両国で6,000人と“ただ謳おう”―にじさんじ単独音楽ライブイベント「Virtual to LIVE in 両国国技館 2019」をレポート

2019年12月8日、いちからが運営するバーチャルライバープロジェクト「にじさんじ」は単独音楽ライブ「Virtual to LIVE in 両国国技館 2019」を開催。15名のライバーが参加したソロイベントの様子をレポートでご紹介します。

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バーチャルライバープロジェクト「にじさんじ」は、2019年12月8日に単独音楽ライブ「Virtual to LIVE in 両国国技館 2019」を開催しました。

同プロジェクト1周年記念楽曲「Virtual to LIVE」をテーマに開催されたライブでは、月ノ美兎、樋口楓、静凛、剣持刀也、勇気ちひろ、える、鈴鹿詩子、森中花咲、椎名唯華、笹木咲、ジョー・力一、鈴原るる、夢月ロア、御伽原江良、戌亥とこの計15名の人気ライバーが参加。両国国技館に駆け付けた約6,000人ものファンを熱狂させました。


幕張メッセイベントホールを埋め尽くし、グループ単独としては出演者数、観客動員数、過去最大規模となった「にじさんじ Music Festival~ Powered by DMM music~」から早2ヶ月。今度は両国国技館というステージでどのようなステージを見せてくれたのか、本稿にてレポートでお届けしていきます。


トップバッターとして登場した剣持刀也は、ファンが制作したイメージソング『Sharpness…』を披露しました。剣持刀也の配信エピソードで構成された『Sharpness…』は、かっこいいロック調のサウンドで、まさしくライブ1発目に相応しい楽曲。いわゆる同人的文脈で生み出された同曲を、両国国技館という大舞台で聞けたという感動と、相変わらずの歌詞のインパクトの強さに開幕から意表を突かれます。



続いては、勇気ちひろが登場。剣持刀也と『ダンスロボットダンス』をデュエットしたのですが、「この部分が、このタイミングが……」という細かな分析ができないほど、動き回る勇気ちひろのキュートさにやられてしまった人も多いはず。と思えば、彼女がソロで披露した『Los!Los!Los!』では、先程の愛くるしさを吹き飛ばすダークさとかっこよさを兼ね備えたパフォーマンスを見せつけ、打って変わって本来の勇気ちひろらしい立ち振舞いに会場は唸るように沸き上がります。




デュエットが終了すると、椎名唯華が『メランコリック』を歌い上げます。その可憐さたるや、普段とのギャップも感じられるステージング。選曲は自身の歌声とマッチしており、動きの1つ1つはまるで椎名唯華の愛らしい要素が抽出蒸留されているかのようでした。

次に登場したのはもちろん笹木咲。椎名唯華とのコンビで『ロキ』を披露します。2人の息のあったパフォーマンスを見て、「盛り上がらないわけがない!」と言わんばかりにサイリウムを振る観客。彼女らの可愛さとユニークさが詰まったステージングを、その全員が目に焼き付けます。そして続いたのが、笹木咲ソロによる『命に嫌われている』。笹木咲と言えば突然の引退から復帰。そしてその騒動の中『笹木は嫌われている』という替え歌を披露したエピソードが有名ですが、今回は原曲でのカバーを披露。しかし、ただ歌うだけではなく、しっかり「ベルモンド・バンデス」「誰やねん!」のコールアンドレスポンスをかましていくあたり、笹木咲らしさと感じさせます。




そして先の4人のパートを第1部とするならば、第2部では2019年デビュー組による3Dお披露目ラッシュが展開されます。記憶に新しい「にじさんじ Music Festival~ Powered by DMM music~」では、叶、葛葉、緑仙の3D初披露が話題になりましたが、今回も多くのライバーの3Dの初出しが用意されていました。

第2部の最初に登場した夢月ロアも初3Dとなる一人。普段の彼女とは少し違ったスマートさが際立つステージングで『恋愛裁判』を披露します。配信活動上の姿からはあまり想像できないと言うと少し語弊がありますが、かっこいいのに立ち姿は小さくて可愛いというギャップが両立したパフォーマンスは圧巻そのもの。

『恋愛裁判』が終わると、鈴原るるが夢月ロアと『secret base~君がくれたもの~』を披露しました。二人の3Dのクオリティ、そして優しい歌声に会場は心地よい空気に満たされます。と思いきや、続く鈴原るるのソロパフォーマンス『ガーネット』でその魅力はさらに爆発。オーディエンスをほろ酔い状態へと魅了します。




ふんわりとした雰囲気に包まれたステージから一転。暗転から姿を表したのは戌亥とこでした。圧倒的な歌唱力で披露したのは『小さきもの』。テクニカルな面で言えば、全体を通して彼女だけはまさに異次元。違うライブ会場に迷い込んでしまったのかと錯覚してしまう熱唱に観客全員が息を呑みます。

そして、そんな圧倒的なパフォーマンスを見せつけた戌亥とこの元に登場したのは御伽原江良。2人による『オトモダチフィルム』が披露されました。次の御伽原江良による『おねがいダーリン』は、歌唱途中で暗転していまうというトラブルに見舞われますが、巻き起こったのが「ギーバーラ!」コール。推しへの叫びというよりは、仲間への声援に近い。そんなコールが徐々に会場を包み込んでいく様は、これまで彼女が歩んできた軌跡を体現していました。


そして第3部へ。会場に駆け付けたにじさんじファンであれば、そのほとんどはJK組が最後に登場するのだろうと思っていたはずです。しかし、そんな予想を裏切るかのように次のステージに上がったのは静凛でした。『千本桜』を歌い上げ、“ゲームのお姉さん”というイメージとは違う最高の笑顔を振り撒きます。



