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挑むたびにやられてしまい、その経験を元に攻略の糸口を見出す“死にゲー”。難易度が高くて心が折れそうになる一方で、目標を達成した時の爽快感をより強く感じることができるため、万人向けでこそありませんが、コアゲーマーを中心に大きな人気を獲得しています。
“死にゲー”に相応しいタイトルは数多くありますが、代表的な存在とも言える『ダークソウル』シリーズや『ブラッドボーン』などを生み出したフロム・ソフトウェアは、“死にゲー”ファンにとって見逃せないメーカーのひとつです。
そして、フロム・ソフトウェアが半年前にリリースした『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』(以下、SEKIRO)も、多くのユーザーから“死にゲー”と呼ばれ、その手強い難易度に打ちのめされた声が発売直後にSNSなどで飛び交いました。
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そのため、『SEKIRO』は非常に難しいゲームだと捉えている方が少なからずいます。その一方で、この独特なシステムに慣れたり攻略法が見出されたことで、その印象を改めたユーザーも数多くいることでしょう。
果たして『SEKIRO』は、屈指の難しさを誇るゲームなのか。それとも、意外と優しいゲームなのか。実際に遊んだユーザーならば、それぞれの答えを自ら掴み取ったことと思いますが、未体験だと判断しにくいもの。
そこで今回は、発売から半年を過ぎた『SEKIRO』の“厳しさ”と“優しさ”を改めて振り返り、本作はどのようなゲームなのかを、一プレイヤーの視点から紹介したいと思います。ちなみに筆者は、『デモンズソウル』や『ダークソウル』を半泣きでクリアし、『ブラッドボーン』は終盤に辿り着くも怖じ気づいた腕前の持ち主。決してアクション上級者ではないので、ご安心ください。
◆道中は案外楽かも? プレッシャーが低めで移動が楽しい『SEKIRO』
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『SEKIRO』は、各所で待ち構えるボスと戦うエリアと、そこまでの道筋となるフィールドで構成されており、マップの大半は道中となるフィールドが占めています。この構成は、一般的なゲームでもよく見られるタイプですが、“死にゲー”では道中のプレッシャーも並みならぬものがあります。
どれほど鍛えていても、複数の雑魚に囲まれるだけで、あっさり死の危険が忍び寄る“死にゲー”。また、操作ミスで奈落に落ちてしまうこともあり、初見の地を進む時のプレッシャーは、文字通り手に汗握るほど。個人的な意見ですが、『ダークソウル』シリーズは篝火にいる時間以外は常に緊張している、といったプレイ体験でした。
ですが『SEKIRO』においては、道中を進む際のプレッシャーは他の“死にゲー”ほどは感じず、探索や移動を楽しむ余裕もありました。もちろん、本作の道中も危険が潜んでいるので、死ぬ時はあっさりと死にますが! そんな『SEKIRO』の、フィールドや道中での“厳しさ”と“優しさ”に迫ります。
【『SEKIRO』のここが厳しい!:フィールド、道中】
■雑魚も手強い
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『SEKIRO』といえば、ボスの手強さが印象的ですが、フィールドにいる雑魚たちも決して侮れません。序盤から剣戟を交え、後半ともなれば名前のない雑魚の中にも強敵が入り交じりるように。1vs1なのに、雑魚に敗れてしまったことも1度や2度ではありません。
後半になると、剣を持った猿どころか、火縄銃を使う猿すら出てくることも。ウチの忍びは、猿の攻撃から必死に逃げ回ったこともありました。また、紫装束の忍者は、序盤のボスよりも手強いのではと思うほど。こいつと出会うたびに、瓢箪の使用回数ががっつり削られてしまいます。
■2対1になると跳ね上がる手強さ
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本作における戦いは、1対1が基本。正面からやり合うと、1体倒すだけでもそこそこ時間がかかるので、複数を相手にすると劣勢に陥りやすくなります。目の前の敵を攻撃している間に、横からザクッと斬られることもしばしば。
