっと気になるところはありますね。つるのチェック柄とか、フレームの星マークとか。
メカ班K:髪型的につるのチェック柄は隠れてしまうんですよね。見えていたら改修したかもしれません。ちなみに、一番最初の奏の資料ってこのメガネだけでしたよね。人よりもメガネが先にあるんだ、と思ったのを覚えています。
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アートD:そのせいで、社内でもデフォルトメガネっ娘だと思っていた方がいましたね。
玉木氏:確かに、重要なアイテムではありますけどね。
アートD:メガネと合わせづらい髪型だったので苦労をかけてしまいました
メカ班K:メガネと髪型のバランスを考え始めたのはこの頃からだったかと。奏は思いっきり髪がかぶってしまうのですが、レンズに髪が刺さっていたりするとやっぱり変ですからね。2Dならデフォルメしてごまかせるのですが、3Dではそれができないので、調整は大変でした。
アートD:最終的にはメガネの方を調整しましたが、髪も何回かいじっています。荒れる物理演算と戦いながら(笑)。
玉木氏:結果的にはデザイン画に近い形で作れているはずです。
――文嘉さんからのプレゼント(※)ですが、非常に奏さんらしい一本ですね。デザインはすんなり決まったのですか?
(※編集部注:仁紀藤 奏「絆エピソード5」参照)
アートD:紆余曲折あって出会う一本ということで、奏がかけるために生まれたようなデザインになっています。つるのチェッカーフラッグモチーフはすぐに決まったのですが、前面のデザインが中々決まりませんでしたね。攻めすぎてもダメですし、シンプルすぎてもただのメガネになってしまうので…。
衣装デザイナーには、このメガネを奏が受け取るまでの設定とストーリーを説明して、何回も何回も描き直してもらったのですが、最終的には彼女のライダースジャケットと同じ意匠を取り入れることにしました。
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メカ班K:そういえば、キャラ固有デザインのメガネって、他にも結構ありましたっけ?
アートD:文嘉、えり、奏、夜露、シタラ、薫子、すぐみと、盟華、ゆみ、バージニアのサングラスも入れて、10人くらいですかね。現在公開されている約30人のうち1/3は固有メガネをもっているということになります。
玉木氏:実装済みメガネは19本ですが、この内10本が固有になります。これが多いのか少ないのかはちょっとわからないですね(笑)。
――そもそもメガネが19本実装されている時点で多いと思いますよ!
メカ班K:プレイヤーの方々があげているスクショをみると結構メガネかけさせている方が多い気はしますね。デフォルトメガネっ娘は少ないほうですが。
アートD:衣装と合わせてくれている方も多いですよね。「ビッグベン制服」とかいいですよね。
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――それだけ、メガネのクオリティが高いということではないでしょうか。
メカ班K:そう思っていただけていると嬉しいですね。
――最近はモノクルも実装されましたね。細かい装飾と松茸が印象的です。
加賀氏:『アリスギア』では、最初に2Dデザインを起こしてから3Dモデルを作るのですが、“キノコのモチーフが付いたモノクル(片眼鏡)みたいなの”を作ってくれという実に曖昧なオーダーを受けた2Dデザイン班が泣いていましたね。
アートD:モノクルというものに馴染みがあまりないので、正しい形状はどうなのか、どこが萌えポイントなのか分かりづらいですからね。そんな中、“キノコ感はほしいけど、シックでどこか怪盗っぽくあってほしい”とかいう無茶ぶりが飛んでくるという(笑)。
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――ここまでちゃんと作ってあるモノクルは初めてみました。よく見ると、フレーム部分にスリットが入っているんですね。
玉木氏:モノクルを作るにあたって色々と調べてみたのですが、眼窩(がんか)に挟み込みやすくするためなのか、フレームに奥行きがある物が多いんですよね。今回のつる&鼻パッド付のモノクルには必要ない部分ですが、らしさが出るかと思って装飾として付けました。メガネと違って片側にしかないレンズを際立たせる意味もあります。まぁ、かけさせたらほぼ見えないんですけどね…。
メカ班K:チェーンもちゃんと鎖状に作ってあって、しっかり揺れるようにできていますね。
アートD:今回は、実用性よりもデザインを重視していますね。イベント報酬というのはもちろんありますが、「これぞモノクル!」というものをいきなり出してしまうと、もし汎用モノクルを出す事になったときに、作りづらいなと。
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――つるの部分もオシャレなデザインになってますね。
玉木氏:そうですね。これ以外にもつる部分がオシャレなメガネは色々作っているんですけど、髪型的に見えなくなってしまうことが多くて。
アートD:シタラの「コミマ用伊達メガネ」とか汎用のスクウェアメガネは、つるの内側部分にメーカー名や型番が入っていたりしますよね。これもほぼ見えませんが。
玉木氏:山野薫子(やまの かおるこ)のメガネとかもちょっともったいないですよね。実は細かいディテールが入っているんですけど、髪型的に全然見えない(笑)。ただの銀縁メガネだと思われている方も多いかと。
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つる部分に文字が書かれているのがわかる
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――薫子さん、☆4出たので使っているのですが、こんな細かい装飾が入っていたのはたしかに知りませんでした。ここまで作り込まれている『アリスギア』のメガネたちですが、いわゆる「コラボメガネ」とかの構想などはありますか?