第3部の2曲目は、鈴鹿詩子による『God knows…』。定番曲ではありますが、高低差のある難しいナンバーをしっかり歌い上げます。普段の少し危険なイメージからはかけ離れた圧倒的なパフォーマンスに会場は大盛り上がりでした。

続いては森中花咲が『バレリーコ』を引っ提げて登場します。彼女の歌の上手さを配信等で知っていた筆者でしたが、この大舞台で表現した色っぽさとかっこよさには思わず舌を巻きました。普段は斬新な企画でファンを楽しませている彼女ですが、歌への本気が伝わるパフォーマンス。表現者としてのポテンシャルを再認識させられました。



森中花咲のソロステージの次は、まさかの森中花咲、鈴鹿詩子、えるによる『気まぐれメルシィ』。第2部で感じ取ったフレッシュさから一転、抜群の安定感が会場を包みます。それぞれの個性が楽曲にアクセントをつけていく、この3人らしいパフォーマンスに会場はヒートアップ。そのまま、えるのオリジナル楽曲『MESMERIZER』へ。歌自体の完成度も高いのですが、とにかく動く!左右に動いて表現する彼女のパフォーマンスが印象的でした。


さて、ここまでで登場していないライバーが月ノ美兎、樋口楓、ジョー・力一。誰がこの3人によるステージを予想できたでしょうか。特にジョー・力一は、この日のキーマンと言っても過言ではないパフォーマンスを炸裂させます。

なおジョー・力一もこの日が3D初披露。とにかく足が長い、あまりにスタイルが良すぎる。そのスタイルと性格だからこそ映える『君は薔薇より美しい』は、彼自身の突出した表現力からこそ映えるステージング。癖になるのが「変わった」の部分で妖艶と舞い散る薔薇の演出です。同曲の最高音hiAを軽々と出す歌唱力もさることながら、曲に合わせてステップを踏む姿にエンターテイナーの真髄を見たような気にさせられます。


続いて登場したのは月ノ美兎。2019年3月に放送されたTVアニメ「バーチャルさんはみている」の主題歌『あいがたりない feat. 中田ヤスタカ』をソロバージョンで披露したのですが、これがとにかく清楚で可愛い。

普段の配信活動では誰も思いつかない奇抜で魅力的な企画を連発し、VTuberシーンで最強のエンターテイナーといっても過言ではない彼女ですが、今回のステージの上に立っていたのはライブでしか見れない“清楚と可愛さが凝縮された”月ノ美兎。普段の活動とギャップを感じるダンスと歌を目と耳で浴びているうちに、あっという間にパフォーマンスは終わっていました。


ステージが暗転し続いて登場したのはジョー・力一、月ノ美兎、樋口楓、鈴原るる、えるの5人。披露した曲はまさかの『林檎もぎれビーム!』でした。この楽曲は、ジョー・力一がどうしても歌いたかったらしく、出演メンバーとして同じく歌いたい人を募集したとのこと。にじさんじというプロダクションの根本にあるサブカルな志向性が垣間見えた瞬間でもありました。筆者のなかで特に印象に残っているのは、妙にアクセントになっている鈴原るる、月ノ美兎の激しすぎる動き、そして力一の圧倒的な歌唱力の3点です。


興奮冷めやらぬなか、樋口楓が次に登場します。ソニー・ミュージックレコーズ×月ノ美兎、NBCユニバーサル・エンターテイメント×petit fleurs(御伽原江良、森中花咲)と、続々とにじさんじライバーのメジャーレーベルデビューが発表されるなか、最もアーティストイメージの強い彼女は、Lantis(ランティス)でのデビューが決定。本ステージにて、そのメジャーデビュー曲となる『MARBLE』が初お披露目となりました。

今やワンマンを開催するほどのポテンシャルを持つ彼女は、さすがの歌唱力とステージパフォーマンスを発揮します。声質的に性格的にも、ロックナンバーとの相性は抜群な樋口楓。『MARBLE』はそんな彼女を上手く表現している楽曲で、曲調だけではなく歌詞にもメッセージが込められている『MARBLE』は、ファンにはたまらない楽曲となっていました。


そしてアンコール前最後の楽曲は、JK組による『dream triangle』。これまでの軌跡を両国国技館という大舞台で披露するエモーショナルさに、会場はなんとも言えない感情に落とされます。筆者も何度聞いても色褪せない『dream triangle』という楽曲を、これからも聞いていきたいと心の底から思いました。




そして、アンコール。観客全員おそらくわかっていたでしょう。ここで“あの曲”を歌うんだと誰もがわかっていたと思います。それでも樋口楓の「まだ1曲だけ披露していない曲があります」この言葉には思わず歓喜してしまったんじゃないでしょうか。

最後のステージは「Virtual to LIVE in 両国国技館 2019」のテーマ曲ともなっている『Virtual to LIVE』の合唱。同曲はファン目線からしても各々感じ取るものが違って、思い入れや共に共有してきた時間が軌跡となっている楽曲で、観客席を見渡すと、涙を流す人の姿もチラホラ。本当にこの「にじさんじ」というコンテンツを愛している人が集まっているんだなとライブを通して感じられます。

曲終盤のシンガロング、海のように広がる観客席には無数の銀テープが舞っていました。この日のフィナーレを盛大に演出するかのようなステージングで、「Virtual to LIVE in 両国国技館 2019」は幕を閉じました。



そしてこの日は重大発表がいくつも発表されました。ユニバーサルミュージック「Virgin Music」よりオリジナルユニット“Rain Drops”のデビューの発表や、にじさんじのフルアルバムが2020年に発売されるなど、2020年もにじさんじの勢いは止まりません。普段は配信者集団のイメージが強いプロダクションではありますが、2020年は歌やライブなど音楽方面でも目が離せないことでしょう。

《森山ド・ロ》

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