多対1が厄介なのは『ダークソウル』シリーズなども同様ですが、その厳しさは本作でも健在。格下の雑魚であっても、多数対1は極力避けた方が無難です。
■道中なのにボスクラスの敵
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道中にいるのは、名前のない雑魚だけではありません。「河原田直盛」などの侍大将を始め、名前を持つボスクラスの敵があちこちにいます。強さはそれぞれですが、いずれも容易い相手とは言えません。そもそも、最初に出会うであろう「河原田直盛」からして、“弾き”を駆使しないとジリ貧になる強敵です。
また、道中にいるボスクラスの敵は、閉鎖したフィールドで戦うボスとは異なり、他の敵が彷徨いている場合もあります。雑魚とはいえ、ボスクラスの敵と同時に相手取ると危険度は倍増。連携される可能性もあり、侮れない要因のひとつです。
【『SEKIRO』意外と優しいところも!?:フィールド、道中】
■一撃で仕留める「忍殺」で、雑魚はあっさり撃沈
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主人公の本分は“忍び”。正面から堂々と戦うことに誇りを持つ“侍”ではないので、奇襲・だまし討ちもまったく問題ありません。相手の視界外から近寄り、不意を衝いての「忍殺」が決まれば、雑魚ならこの一撃だけで沈みます。また、「忍殺」成功時に体力が回復するスキルもあり、こちらを習得しておけば道中の攻略や探索がかなり楽に。
この「忍殺」はボスクラスの敵にも有効な場合が多く、体力ゲージが複数ある場合でもその1本をまるごと削れるので、戦いを有利に運ぶことが可能です。前述の「河原田直盛」も「忍殺」からスタートすれば、その体力は既に半減状態。勝利に大きく近づきます。「忍殺」を活用するか否かで、目的地に向かう道のりの険しさは段違いとなるでしょう。
■仕切り直しがしやすい!
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道中での戦いは、いつでも離脱が可能です。これは『ダークソウル』シリーズでも同様ですが、離脱のしやすさは全然違います。主人公は忍びなので機動力に長けており、ダッシュするだけでもあっさりと相手を引き離せます。また、鉤縄を使った立体移動を組み合わせれば、逃げ切ることもさほど難しい話ではありません。ただし、遠距離攻撃にはご注意を!
「忍殺」を決めようとして失敗したり、複数人に囲まれても、その機動性を活かした離脱がしやすいので、仕切り直しが非常にやりやすい『SEKIRO』。距離を取って時間をおけば、相手の警戒度も下がるので、頃合いを見計らって再び「忍殺」に励みましょう。
ちなみに、『ダークソウル』シリーズと違ってスタミナの概念がないので、ダッシュはやりたい放題。敵に襲われても逃げやすいので、『ダークソウル』シリーズと比べると、フィールドを歩く時の緊張感はさほど感じません。もちろん、油断こそが最大の敵でもありますが!
■雑魚からボスクラスの敵まで、スルすることもー可能
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道中にいる全ての雑魚と戦う必要はなく、スルーして先に進むこともできます。一部、どうしても避けられない敵もいますが、気づかれても強引に先に進む、といった解決策も不可能ではありません(危険と隣り合わせではありますが)。着実に進みたいなら出来るだけ倒した方がいいのも確かですが、選択肢は多いに越したことはありません。
スルーできるのは、道中にいるボスクラスの相手も同様。「河原田直盛」といった侍大将に勝てば、身体能力を上げるアイテムが手に入るとはいえ、無理して戦う必要もありません。アイテムが諦められない場合は、一端先に進んで様々な義手忍具などを集め、より有利に戦える状態になってから再戦しましょう。もちろん、スルーできるのはあくまで“ボスクラス”。ストーリー進行の鍵となるボスとの戦いは避けられません・・・が、ボスについても後ほど改めて綴らせていただきます。
『SEKIRO』の“死”は、他の“死にゲー”とひと味違う!