加賀氏:社内で「やりたい」という声は出ていますが。まだまだなんとも言えない状態ですね。
――仮に出すとしたら、「このメガネを出したい!」というのはありますか?
アートD:『アリスギア』のメガネは普段使いもできると思うので、やっぱりゲーム内と同じモデルのものが欲しいなというのはありますね。
メカ班K:メガネ屋さんとコラボして、キャライメージのメガネを作ってもらうのもいいかなあと。で、ゲーム内にもそれを実装するとか。
加賀氏:雑談レベルで社内スタッフと話すとそこは意見が結構分かれるとこなんですよね。『アリスギア』のメイン層は男性なのですが、ゲーム内そのままのメガネだとレディースになってしまうので。
玉木氏:メンズにアレンジするとちょっと微妙だったりするんですよね。
――文嘉さんのメガネなら男性でも問題なく使えそうですね。
玉木氏:奏とかはちょっとキツイですよね(笑)。夜露のメガネくらいならオシャレ感があっていいかもしれません。
メカ班K:男性陣のメガネとかはどうでしょう。
玉木氏:これは流石に普通すぎます!メガネ屋で売ってるのとほぼ変わらない(笑)。
メカ班K:今あらためて思ったのですが、男性陣のメガネ率高くないですか?
玉木氏:中年以降のキャラが多いですからね。半分以上老眼鏡ですよ。おそらく。
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――男性陣のメガネはネタとしてはおもしろいですね(笑)。欲しいかどうかと言われたら微妙ですが。まだ色々と聞きたいところですが、そろそろ〆の時間とのことなので、みなさんの「メガネに対する熱い想い」などあればお聞かせください。
メカ班K:「メガネゲーといえば『アリスギア』」と言われるぐらいにはしていきたいですね。メガネ好きの方々が欠かさずチェックしてくれるようになると嬉しいです。そのために、みなさまのご要望に応えながら、これからもちゃんとやっていきたいと思います。
玉木氏:「メガネ」というものに対して表現できるものはまだあるんじゃないかと思っているので、さらなるディティールアップを目指していきたいです。とにかく、期待を裏切らないように作っていきたいですね。
アートD:先程、えりがコンタクトを入れられないという話をしましたが、「メガネケース」をアクセサリーとして用意してあげることでメガネを外す、というのもアリなのかなとふと思いました。もちろん、例えばの話ですが。こういう感じでキャラ性を考えながら、メガネを増やしていきたいですし、それ以外のイヤリングや帽子といったアクセサリー類もメガネと同じくらいの熱意で作っていければと思っております。
加賀氏:今、アートDが言ったような新しいシステム等も含めて、よりメガネの表現を突き詰めていけるといいですね。今回はメガネのお話を色々とさせていただきましたが、当然、メガネ好きではない方々にも、メガネに負けず劣らずこだわったものを提供していければと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
――今日は非常にいいお話が聞けたと思います。長時間のインタビュー、ありがとうございました!
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約2時間に渡ったメガネインタビュー。途中、大量のメガネ資料の中からどれが好きかを逆に聞かれる一幕もあり(赤アンダーリム、マーブル模様のラウンド、ブラウンのメタルフレーム、パリピ感溢れる電飾メガネなどを推しました)、個人的には非常に楽しいインタビューとなりました。
何より、“メガネ好きの方々が、並々ならぬ愛を注いでメガネを作っている”ということがわかったのは、いちメガネ好き『アリスギア』プレイヤーとしては、非常に嬉しいことです。今後も色々なメガネが増えていくでしょうし、そのどれもがメガネ好きの“御眼鏡に適う”メガネになるでしょう。もしかすると「メガネガチャ第2弾」も実装されるかもしれませんね!そう思うと、これからも楽しみで仕方ありません。
最後に、ここまでさんざんメガネの話をしてきましたが、『アリスギア』はメガネだけではありませんし、メガネ好きじゃない人でももちろん楽しめます。むしろ、メガネ好きで『アリスギア』をやっている方が少数派な気がしますので、ご安心ください。
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