「今再び、"ミルラのしずく"を採りに行こう」―『FFCCリマスター』インプレ&荒木氏・岩崎氏・板鼻氏インタビュー

GC版ではロングヘア―のクラ子とてっかめんリルティで遊んでいました。1万字ほどありますので、本日から怒涛の勢いで公開されるTGS関連記事の合間にでものんびりご覧ください!

任天堂 Nintendo Switch
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「今再び、"ミルラのしずく"を採りに行こう」―『FFCCリマスター』インプレ&荒木氏・岩崎氏・板鼻氏インタビュー 全 25 枚 拡大写真

◆鉛筆画で当時の雰囲気を再現!板鼻氏メールインタビュー


――『FFCCリマスター』の新規描き下ろしビジュアルで、注目してほしいポイントや気に入っているところをお聞かせください。

板鼻リマスター』用のパッケージイメージの作画依頼を受けて、最初はどのようなテイストにしようかと迷ったのですが、リマスターということは、一度発売している作品ということでもあります。言い換えれば、オリジナルのゲームはもはや我ら開発の手を離れてユーザーのみなさんのものになっているとも言えます。ですので、イメージビジュアルも当時の雰囲気からガラッと変えたものにはしないようにしようと決めました。

でも、新しい要素も入れたいわけで……。そこで、当時の画風やレイアウトと同じようにして、構成要素だけ新しく描けないかとチャレンジしました。当時は下書きを鉛筆で描き、デジタルで彩色していたので、今回も久しぶりにライトテーブルを引っ張り出して、鉛筆画から始めました。ポスターなどをよく見てもらえると、消し残っている作画残りや手汚れなども見えるかと思います。

オリジナル版のビジュアルと構成するキャラなどを見比べてもらえると嬉しいです! 『FFCC』はノベライズもされていますので、そこに登場したキャラなんかもイメージして加えてみたりと、楽しんで描かせてもらいました。


――『FFCC』のビジュアルを手がけるうえで心がけていることはありますか?

板鼻「見たことのない世界だけど、どこか懐かしい」と思えるデザインを心がけています。旅がテーマのゲームですので、未知のビジュアルであることを追求するより、「いつかこんな風景を見たことがあるかもしれない」、「いつかこんなところに行くのではないか」と思わせる旅情感を大切にしています。

ゲーム中に存在する村や建造物なども、手作り感や素材感を大事にしています。ゲームの中で初めて見る村でも、僕らが生きる世界同様に、そこに生きている人々が作り上げたという印象を与えたいからです。


――リマスター版で追加キャラクターバリエーションを手がけた経緯をお聞かせください。

板鼻ちょうど1年前「東京ゲームショウ 2018」で本作の発表を行った際、閉館後に会場ブースで荒木と立ち話をしていたんです。「せっかくリマスターするのなら、旧作を遊んでくれた人にもちょっとしたおまけ要素としてキャラクターバリエーションの追加とかできないかな?」と提案したところ、荒木が喜んで話に乗ってくれたので、各種族、男女ごとに1体ずつデザインさせていただきました。

――追加のバリエーションについて、デザインコンセプトやモチーフなどがありましたらお聞かせください。

板鼻FFCC』のキャラクターたちはあくまで村人の範疇にありますので、既存のキャラクターバリエーションからあまり浮かないように注意してデザインしました。が、一部目立ち気味なのもあるかもしれません。また、何体かこれまでの『FFCC』シリーズに登場したキャラクターをモチーフにしたものもあるので、楽しみにしてください!


――オリジナルとなるGC版でキャラクターデザインをされたときに、印象に残っていることなどがあればお聞かせください。

板鼻FF』シリーズのナンバリングタイトルのような特定の主人公は存在せず、瘴気に覆われた世界の村に住む村人たちが主人公ということでしたので、"愛する家族や村人の為に力を合わせて冒険に出る村の青年団"というようなイメージで、個性の強さよりも、生活感や生きる強さを感じさせるデザインを心がけました。

各種族のデザインは、マルチプレイで入り乱れて戦う際に見分けやすいように、ノッポのユーク族、体は小さめで動きは大きいリルティ族、人間系でも上体にボリュームがあるセルキー、下部にボリュームがある分銅型のクラヴァット……と、見た目やシルエットにそれぞれ異なる特徴を持つデザインを心がけました。


(GC版の)プロデューサーの河津(河津秋敏氏)は、割と絵に関しては放任主義なのですが、当時4種族のデザイン案のひとつとして猫耳としっぽを持つ種族を描いたら「動物人間は嫌いだ、変更!」とお叱りを受けたので、「それでは……」と趣向を変えて"野菜人間"を描いたらすんなり通った……というのが、現在のリルティです。


――本作は楽曲も高く評価されています。GC版、もしくは今回のリマスター版のビジュアルを手がける際、谷岡久美さんの楽曲にインスパイアされるようなことはありましたか?

板鼻ゲーム開発は作曲と同時進行で、かつ、世界観やキャラクターをデザインする開発初期にはまだ曲もほぼありませんでしたので、GC版制作当時は、開発が進むにつれてイベントシーンなどに曲が乗ってくるのを見て「ああ、こういう世界なんだ」と、モノクロだったフィルムに色がつくような感覚を味わいました。いまや『FFCC』(の楽曲)といえば谷岡久美さんの曲ですよね。今回のリマスター版のビジュアルも、GC版の曲を聴きながら描かせていただきました。

――GC版制作時を振り返って、印象に残っている出来事や思い出をお聞かせください。

板鼻プレイヤーのお供をしてくれるモーグリのモグは、開発後期に「ソロプレイで遊びたいときのために、クリスタルケージを持ってくれるお手伝いキャラがほしいよね」と、急遽作ることが決まったキャラでした。当時、少しの時間も惜しくてせわしなくお昼の弁当を食べていたときに、メインプログラマーの紙山から「こういうわけだから、急ぎでデザインを描いてほしい」と言われたので、ちょうど目の前にあった割り箸袋に鉛筆で描いてデザイン案を渡しました。この時のことは、社内でいまだにネタにされますね(笑)。


※本作は2003年に発売した『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』に、新たな要素を追加および一部改変したリマスター作品です。
※インターネットに接続することで利用できるサービスは、ゲームの発売から期間が経過すると終了する場合がございます。
※オンラインマルチプレイの利用には、インターネットへの接続および、Nintendo Switch版ではニンテンドーアカウントの作成(無料)と「Nintendo Switch Online」への加入(有料)、PlayStation 4版ではPlayStation Networkのご利用(無料)とPlayStation Plusへの加入(有料)が必要です。
※オンラインマルチプレイのマッチングは、同じリージョン(地域)のソフトを使用しているプレイヤー間で行われます。
※通信状況によってオンラインマルチプレイにタイムラグが発生する場合がございます。
※画面は開発中のものです。
※家庭用ゲーム機(Nintendo Switch/PlayStation 4)とスマートフォン(iOS/Android)の画面構成・デザイン、解像度には差異があります。

(C)2003, 2019 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN: Toshiyuki Itahana
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《蚩尤》

汎用性あるザク系ライター(が目標) 蚩尤

1979年生まれのファミコン直撃世代。スマホゲームもインディーズも大型タイトルも遊びますが、自分と組ませてしまって申し訳ないという気持ちやエイミングのドヘタさなどからチーム制のPvPやFPS、バトロワが不得手です。寄る年波…! ゲームの紹介記事に企画記事・ビジネス寄りの記事のほか、アニメなど他業種の記事もやれそうだと判断した案件はなんでも請けています。任天堂『ガールズモード』シリーズの新作待機勢。

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